毎年恒例の隅田川花火大会。下町の風情が残る隅田川沿い、両国の夏の風物詩です。「隅田川花火大会を見ないと、本格的な夏がはじまらない!」という方も多いかもしれません。2018年の開催は7月29日(日)(※台風12号の影響で28日より順延して開催)。
台東区と墨田区の間を流れる隅田川を会場としている隅田川花火大会では、毎年実行委員を台東区と墨田区で交代して担当しているのだそう。
そこで、第41回隅田川花火大会実行委員会会員で、墨田区地域力支援部文化芸術振興課の担当者に、今年の見どころと花火大会の歴史を伺いました。
2018年は7月29日! 第41回隅田川花火大会の開催情報
見どころの前に、まずは今年の開催情報を確認しましょう。
開催日時
- 開催日/2018年7月29日(日)
- 28日開催予定だったが台風予報のため、29日に順延
- 第一会場/19:00〜20:30
- 第二会場/19:30〜20:30
第一会場・第二会場とも18:15から少しずつ花火が打ち上がります。これは「もうすぐ始まります」という合図で、「雷」といわれています。
本格的なプログラムの開始時間は第一会場と第二会場で異なるので注意しましょう。
また、雨天など花火大会の実施が難しい場合は、隅田川花火大会公式webページおよび公式Twitterで発表されます。当日の朝、「今日の花火、見られるかな?」と不安に感じたときは、公式情報をチェックしてみましょう。
会場へのアクセス
・第一会場:桜橋下流〜言問橋上流
最寄駅/浅草駅、押上駅、東京スカイツリー駅、曳舟駅
・第二会場:駒形橋下流〜厩橋上流
最寄駅/浅草駅、蔵前駅、両国駅、浅草橋駅
第一会場と第二会場は約1.5km離れています。担当者によると、前後にあがる2つの花火を同時に楽しめるベストスポットを見つけながら、この2会場の間を周遊するのがおすすめの楽しみ方なのだそう。
また、当日会場周辺は交通規制が行われます。車両通行止めのほか、歩行者も一方通行指定になるところがあります。規制時間は18:00〜21:30ごろ。事前に交通規制区域を確認し、車を使う場合は区域外の駐車場から歩いて会場まで向かいましょう。
そして、混雑が予想される花火大会で気になるのが、トイレ事情。当日は仮設トイレも設置される予定です。
道路規制や会場周辺のトイレの場所は、公式webサイトで確認できます。事前にチェックして予定を組むと、よりスムーズで快適に花火大会を楽しめますよ。
今年の見どころは? 会場ごとのイチオシをチェック!
隅田川花火大会では、事前に打ち上げのプログラムが決まっています。
「大会の本格的な準備は、4月上旬に開かれる隅田川花火大会実行委員会からスタートします。大会のプログラムは、花火業者が長年の経験を踏まえ、毎年趣向を凝らして考えています」(担当者)
演出と打ち上げを担当するのは、老舗の花火業者2社です。今年の第一会場担当は「たまやー! かぎやー!」の掛け声でおなじみ鍵屋の流れを継いでいる「ホソヤエンタープライズ」。第二会場は154年の歴史を誇り、戦後いち早く日本の花火を輸出した「丸玉屋小勝煙火店」が担当します。
第一会場、第二会場それぞれのプログラムと、今年の見どころを伺いました。
【第一会場】のプログラム、見どころは10の業者が競うコンクール
第一会場(桜橋下流〜言問橋上流)では、打ち上げ開始から10分の間に1,495発を打ち上げるプログラムを用意。グランドフィナーレは、5分間で1,945発の迫力です。また、子どもも一緒に楽しめる「ポケモン花火」も予定されています。
迫力の打ち上げ数もさることながら、第一会場の見どころは「花火コンクール」なのだそう。
「花火コンクールは、第一会場のみでなく、隅田川花火大会全体における見どころです。隅田川花火大会ゆかりの花火業者と、全国の花火コンクールで優秀な成績を収めた花火業者の計10社が競い合います。各社の持ち時間は2分。それぞれ自分たちで決めたテーマを表現する花火を打ち上げます。テーマの表現性や花火の色、形などを10名以上の審査員が審査します」(担当者)
全国トップクラスの花火業者による、これまでにない花火や演出を見られるところも、隅田川花火大会の魅力です。
【第二会場】の見どころは1,000発を超える大迫力の演出
第二会場(駒形橋下流〜厩橋上流)の見どころは、その打ち上げ数。なんと、1時間で合計10,650発が打ち上がります。
「第二会場で特に見応えがあるのは、19:30のオープニング『祝 第41回隅田川花火大会』、19:50の『旋律美のパフォーマンス』、そして20:25のフィナーレ『千紫万紅大江戸花嵐!』です。特に球数が多いプログラムなので、大迫力ですよ」(担当者)
担当者によると、隅田川花火大会で打ち上げる花火の大きさは、1番大きくて5寸玉(直径約15cm)と、意外にも小ぶり。打ち上がると直径約170mに広がります。ひとつひとつの花火の大きさのみでなく、全国屈指の老舗による演出と、東京スカイツリーをはじめとする街並みとの共演が、隅田川花火大会の魅力といえそうです。
具体的な演出は当日のお楽しみとのことですが、プログラム名から情景を連想して花火を眺めると、またいつもとは違った楽しみもあるかもしれません。
390年の伝統で初の試み!花火の打ち上げをみんな一緒にカウントダウン!
今年はさらに新たな楽しみ方が用意されています。スマートフォンアプリを使った、花火打ち上げのカウントダウンです。
「今回のカウントダウンは、2020年を見据えて花火大会を“参加型”にしようと企画しました。それにより、花火大会が人と人とのつながりを深めるきっかけとなり、愛着・誇りを感じてもらえるようにしたいと思っています」(担当者)
カウントダウンが行われるのは、豪雨を予想し3Dで状況を描写する天気予報アプリ「3D雨雲ウォッチ」。アプリをスマートフォンにダウンロードしておくと、当日の花火大会実施可否を含め、push通知でお知らせが届きます。
当日アプリを開くと、各会場の打ち上げ3分前から画面上に時計が表示されます。その時計に合わせ、10秒前から声を合わせて花火打ち上げのカウントダウンするのだそう。
「秒読みがゼロになった瞬間に、花火のように両手を広げる“すみはなポーズ”を、周囲の人と一緒にとしてみてください。みんなでポーズを取ったのと同時に花火が打ち上がる瞬間の心地よさは、花火大会をより一層楽しくしてくれますよ」(担当者)
さらに、花火大会前から楽しめるコンテンツも配信予定。コラムコーナーでは花火大会のトリビアやテレビ東京の中継番組にまつわる裏話、プロによる花火の解説や、気象予報士による最近40年間の天気分析などの情報が、更新されます。
市民の力で繋いできた360年の伝統。ルールを守って安全に楽しんで
今年で第41回を迎える隅田川花火大会。その起源を辿ると、江戸時代にまで遡ります。
はじめて隅田川で花火が打ち上がったのは江戸時代の享保18(1733)年。前年の大飢餓と疫病の流行で犠牲となった人々の慰霊と悪病退散を祈って将軍吉宗が行った水神祭で、両国橋周辺の料理屋が幕府に許可を得て花火を打ち上げました。これが、記録に残る日本最古の花火大会なのだそう。
「隅田川で行う花火大会は江戸時代から『両国の川開き』と呼ばれていました。この名称は1961年まで使われていましたし、今でも隅田川花火大会のことを『両国の川開き』と呼ぶ人もいます。そんなところに、昔からの名残があるかもしれませんね」(担当者)
2会場で花火を打ち上げる形式も、一説によると江戸時代に2つの花火業者「鍵屋」と「玉屋」が別々の会場で上げていた名残なのだとか。
そんな歴史ある花火大会も、交通事情の悪化や隅田川の水質汚濁などにより、1962年以降開催されなくなった時期があります。
「『両国の川開き』が開催されなくなってから『隅田川花火大会』の復活まで、17年かかりました。
その17年の間に工場公害の規制が徹底され、隅田川の浄化が進むなど、周辺環境が改善されたんです。それにつれ、地元の人たちや浅草の観光協会、また東京都の『両国の花火大会を復活させたい!』という機運が高まりました。そして、1979年に『隅田川花火大会』と名称を改め、復活しました」(担当者)
復活にあたり、ビルの連なる都会となった隅田川で、より多くの人が安全に花火大会を楽しめるように、さまざまな試験が行われたそう。そして、打ち上げ場所を以前より上流へ移動、会場をふたつに分けるなどの工夫を施し、現在の川沿いを歩いて楽しむ花火大会のスタイルになりました。
「花火大会当日は、混雑が予想されます。会場周辺では、多くの方に安全に楽しんでもらえるよう、交通規制・立入禁止区域・一方通行を設けています。事前にチラシやwebサイトでご確認ください。また、当日は警察や警備員の案内・誘導に従ってください。事故のないようルールとマナーを守り、楽しく安全に花火をお楽しみください」(担当者)
時代を超えて多くの人に愛されてきた隅田川花火大会。今年は、周囲の人と一緒にカウントダウンし、演出の情景をプログラム名から連想しながら花火を楽しんでみませんか?
問い合わせ先
- 隅田川花火大会実行委員会
- TEL:03-5608-1111
- 受付時間/9:00〜17:00(土日祝日を除く)
- Twitter/@sumida_river_fw
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- COOPERATION :
- 墨田区
- EDIT&WRITING :
- 廣瀬 翼(東京通信社)