その注目度、急上昇! 孤高の日本画家「渡邊省亭(わたなべ せいてい)」とは?
往年に偉大な業績を残したにも関わらず、日本美術界では長く忘れ去られていた日本画家が今、改めて注目を集めています。
その作家の名は、渡邊省亭(わたなべ せいてい)。1852年江戸に生まれ、輸出国策会社の社員としてパリに派遣された最初の日本画家です。パリでは、ドガやマネなど印象派の画家たちにも影響を与え、パリ万博では銅牌を受賞。帰国後は迎賓館赤坂離宮(旧東宮御所)の装飾にあたり、また挿絵画家としても活躍しました。
弟子を取らず、画壇にも属さず、ひたすら画業に専念した省亭の作品は、西洋風の表現を融合させた洒脱な作風が特徴。今、その画風と高い技術が、美術ファンのみならず、広く見直され脚光を集めているのです。
パリに先駆け、2回目の渡邊省亭展を開催
2017年に開催された渡邊省亭の企画展は、大好評のうちに終了。待望の第2回「SEITEIリターンズ!!~渡邊省亭展~」が、2018年9月15日(土)~29日(土)の期間中、東京都中央区京橋にあるギャラリー、加島美術にて開催されます。
2018年10月には、パリのギメ東洋美術館にて『Meiji-Splendors of Imerial japan.(1868-1912)(明治―大日本帝国の光彩』への作品出陳も決まっており、世界的な注目度もさらに高まること必至の渡邊省亭。今回の企画展は、パリ出展に先駆け、渡邊省亭の作品を日本でまとめて見られる、絶好のチャンスなのです。
「SEITEIリターンズ!!~渡邊省亭展~」の見どころは?
■見どころ1:圧巻!各月の花鳥画をテーマにした「十二ヶ月」が勢ぞろい
一月から十二月まで、それぞれの月をテーマに、格調高い筆致で描かれた花鳥画。今回の展示では、この十二幅対が勢ぞろいし、息をのむような美しさを目にすることができます。
■見どころ2:迎賓館赤坂離宮の花鳥の間も彩る、七宝作品
渡邊省亭は、当時の七宝焼きの作家の最高峰といわれた濤川惣助(なみかわ そうすけ)の原画を担ったことでも知られています。このゴールデンコンビの最も有名な作品は、迎賓館赤坂離宮の花鳥の間を彩っています。今回の「SEITEIリターンズ!!~渡邊省亭展~」では、濤川惣助の七宝作品も展示され、ふたつの才能のコラボレーションを楽しむことができます。
■見どころ3:渡邊省亭が挿絵を描いた「パリ万博の図録」を展示!
1878年に開催された第3回パリ万博。その美術部門の図録『1878年万博美術傑作集』に、挿絵が掲載された渡邊省亭。その貴重な傑作集の現物も、本展では見ることができます。
■見どころ4:お土産にしやすいミニ図録や書籍も購入可能
図録と言えば、大きくて重いものが一般的ですが、本展の図録はバッグにも入れやすいミニサイズで登場! 省亭の作品が自宅でも楽しめ、気軽に購入しやすいのがうれしいですね。また、昨年出版された岡部昌幸氏監修の作品集『渡辺省亭―花鳥画の孤高なる輝き―』も展示会場で販売されるので、昨年展示された作品も併せて、省亭作品を一度に堪能することができます。
■見どころ5:より渡邊省亭への理解が深まる!トークイベントが2つ開催
雑誌「Precious」でも美術の連載をもつ、明治学院大学教授の山下裕二氏のトークイベントをはじめ、2つのトークセッションが、恵比寿と京橋で開催されます。どちらも事前予約制なので、気になる方はお問い合わせを。
A:スペシャルトークイベント
- 日時/2018年9月21日(金)18:00~
- 登壇者/美術史家・山下裕二氏×東京藝術大学美術館准教授・古田亮氏
- 会場/日仏会館ギャラリー
- 住所/東京都渋谷区恵比寿3-9-25
- 参加費/¥2,000(税込)
- ※予約制
- ※参加者にはミニ図録がプレゼントされます
B:ギャラリートークセッション
- 日時/2018年9月23日(日)16:00~
- 登壇者/泉屋博古館分館分館長・野地耕一郎氏×鳥博士・高橋雅雄氏×アートテラー・とに~氏
- 会場/加島美術
- 住所/東京都中央区京橋3-3-2(「東京メトロ 京橋駅」徒歩約1分)
- 参加費/無料
- ※予約制
- ※こちらのイベントは渡邊省亭facebook公式ページにてライブ配信されます。
イベント申し込み先
どちらのイベントも予約制です。電話かメールで、加島美術へお申し込みください。
- 加島美術
- TEL:03-3276-0700
- e-mail:info@kashima-arts.co.jp
「SEITEIリターンズ!!~渡邊省亭展~」開催概要
- 開催期間/2018年9月15日(土)~29日(土)10:00~18:00 ※会期中無休
- 会場/加島美術
- 入場料/無料
- TEL:03-3276-0700
- 住所/東京都中央区京橋3-3-2(「東京メトロ 京橋駅」徒歩約1分)
- 主催/一般社団法人 日本美術継承協会
- 企画協力/SEI-RIN、加島美術
- 後援/在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本、日仏会館、フランス国立日本研究所
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 安念美和子