格式ある西洋料理店やパーティーの席ではワインがつきものですが、あなたのワインのマナーは大丈夫? 自宅やカジュアルなお店でワインを飲みなれていても、実は正式なマナーには自信がない、という人も少なくないことでしょう。

うっかりそそうをして、「品のない人だな……」などと評価を下げたくないものですよね。そこで、今回はマナー講師の瀬尾姫民さんから、ワインを飲むときのNGマナーを教えていただきました。

ワインを飲むときにやってはいけないマナー9選

■1:香りの強い香水を着用する

香水がきつすぎるとワインの香りが楽しめない

まずはおしゃれのマナーから。

「食事の席では香りを控えるのがマナー。とくにワインでは香りが命です。ワインを楽しむときは香水をつけないか、つけても足元などに控えめにとどめましょう。周りの方への配慮も大切なマナーです」(瀬尾さん)

自分にとってお気に入りの香りでも、周囲の人にはワインを台無しにするものかもしれません。TPOをわきまえたおしゃれを心がけましょう。

■2:ワイングラスのボディを持つ

実は、持ち方にもマナーがあります。ワイングラスのボディを持つと、手のぬくもりがワインに伝わって風味を損なうおそれがあります。ワイングラスはボディではなく、脚の部分を持つのが正解です。とくに女性は、指をそろえて持つことを心がけましょう。

■3:グラス同士をぶつけて乾杯する

正式なマナーでは乾杯でグラスをぶつけない

ビールで乾杯するときには、ジョッキ同士をカチンと合わせる光景も見られますが、ワインの正式なマナーではこれは不正解。ワイングラスはとても繊細なので、力加減によってはグラスを破損することになりかねません。ワインでの乾杯は、軽くグラスを持ち上げて、アイコンタクトをとるだけで十分です。

■4:グラスをやたらグルグル回す

スワリングはやり過ぎないように!

ワイン通が、ワイングラスをクルクル回すのを見たことないでしょうか? このグラスを回す行為はスワリングといって、ワインを空気に触れさせることで、ワインの風味を豊かにする効果がある、といわれています。ただ、通ぶってグラスを回しすぎるのはNG。過剰にグラスを回すとかえって香りが飛んでしまったり、こぼしたりするおそれがあります。

スワリングはやらなくてもOKですし、もしやるなら2~3回転で十分。また回転する向きは、グラスを持つ利き手と反対(右利きなら反時計回り)が正解です。実際にやってみるとわかりますが、この方向であれば万が一勢いあまって中身をこぼしても、ワインが自分のほうにかかるだけで、周囲の迷惑にはなりません。スワリングをやるなら、同席者に配慮して、回す方向に気をつけましょう。

■5:ワインを飲む前に口の汚れを拭わない

ワイングラスにつけるその唇、料理の油で汚れていませんか? グラスにべったり汚れがつくのは、見た目上、好ましいものではありません。グラスに口をつける前に、必ずナプキンで唇を軽く押さえましょう。ただ、そのように気をつけていても、口紅などがワイングラスについてしまうことはあります。その場合、どのように振る舞うのがよいのでしょうか?

「グラスの縁が汚れた場合は、指先で軽くぬぐいます。そして、汚れた指は、二つ折りにして膝に置いたナプキンの内側で、そっとぬぐうようにしましょう」(瀬尾さん)

ワイングラスを汚しても、落ち着いてエレガントな対処ができるようになると、自信にもつながります。

■6:「お任せします」と、ワインの選定をソムリエに丸投げする

ソムリエ泣かせな一言とは?

リストにずらりと並んだワインの銘柄……。ワイン初心者だと、「よくわからないので、お任せします」とソムリエに丸投げしたくなるかもしれませんね。でも、このお任せというオーダーは、なかなかソムリエ泣かせな面があるようです。

「完全に丸投げすると、ソムリエの方を困らせてしまうかもしれません。とくに、悩ましいのは予算。お客様に恥をかかせてはいけないので、あまり安いワインをおすすめするわけにはいかないですし、かといって、高いワインをおすすめすると、お客様の予算をオーバーしてしまうおそれもある……というのは、ソムリエの方にとって、とても難しい問題です。

ワインのことがまったくわからなくても、せめて予算だけはお伝えしたほうがよいでしょう。接待の席など、予算をその場で口にするのがふさわしくない場合は、ワインリストを見せてもらって『このあたりでお願いします』と指差すのがスマートです。

あとは、ワインはお料理と一緒に楽しむものですので、料理に合うように選んでもらうのもいいですね。それから、渋いものが好き、今日はスッキリしたものを飲みたい気分、以前飲んだこんなワインがおいしかったなど、大まかなイメージだけでもいいので、可能な範囲で、好みの情報を提供したほうがよいでしょう」(瀬尾さん)

ソムリエとうまくコミュニケーションが取れれば、ワインの楽しみ方がもっと広がるかもしれませんね。

■7:ワインを手酌する

ワインをおかわりしたい場合、テーブルにボトルが置いてあっても、自分たちで勝手に注がないようにしましょう。万が一、そそうがあっては大変です。

「カトラリーを落としてしまった場合もそうですが、お店のかたにお任せするのが正解です。サービスの行き届いたお店であれば、いいタイミングで注ぎにきてくれるでしょう。とりわけ女性がワインボトルを持つことはタブー。ワインの西洋文化ではレディファーストの精神がありますので、ご婦人にボトルを持たせてはならないのです。そういう文化を尊重するという意味でも、お店の人についでもらうようにしましょう」(瀬尾さん)

カジュアルなお店で女性同士で飲んでいるような場合を除いて、女性はお店でワインボトルを持つべからず!

■8:ついでもらうときにグラスを持ち上げる

ついでもらうときグラスはテーブルに置いたままに

日本文化においては、お酌を受けるときに、自分のお猪口などを持ち上げる習慣がありますが、ワインを注いでもらう場合は、グラスを持ち上げません。持ち上げると、かえって相手にとって注ぎにくくなってしまいます。

「日本文化になじんでいると、持ち上げなくてもせめて添え手くらいはしたほうがいいのでは……と、落ち着かなく感じる人もいるようですが、添え手も不要です。自分では手出しせずに、お店の人にお任せしましょう。また、注いでもらった後には『ありがとうございます』とお礼を伝えるのも大事です」(瀬尾さん)

お店側とお客側とそれぞれの役割を尊重しつつ、適切な振る舞いを心がけましょう。

■9:おかわりを断ろうとして、グラスの口を手でふさぐ

最後は断り方のマナー。気が利くお店だと、お客様のグラスが空きそうなのを見て、スタッフがすぐにおかわりを注ぎに来てくれることでしょう。その際、おかわりはもういらないからといって「もういいです、いいです!」と、グラスの口を手でふさぐのはNG。

「あまり大げさな動作は、その場の雰囲気にそぐいません。おかわりしたくない場合は、グラスの縁に人差し指と中指を軽く置いて、『もう十分いただきましたので』とそっと伝えるとよいでしょう」(瀬尾さん)

乾杯からごちそうさままで、エレガントに!

これで、ラグジュアリーなお店で自信をもってワインをいただくことができそうですよね。ワインのマナーも理解して、お食事をよりいっそう楽しみましょう。

瀬尾姫民さん
マナー講師
(せお ひさみ)Seocolor Academy代表。一般社団法人日本プロトコール&マナーズ協会認定サロン。1993年イメージコンサルタント資格を取得。2005年Seocolor Academyを設立。カラー、ファッション、ブライダル、プロトコール&マナーの分野において個人及び企業向けコンサルティング、セミナー、研修、育成を行う。ホテルナゴヤキャッスル主催キャッスルアカデミー「トータルビューティーレッスン」や主催するエレガントマナー講座、和の作法&テーブルマナーレッスンも毎回キャンセル待ちと好評。ブライダルやデパートイベントのプロデュース、TV出演、人気女性誌での掲載など多分野で活躍する美のスペシャリスト。『なごやの冠婚葬祭』監修。著書に『お食事から身につける美しい日常』がある。
Seocolor Academy
この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2018.10.23 更新
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美