華やかさと儚さを纏う、夏の涼「金魚」

子どもの頃、近所の夏祭りで「金魚すくい」に夢中になった記憶はありませんか? 家族や友達同士で競い合ったり、的屋のお兄さんにおまけをしてもらったり。着慣れない浴衣や恋人と手が触れ合うドキドキで、それどころじゃなかったり…。やっとすくえた金魚たちを袋からこぼさぬよう、大事に持ち帰ってお世話するものの…ハッと気づいて水槽を覗いた時には、儚なくなっていた…なんて経験を思い出す方もいらっしゃるでしょう。

日本人にとっての「金魚」は、そんな懐かしく切ない風景をも思い起こさせてくれる「夏の涼」の象徴です。

金魚が織りなすアート作品「天井金魚」。光と影のコントラストが美しい。(「アートアクアリウム2018」展示作品より)
金魚が織りなすアート作品「天井金魚」。光と影のコントラストが美しい。(「アートアクアリウム2018」展示作品より)

■室町や江戸のセレブに愛された過去

金魚が日本にもたらされたのは室町時代(1502年)。当時は城主や大名(いわゆるセレブ)しか見ることの出来ない、贅沢を象徴する存在でした。江戸時代に入ると、武士や豪商屋敷の庭池で飼われるようになり、彼らが豪遊した「花街の華」としても愛でられ、その後、庶民のあいだでも、浮世絵や家具・着物の柄にモチーフとして採り入れる「金魚ブーム」が湧き起こり一般化しました。

■人の手により生み出された、哀しき宿命

金魚といえば「朱色」のイメージも強いですが、白、黒、金などを組み合わせたゴージャスな雰囲気を纏う品種もあります。和金、琉金、出目金や、つぶらな瞳のランチュウなど体型もさまざま。実はこれ、金魚のルーツであるフナの持っている特徴「変異しやすい染色体」を用い、人工的な交配を行うことで様々な品種改良がすすめられてきたからなんです。金魚が放つ独特の艶やかさは、特別な階級の人々が愛でる「観賞魚」としてプロデュースされてきた過去や、数奇な運命をたどる可能性を秘めている存在だからなのかも。

江戸に栄えた花街を想起させるアート作品「超・花魁」…日本の伝統色である「朱」は、「生の躍動」を表す色ともいわれ、悪い気を払い退けることが出来るという云われがあります。(「アートアクアリウム2018」展示作品より)
江戸に栄えた花街を想起させるアート作品「超・花魁」…日本の伝統色である「朱」は、「生の躍動」を表す色ともいわれ、悪い気を払い退けることが出来るという云われがあります。(「アートアクアリウム2018」展示作品より)

■現代によみがえる「粋」な金魚の世界

このように江戸から引き継がれてきた「粋」を感じさせる金魚の世界を、新たな形で現代によみがえらせる試みがあります。2018年7月6日より9月24日まで、東京・日本橋三井ホールで開催される『ECO EDO 日本橋 アートアクアリウム 2018 ~江戸・金魚の涼~ & ナイトアクアリウム です。

「アートアクアリウム 2018」の広報大使には、女優の上戸 彩さんが就任。どんなイベントになっているのか、たっぷりとその魅力や楽しみ方が語られたムービーがこちら。

 

アートアクアリウムってどんなものなの?

開催11年を迎え、現在までに累計835万人もの来場者が訪れている展示会「アートアクアリウム」は、“アート、デザイン、エンターテイメント”と“アクアリウム”が融合した水族アート展覧会です。和をモチーフにデザインされた芸術作品のような美しい空間デザイン・演出と、水槽の中の生態系をアートに昇華した発想や表現が、注目を集めているんです。江戸時代に育まれた「粋」な金魚の世界を、新たな形で現代によみがえらせる試みは、観賞魚として存在することになった魚たちに晴れの舞台を、との想いが込められているんだそう。

こちらは構想に5年かけてついにお披露目となる新作「天井金魚」
こちらは構想に5年かけてついにお披露目となる新作「天井金魚」
不思議な妖艶さを醸し出す「超・花魁」は、約3,000匹の金魚が舞い泳ぐアートアクアリウム史上最大の作品。
不思議な妖艶さを醸し出す「超・花魁」は、約3,000匹の金魚が舞い泳ぐアートアクアリウム史上最大の作品。
こちらは「九谷金魚品評&金魚コレクション」。
こちらは「九谷金魚品評&金魚コレクション」。
場内の全体はこんな感じになっています。なんとも幻想的な空間がひろがっていますね。
場内の全体はこんな感じになっています。なんとも幻想的な空間がひろがっていますね。

ついついその「フォトジェニック」な見栄えの部分に気をひかれがちですが、実はこの展示作品たち、人の手により生み出されながらも、自然の摂理の中にある生態系を生かす「知識と技術」があってこそ実現できるものなんです。展示されている金魚たちも、専門家の手を尽くしたベストな状態で披露されています。

エレガントでゴージャス、でもどこかが儚ない…そんな金魚たちの舞いを通じ「美しいものを護っていくこと」に想い馳せる…過去と未来が融合したかのような、不思議な感覚が味わえそうですよ!

『ECO EDO 日本橋 2018 ~五感で楽しむ、江戸の涼~』

ECO EDO 日本橋は、江戸時代に育まれた、“涼”をとるという当時の生活の知恵や工夫を現代流にアレンジ。浴衣、金魚、花火、提灯、風鈴など、日本情緒あふれる夏を五感で体感できる様々なイベントです。イベント開催期間中、さまざまな「夏の涼」をモチーフにした限定商品の販売や、お食事メニューの提供、夏らしい華やかな装飾がエリア内にて行われます。

公式WEBでは、イベント開催エリアめぐりに便利な周辺MAP(PDF)や、様々な楽しみ方も提案されているのでぜひチェックしてみて!

「アートアクアリウム 2018 ~江戸・金魚の涼~ & ナイトアクアリウム」開催概要

主催:株式会社エイチアイディー・インターアクティカ
主催:株式会社エイチアイディー・インターアクティカ

開催期間:2018年7月6日(金)~9月24日(月・祝)
営業時間:日~金曜日11:00〜22:30(最終入場 22:00)/土・祝前日11:00〜23:30(最終入場 23:00)
アートアクアリウム11:00〜19:00/ナイトアクアリウム19:00〜(上記各曜日に準ずる)
※スペシャルイベント開催日は開催時間が異なりますのでご注意ください
※ナイトアクアリウム転換時は、入場料金の変動・入れ替えはありません

場所:日本橋三井ホール(東京都中央区日本橋室町2丁目2−1 COREDO室町15F/エントランス4階)
入場料:一般(中学生以上)1,000円/子ども(4歳以上 小学生以下)600円
※3歳以下 無料/小学生以下 保護者要同伴 ※税込み

「真の日本」をコンセプトに、今年初めてお披露目となる4作品をはじめ、金魚や錦鯉など約8,000匹の観賞魚が舞い泳ぐ幻想的空間が楽しめます。19時以降の「ナイトアクアリウム」では、「花魁ナイト」「芸妓&舞妓ナイト」「Disco Night Aquarium 〜フライデーナイトフィーバー〜」などのスペシャルステージも盛りだくさん!これから順次、新企画も発表されていくとのこと。

「アートアクアリウム」と劇場型レストラン&ラウンジ「水戯庵」を周遊するセットチケットも各種販売されていて、どんな楽しみ方をしようかあれこれ期待がふくらみますね。

どんな人と行くと楽しそう?

気の置けない友達同士やカップルで、浴衣を着て出掛けるもよし、家族と夏休みの思い出作りをするもよし。平成最後の夏だからこそ、涼感あふれる旧き良き江戸を感じ、ゆったりした時の流れを楽しみたいものです。

「ECO EDO 日本橋」の公式Instagram(@ecoedo_nihonbashi)で現地の様子も日々更新されており、どんな感じか雰囲気をチェックできます。ハッシュタグ「#ecoedo日本橋」「#日本橋で夏を満喫」をつけて投稿すると公式WEBでも紹介されるので、モデルになった気分でぜひ挑戦してみて。そろそろ、夏のおでかけ計画を立ててみてはいかがでしょうか?

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