焼きたてのトーストには、やっぱりじゅわっと溶けたバターが一番。お菓子づくりや料理のコク出しにも必要不可欠であるバターは、冷蔵庫に常備する食材のひとつです。

さて、みなさんはそんなバターをどのように保管していますか? 冷蔵庫で保管するのが正しそうではありますが、取り出すとカチコチに固まっていて、バターナイフでうまくパンに塗れない……なんてこともしばしば。となると、保管の適温は何℃なのでしょうか?

そこで今回はバターが劣化してしまう、ついやりがちなNG行動をご紹介します。牛乳・乳製品についての衛生及び品質の向上や、知識の普及への取り組みを行う日本乳業協会の唐津美絵さんに詳しく教えていただきました。購入時の品質のまま、おいしくバターをいただくために覚えておいて損はありません!

バターが劣化する5つのNG行動 

■1:破れたアルミパーチ紙で包み直すのはNG

バターを包んでいる銀紙をそのまま使うときには注意が必要!
バターを包んでいる銀紙をそのまま使うときには注意が必要!

バターは空気や光による影響を受けやすい食品。そのため、購入時はアルミ箔に硫酸紙を重ねた「アルミパーチ紙」という銀紙で包まれています。

このアルミパーチ紙が破れたにも関わらずそのまま使用すると、バターに雑菌が付着する可能性があります。また、破れた隙間から酸化や乾燥が進行し、これが変色の原因にもなり兼ねません。使用後でも清潔なアルミパーチ紙に包めていればよいのですが、実際は難しいところ。また、破れた状態で包み直すと冷蔵庫内の臭いがバターに吸着してしまいます。

アルミパーチ紙を再度使用してはいけないというわけではありません。ですが、破れた場合は別。必ず清潔なアルミホイルや食品用ラップで包み直すようにしましょう。

■2:固まるのを防ぐため、常温保管するのはNG

常温保管は風味を損なう?
常温保管は風味を損なう?

バターを冷蔵庫に入れておくと固くなるので、必要なときにいざ取り出してみると使いにくかったりしますよね。風味や塗りやすさを損なわないために常温保管をしている方も多いようですが、それはNG。

バターの保管は10℃以下が適温です。必ず冷蔵保管しましょう。バターは温度に敏感な食品。一度溶けてしまうと組織が壊れ、再び冷蔵し固めても元のような風味や口当たりには戻りません。

また、バターは28〜33℃くらいで溶けてしまうので、これからの季節の保管には特に注意が必要です! 夏の高温多湿な環境下では、カビや雑菌も発生しやすくなります。カビが生えた部分だけを取り除いても全体的に変質しているので、食べずに廃棄しましょう。

■3:冷凍と解凍を繰り返しての保存はNG

パッケージに記載されている方法と異なる保存方法はおすすめできません!
パッケージに記載されている方法と異なる保存方法はおすすめできません!

バターは80%以上の乳脂肪分の中に少量の水分が分散している食品。そのため、冷凍後に解凍しても組織への影響は考えられにくく、冷凍保存することは可能です。ただし、冷凍と解凍を繰り返すのはNG。何度も冷凍と解凍を行うと、品質が劣化し風味が悪くなってしまいます。

また、バターの保管において冷凍はおすすめできません。なぜなら、市販されている多くのバターには「10℃以下で冷蔵保存してください」と容器の一括表示欄に書かれています。この場合、 「冷凍保存」することは表示とは異なる保存方法で、メーカーも推奨していません。また、家庭の冷凍庫は開閉時に庫内の温度が上昇するため品質が劣化する可能性もあります。 

もし、自己判断で冷凍保存される場合は、以下3点に必ず注意してくださいね。

1:少量ずつ小分けにしてラップ等に包む
2:使用するときに必要な分だけ解凍する
3:一度解凍したバターを再冷凍せず、解凍後は早めに食べる

■4:密閉度の低いバターケースでの保管はNG

フタがしっかりしまらないケースは選ばないようにしましょう
フタがしっかりしまらないケースは選ばないようにしましょう

バターは空気に触れると劣化しやすいため、移し替える容器は密閉できるものを選びましょう。フタを被せるのみのバターケースなどは、密閉度が低いため避けたほうがベターです。

当然のことですが、バターケースはバターを入れ替えるたびに洗浄し、よく乾かしてから、新しいバターを入れてください。清潔を保つため、そして品質を劣化させないために保管に適したケースに入れ、使う分だけバターを取り分けてすぐに冷蔵庫を戻すようにしましょう。

■5:バターナイフをバターケースに入れたままにするのはNG

うっかりバターナイフを入れっぱなしにしていませんか?
うっかりバターナイフを入れっぱなしにしていませんか?

せっかくバターケースに移し替えたにもかかわらず、バターナイフをケースに入れっぱなしで保管していることもたまに見受けられますが、それはNGです。

バターをパンに塗ったとき、バターナイフにパンくずがついたままになっていると、雑菌の繁殖の原因に。一度使った包丁は洗ってからしまうように、バターナイフも一度使ったら必ず洗うこと。その都度清潔なバターナイフを使用し、雑菌の繁殖を防ぎましょう。  


【まとめ/バターが劣化する5つのNG行動】
1:バターを銀紙が破れた状態で包み直す 
2:固まるのを防ぐため常に常温保管する 
3:冷凍と解凍を繰り返しての保存 
4:密閉度の低いバターケースでの保管
5:バターナイフをバターケースに入れたままにする

せっかくの豊かな香りと風味を持つバターも、保管の仕方によってはその風味が失われてしまいます。必ず10℃以下で「冷蔵保存」すること、酸化防止のために密閉することに気をつけてくださいね。

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この記事の執筆者
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WRITING :
松崎愛香
EDIT :
高橋優海(東京通信社)