和食店のなかでも、親子丼は定番メニューのひとつ。やわらかくジューシーな鶏肉の上にかかった半熟卵と、艶のあるアツアツの白米を合わせて食べるおいしさは、丼ものならではですよね。
そんな親子丼を食べるとき、していることはありますか? ただ何となく出されたまま、食べていませんか? 今まで通りの食べ方では、親子丼本来においしさを、食べ逃しているかもしれません!
今回は、たまご料理研究家として活躍しているたまごソムリエ友加里さんに、さらにおいしく親子丼を食べる方法をお聞きしました。ぜひこの機会に、最高の親子丼をいただけるよう、食べ方を見直してみましょう!
最高においしく「親子丼」を食べるための5つの条件
■1:ふわとろ卵とご飯を「2(卵):1(ご飯)」の割合で、スプーンですくって食べる
たまごソムリエ友加里さんは、初めの一口はふわとろ卵とご飯を2(卵)対1(ご飯)の割合でスプーンですくって食べることを推奨。二口目には、鶏肉を追加して親子丼全体を味わいます。
このようにすると、それぞれの食材の食感と味を、二度楽しむことができます。卵黄が別でのっている親子丼の場合は、卵黄を軽く崩して一口ずつ絡めて食べるのが、最高においしい食べ方です。卵本来の甘みや旨味が口の中に広がり、鶏肉とだし汁の風味が後追いしてくるのです。
女性は丼モノを食べるとき、お箸で口にかき込むことに抵抗がありますよね。しかし、親子丼はスプーンを使って食べることをお店が推奨している丼です。親子丼で有名な外食チェーン店『なか卯』では、親子丼専用にスプーンを開発しているほど。
鶏と卵とお米をバランスよく掬えるという点で、スプーンで食べるのが推奨されているのです。ちなみにそのときのスプーンは、口当たりのいい木製スプーンが親子丼には合うそうですよ。自宅で親子丼を食べることが多いという方は、ぜひ用意してみてはいかがでしょうか?
■2:白身と黄身が混ざりきっていない「プルっとしている状態」の親子丼を選ぶ
おいしい親子丼の特徴として、卵が半熟であることがよく条件として挙げられています。白身と黄身が混ざりきっていなく、白身も黄身も半熟になってプルっとしている状態が一番おいしいそう。つまり、卵の特性から見ても、白身と黄身が混ざりきっていない半熟状態が、おいしく食べるためのポイントです。
半熟状態の卵は、ご飯と汁とよく絡み合い、口当たりもよく、舌に卵の旨味が残ります。反対に、カチカチに固まってしまった卵では、食感を損なうので、卵がご飯とよく絡み合いません。
できれば、白身と黄身が混ざりきっていない親子丼を選ぶことで、一番おいしい親子丼を味わえます。また、卵本来の味を楽しむ親子丼の具材は、鶏肉と卵だけのシンプルなものがベストだそうです。
■3:奥丹波の卵など「卵の銘柄」にこだわっている親子丼を選ぶ
最高の親子丼は、新鮮な卵が必要不可欠。卵が新鮮でないと、白身の弾力感を残したまま、半熟に仕上げられないことが多いのです。また、新鮮な卵は白身がプリっとしていて、弾力があります。卵のサイズは白身と黄身のバランスが最もよい、Mがベター。
理由は、卵はサイズが大きくなればなるほど、白身の比率が多くなるからです。友加里さんおすすめの銘柄は、『奥丹波の卵』。白身と黄身のバランスもとれ、他の食材と合わせることで、卵の甘さとコクが引き立つそう。
そのため、できれば『奥丹波の卵』を使用しているお店を選ぶこと。もしくは、卵の銘柄にこだわりをもってつくられている親子丼を選ぶようにすると、おいしい親子丼に出合うことができます。素材にこだわっているお店は、つくり方にもこだわられているため、まず間違いありません。
自分で親子丼をつくる場合のポイントは、白身の食感と黄身の食感の違いを楽しむために、卵は混ぜすぎないこと! 白身をざっくり切る程度でOKです。半熟なとろとろにするために、卵は二回に分けて加えます。
火加減のポイントは、1回目に卵を入れるときには強めの中火、卵が固まってきたら(半熟の状態)2回目の卵を入れ、蓋をして火を止めて、余熱で半熟にします。アレンジとしては、だし汁を洋風(コンソメ)や中華風(鶏ガラスープなど)にしても美味です。
鶏肉は、地養鳥(※)がベター。加熱してもやわらかく、ジューシーな鶏です。だし汁は、スーパーなどで売っているものでOK。だし汁の風味が出過ぎないようにするので、香りが強いものを避けます。
三つ葉は、葉が大きくないものを選びます。葉が大きいものは筋が口に残りやすいです。使用する前に、10分ほど冷水にさらして使うのがベストです。冷水にさらすことで三つ葉がシャキッとしますよ。
■4:「一粒一粒が立つ」ような炊き加減のご飯を使用している親子丼を選ぶ
親子丼は、ご飯も重要な要素。友加里さん曰く、親子丼のお米は福島の『ひとめぼれ』がいいそうです。食感のよさをのこしつつ、マイルドな味わいなので、親子丼にとても合います。
そして炊き加減は、シャキッとした一粒一粒が立つような状態が一番おいしいのだとか。親子丼に使われているそれぞれの食材の食感を変えることで、メリハリがつき味のぼやけがなくなります。
なかなか外食では炊き加減までチェックできませんが、アツアツのうちに食べるだけでおいしさは大違い。温度が下がればさがるほど、旨味や卵本来の甘みを感じにくくなってしまいます。
さらに、塩味を強く感じやすくなってしまったり、鶏肉の食感が硬くなり、卵のふわとろ状態も損なわれてしまいます。親子丼も、他の食べ物同様、熱いものは熱いうちに食べるようにしましょう。
■5:「ふた付き」で提供される親子丼を選ぶ
お店で親子丼を食べるとき、ふたを付けた状態で提供されるときと、ふたがない状態で提供されるときがありますよね。卵の特性上、蓋をあけた状態だと空気に触れて卵が乾燥しやすくなってしまいます。乾燥すると、卵の表面が固くなるのです。そのため、ふわとろの半熟卵の触感を味わうには、蓋付きの方が向いています。
さらにふた付きだと親子丼の温度も冷めにくいので、できたてをキープして食べることができておいしく食べることが可能。器で極端な味の変化はありませんが、木製のものや陶器は目からもおいしく感じます。
そのまま食べてもおいしい親子丼ですが、味の変化を楽しみたいときには七味などを使用して、バラエティ豊かに楽しんで。友加里さんは、親子丼を半分くらいそのまま食べたあとに、一口ずつスプーンの上にのせた状態で香辛料をかけて食べるそう。
量は、風味を楽しむ程度の一振りくらいがお薦め。親子丼には、黒七味や、柚子胡椒を合わせるとおいしくいただけます。親子丼を食べるときに合う飲み物は、冷たいお茶が最適です。口の中が一度お茶の味わいと冷たさでリセットされ、親子丼を最後までおいしく味わうことができます。
おいしい親子丼が食べられるお店は「玉ひで」「鶏三和」「鳥開」!
最後に、『マツコの知らない世界』(TBSテレビ)にも出演された、全国丼連盟 理事のドン伊藤さんに、とっておきの親子丼が味わえるお店を教えていただきました。
親子丼の中でも、鶏肉の食感を楽しみたい人には、親子丼の元祖と言われている『玉ひで』(東京・人形町)。東京軍鶏を利用した親子丼は、甘辛の割り下に東京軍鶏の味がしっかりとします。東京軍鶏の特徴として鶏の味はしっかりしていますが、脂がさらりとしていています。女性でもぺろりと食べられる親子丼です。
逆に、がっつり食べたい男性にお薦めしたいのは、名古屋コーチンを使った親子丼です。脂身の甘さと、肉の旨味が非常にはっきりしている鶏肉であることから、親子丼にすると、とても濃い味の親子丼になります。
また名古屋コーチンのお肉を提供している親子丼のお店は卵も名古屋コーチンの場合も多く、少し甘めの割り下と相性が良いため、よりがっつり感を味わえます。
そんな名古屋コーチンの親子丼を食べられるお店として、『鶏三和』(愛知・名古屋)は支店も多く、全国で食べられます。またさらに濃い味を求めるなら、『鳥開』(愛知・名古屋)がおすすめ。出汁にもこだわっており、国内最高ランクの味醂、醤油、鰹を数種類使い、名古屋コーチンの濃さに負けない、奥行きのある味を楽しめます。
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親子丼を食べるとき、細部まで気にすることは少ないですよね。しかしさらにおいしく食べるには、出汁の味付けや、卵のトロトロ具合、鶏肉の味、副菜などにこだわることが重要。ぜひこれからは上記の条件をを意識して食べてみてくださいね!
公式サイト
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 池守りぜね