昨今は、NetflixやAmazonプライム、Huluなどの動画配信サービスの普及により、好きな映画やドラマを自宅で気軽に楽しめます。そんな寛ぎの時間を、より特別なものにしてくれるのがホームシアターです。大画面や臨場感のあるサウンドに包まれながらの鑑賞は、より心の琴線に触れ、充実した時間を過ごせそうですよね。
とはいえ、自宅への設置となると「とても手が出せない金額感なのでは?」 と調べる前に諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、年間に300件以上のホームシアター施工を行う、国内最大級のホームシアター・オーディオ専門店である「アバック」の営業企画部・関 桂良さんに、ホームシアターの設置条件やグレード別の設置価格、さらにはその魅力について詳しく伺いました。
「ホームシアター」はおいくら?設置条件は?
生活感のあるリビングをボタンひとつで非日常のエンターテイメント空間に!
——まず、ホームシアターの定義を教えてください。大型テレビやプロジェクターと何が違うのでしょうか。
「ホームシアターとは、一般的に大画面(60インチ以上)映像と5.1ch以上(フロント、センター、リア、ウーファー)のサラウンドシステムが組み合わさったものの総称です。大型テレビやプロジェクターは、ホームシアターを形成するための機材のひとつです」
——設置できる場所に条件はありますか?
「場所に応じた設計が可能ですが、中空や極端にゆがんだ形状の場所には設置できません。また、大画面と高品質なサウンドを実現するためには、ある程度の広さが必要だと言えます。
ホームシアターは、ただ機材をそろえるのではなくしっかりと施工を施すことで、よりクオリティーが上がります。配線を壁内に隠す隠蔽配線や埋め込みスピーカーの設置、スクリーンを天井に埋め込んだり、プロジェクターを昇降装置で天井裏に隠したりなども可能。さらにプログラムリモコンを導入すると、ON/OFFの切り替えだけでスクリーンやプロジェクターの起動ができます。生活感のあるリビングをボタンひとつで非日常のエンターテイメント空間に変貌させることができますよ」
——では、設置場所として一番選ばれている部屋はどこですか?
「ホームシアターは家族みんなで一緒に楽しむことができるため、家族が集まるリビングへの設置を希望される方が多いのですね。また、自宅のなかで比較的広いスペースを確保しやすいのも、リビングが選ばれる理由のひとつ。次に多いのがホームシアター設置のために用意された専用室です」
——リビングや専用室以外の設置例を教えてください。
「寝室です。ベッドに寝転がりながら好きな作品を鑑賞し、観終わったらそのまま寝てしまう、なんてこのうえない幸せですよね。寝室の場合、機材が露出しない施工を特に心がけ、よりリラックスできる環境づくりを提案しています」
費用はミニマムで80万円から。こだわり設置は…1,000万円!
——設置費用の内訳を教えてください。
「ホームシアターの設置にかかる費用は、機材費と工事費とインストール費のトータルで決まります。機材費とは、ホームシアターを構成する機材の費用。工事費とは、各種機材の取り付けや、隠蔽配線等を行う費用。インストール費とは、ホームシアターの設計や機材提案、現場下見や工事指示、機材の設定を行う費用です。
大まかな費用感は、15畳ほどのリビングルームに設置する場合、インストール費で15万円前後、工事費で20万〜50万円ほどです。ただし機材費に関しては30万〜数千万円と幅が広く、特に設置本数の多いスピーカーのクオリティーに左右される傾向にあります。ホームシアターのトータル費用は、グレードが高くなるほど機材費が多くを占めます」
——費用をおさえたい場合は、いくらで設置できますか?
「80万円前後です。この場合、スピーカーにこだわらなければ4K解像度のプロジェクターや電動スクリーン、7.1ch(前に3本、後ろに2本、天井に2本のスピーカー&ウーファー)のサラウンド環境を構築することも可能です。もちろん、通常のテレビとは段違い。最新のサラウンド環境と迫力がある大画面で映像を再生することができます」
——それでは、ハイグレードな場合はいくらになるのでしょう?
「約300万〜500万円です。具体的な設置内容は、4Kプロジェクター、4K対応電動スクリーン、ハイエンドAVアンプ、高級スピーカー、13.2chサラウンド(前に3本、後ろに4本、天井に6本のスピーカー)、一括制御のプログラムリモコンなどです。
映像作品を楽しむだけでなく、純粋なオーディオ機器としても十分なクオリティー。また、リモコンにてすべての機材をボタンひとつで操作できるので、使い勝手も大幅に向上します。
ちなみに、さらに防音施工を加える場合は約600万〜1000万円です」
楽しみ方はSFやアクション映画の鑑賞だけじゃない!
映像と音の概念を覆す。ホームシアターの魅力
——迫力のある作品以外でも楽しめるのでしょうか……?
「基本的にホームシアターユーザーは、SFやアクション好きの方が多い傾向ですが、実際はそれ以外のジャンルの作品も大いに楽しむことができます。ホームシアターで鑑賞すると、テレビ画面ではわかりづらかった役者さんたちの繊細な演技が伝わってくるので、作品そのもののメッセージをより明確に受け取ることができるのです」
——ほかにはどんな楽しみ方がありますか?
「コンサートやライブなどの音楽系の映像は、ぜひ見てもらいたいですね。引きの画が多いコンサート映像などは、テレビ画面ではそのスケール感が伝わりづらいのです。大画面で再生することでホールやスタジアムの臨場感が伝わり、ステージの隅々までの情報を明確に感じることができます。また、サラウンド収録されていない作品も機材側でサラウンド化が可能なのです。会場に入り込んだかのような臨場感あふれる感覚をリアルに味わうことができます」
——臨場感を味わうのであれば、スポーツ観戦もよさそうです。
「ホームシアターでオリンピックやワールドカップなどの世界大会を鑑賞すれば、パブリックビューイングさながらの迫力ある映像体験ができますよ。おすすめなのは、複数人で集まって鑑賞すること。よりホームシアターの醍醐味を感じられると思います」
——最後に、ホームシアターの魅力を教えてください。
「 ずばり、“没入感”です。大画面とこだわった音響により、作品にすっと入り込むことができ、作品そのものが持つエンターテインメント性をより感じることができます。これは、視界から映像以外の情報が排除されることにも大きく起因します。特に、サウンドの違いには目を見張るでしょう。普通であれば、テレビのステレオ音声の移動は左右のみです。しかしホームシアターは、前後、上下といった音の移動を再現。実際にその場にいるかのような臨場感、そして音に包みこまれる感覚を実感できます。
その結果、同じ映画でも普段テレビで観ていたものとは、まったく別の作品に感じるはずです。映画館に行かずして、プライベートな空間でそれが味わえるなんて、最高じゃないですか」
設置にはそれなりのお金がかかりますが、ホームシアターは“一生もの”。プロジェクターランプの寿命(2000時間前後)はありますが、故障や不具合さえなければ、特にメンテナンスは不要だそうです。
昔好きだったあの作品をもう一度見返して、新たな発見をする……なんて楽しみ方はもちろん、まだ見ぬジャンルへも、一瞬にして没入することができます。
感性を刺激し、人生を豊かにするホームシアター。ぜひ設置を検討してみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- アバック新宿本店
- 営業時間/11:00〜20:00
- 定休日/無休(年末年始は除く)
TEL:03-5937-3150 - 住所/東京都新宿区西新宿7-5-9 ファーストリアルタワー新宿3F
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 松崎愛香
- EDIT :
- 高橋優海(東京通信社)