お店や飲食店で、毎日のように商品を買い求め、その代金を支払っている私たち。何気ない行為だけに、その人の”素”が現れてしまう瞬間でもあるのが、この支払いのシーンです。加えて、お金に関する話題はどうしてもタブー視されがち。「こういうとき、どうしてる?」なんて聞くのもためらってしまうこと、ありますよね。

そこで今回は、女性の美しいふるまいに詳しい、愛されマナー学プロデューサーの平川直央子さんに、ついやりがちだけど、支払いシーンで実は失礼にあたる行動や、避けたほうがいい行動をお聞きしました。ほんの少しの気遣いで印象は変わるので、気をつけていきましょう。

「支払いシーン」でやりがちだけれど、実はNGなマナー8選

■1:お会計のときに「お金を投げるように」払う

相手を思いやるならNG!

お金の扱い方は、そのまま「支払う相手への気持ちの表れ」と受け取られてしまうもの。支払いの場面でお金を雑に扱うことは、そのお金を受け取る相手に、嫌な思いをさせてしまうことになりかねません。

「あくまでもお金は商品やサービスの対価ですから、自分とお店の方の立場は、フィフティ・フィフティなんです。お支払いも『ありがとう』の気持ちで行っていただきたいと思います。そうすると、支払う側の方自身も美しく見えますよね」(平川さん)

お金を丁寧に扱うことはもちろん、お店や店員の方への感謝の気持ちも忘れたくないですよね。

■2:高額すぎる買い物をクレジットカードで支払う

カード払いするときもお店への気遣いを!

支払いには現金やクレジットカード、商品券などいくつかの手段があります。中でも、クレジットカードはスマートに支払いができ、利用するごとにポイントがたまるサービスがあるなど、便利な支払い手段。

「デートや接待でレストランを利用した場合など、テーブルチャージでもお相手に金額を知られずスマートにお支払いできるクレジットカードはとても便利ですよね。レジで後ろにほかのお客様が並んでいらっしゃるのに、お札を何枚も出したりしてしまい、時間がかかってしまう…というケースも避けられますし。ですが、どういう状況でお支払いするかによって、現金かクレジットカードか、ふさわしい手段は変わってくるので、注意も必要です」と平川さん。

実は、クレジットカードを利用して買い物をした場合、カード決済を行うお店がカード会社に1~5%程度の手数料を支払うルールになっています。たとえば車やインテリア関係など100万円単位のお買い物をクレジットカードでした場合、お店側の支払う手数料は、数万円に上ることも……。あまりに高額だと、お店の利益を圧迫してしまうことにもなりえるのです。

どのくらいの金額を「高額すぎる」と判断するかは個人に委ねられるところですが、お会計の状況やお店の規模も考慮に入れるようにしてみませんか? 例えば、10万円単位、100万円単位のお買い物ではクレジットカード支払いが可能だったとしても、振り込んだり現金で支払ったりする、など。よく利用する馴染みのお店や小さいお店ならとくに、この行為がかなりの気遣いになりますよ。

■3:レジの前で「ここは私が」「いえいえ、困ります」と揉める

支払いで揉めると周囲に迷惑がかかる!

相手を思いやるがゆえのこのやりとりも、他者から見ると困った行動になってしまいます。

「少なくともレジ前では、ほかのお客様もお待ちですし、お店の方に時間を取らせることにもなってしまうので、こういったやりとりは避けたいですね。お席で『ここは私が持ちます』とお話しするか、代表の方がお会計を済ませたあと、お店を出てから『お支払いします』とお伝えするのもよいでしょう」(平川さん)

自分が何か頼みごとをされたり、招かれる立場だった場合、相手に「お支払いします」と提案されたら、素直に従ったほうが、お互いにとってよい場合も。気になるなら「次回は私が」とお伝えしたり、手土産を用意しておくなど、お会計時にはなるべくスマートな対応を心がけたいものです。

■4:高額商品の代金を小銭で支払う

小銭は時間がかかりお店の迷惑にも

お財布の中の小銭がたまってくると、ついやってしまいがちなこの行動。ですが、店員側にとっては数えるのに時間がかかるという問題があります。特に、混み合う店内で1円玉や5円玉を必要以上に使うと、迷惑になってしまうことも。

「高級と言われるレストランや、販売店でキャッシャーで後ろにほかのお客様がお待ちのときには、必要以上の小銭でのお支払いは避けたほうがいいですね。どうしても使いたいのであれば、店員の方にひとこと『細かくて申し訳ないのですけれど』と添え、1円玉ごと、5円玉ごとなどに見やすく並べるとよいでしょう」(平川さん)

反対に、少額の商品を高額紙幣で支払う場合も「申し訳ないのですけれど、細かい持ち合わせがなくて」と一言付け加えると、気づかいが伝わります。

■5:食事会で「自分ひとりだけ多め」に飲食したときに、申告しない

友人同士の気軽なお酒の席などでやってしまいがちなのが、こちら。とくにお酒は1杯当たりの金額が料理一皿と同じ、というケースも少なくありませんし、飲む人と飲まない人で差が出やすいものでもあります。

とはいえ、楽しいお酒の席ですから、お酒が好きなら遠慮する必要もありません。この場合は事前に「私、お酒が好きだから多めに払うね」と伝えるか、お支払いのときに、ほかの人より多めに支払う気づかいは忘れないようにしましょう。

■6:男性や目上の人にご馳走してもらうときに遠慮をしない

女性の場合、会社の上司や男性にご馳走していただく場面も少なくありません。ですが、そういう場合も最初から「ごちそうさまでした!」と受け入れてしまうのは、あまり印象のよい行動ではありません。

「やはり、『お支払いさせてください』『おいくらでしたか?』といった一言は必要だと思います。『いや、ここはいいよ』と言われたら、ご馳走様でした、ありがとうございます、ときちんとお礼を言うと、お相手も気持ちよく過ごすことができます」(平川さん)

お財布を取り出して行動で示すなど、こちらも払いますという姿勢を示す気づかいは、忘れたくないものです。

■7:ご馳走してもらったときに「お礼の言葉をその場限り」で済ませる

できればお礼を3回は言いたいところ

NGというわけではないけれど、たしなみとして気をつけたいのがお礼のマナー。ご馳走してもらったときや高額のプレゼントを受け取ったときには、3回お礼を言うのが美しいマナーだと平川さんはいいます。

「その場で1度、帰ってから電話やメールなどでもう1度、そして次に会ったときにもう1度お礼の気持ちをお伝えできると、お相手に感謝の気持ちが伝わります」(平川さん)

感謝の気持ちを何度でも伝えることで、こちらの誠意をしっかりと伝えたいですね。

■8:ご馳走してもらった相手に「後日、大勢の前で」お礼を言う

お礼を言うタイミングもよく考えて

上司などにご馳走になった場合に気をつけたいマナーを、もうひとつ。前回、食事をご馳走になった相手に、次に会ったときに「先日はご馳走さまでした」とお礼を伝えるのは大切なこと。ですが、気をつけなければならない場面もあります。

「お相手の周囲に、ほかにも何人かお知り合いがいらっしゃる状況で『ご馳走様でした』とお伝えすると、周囲の方の中には“私はご馳走されていない”と受け取る方もいらっしゃるかもしれません。ご馳走さま、という言葉ではなく『この間はお世話になり、ありがとうございました』などとお伝えするほうが、いいですね。なるべくほかの方に気づかれないよう、席を立たれたときなどに伝えられると、さらによいでしょう」(平川さん)

お礼の伝え方にも、相手への気配りが反映されるもの。相手の立場に立った言動が、美しいマナーの基本ですね。

支払いの場面では、周囲や相手に面と向かっては聞きづらいケースも少なくありません。「こうしなければ」「これはダメ」と堅苦しく考えてしまいがちですが、あくまでもマナーの基本は“相手への気づかい”です。常に、自分がこう行動したら相手はどのように考えるだろう?と考えながら行動し、思いやりのある振る舞いをしていきたいものです。

平川直央子さん
愛されマナー学プロデューサー
(ひらかわ なおこ)元シンガポール航空客室乗務員などを経て2013年から企業マナー研修を行う。女性のトータルプロデュース指導、ファスティング相談・支援にも力を入れており、2014・2016・2017ミス・ユニバース・ジャパン滋賀大会ビューティキャンプオフィシャルマナー講師などを歴任。電子書籍「愛されマナー学~貴女が輝き 相手も幸せ27の方法~」はAmazon3部門1位を獲得。
愛されマナー学
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
よりみちこ