働く女性のみなさん、「なぜこんなに疲れる人付き合いが多いんだろう」と、悩んでいませんか? 職場の人間関係は、仕事をスムーズに進めるためにも、上手く築きたいもの。ただ、気持ちよく仕事したいと思っているのに、上手くいかないときもありますよね。

実はこれ、「無意識のうちにやっている自分のクセ」に問題があることがあるのです。

そこで、コミュニケーション能力が高い人が絶対にやらないこと、トラブルにならないための意識やすべきことについて、インバスケット・コンサルタントの鳥原隆志さんに教えていただきました。どれかひとつでも当てはまったら、改めていきましょう!

人間関係トラブルの多い人が無意識でやっている、NGな仕事習慣7選

■1:業務連絡をメールやSNSだけで済ませようとする

たまに顔を合わせるだけでトラブルが減る!
たまに顔を合わせるだけでトラブルが減る!

鳥原さんによると、コミュニケーションの問題の多くは、伝え方が原因だそうです。最近は、メールやSNSで連絡を取ることが多く、一度も直接会ったことのない人と仕事をすることも当たり前になりましたが、「直接会う」ということは、非常に大事なようです。

「まず、コミュニケーションが上手でない人の特徴は、直接的なコミュニケーションを取らないことです。職場のトラブルは『聞いている』『聞いていない』といった齟齬から起きることが多いですが、直接伝えると、相手の反応がわかります。表情や言葉のテンポなどからわかることは多いので、面倒でも、直接会うことが大事です」(鳥原さん)

実際、鳥原さん自身も、面倒くさがって相手と会わなかったために、問題が発生したことがあるとか。

「私がトラブルになった書籍の編集者は、一度しかお会いしたことがない人で、言った、言っていないという行き違いが起こってしまったんです。もし数回会っていれば、相手の考え方や顔が思い浮かんでくるので、そのようなことはなかったでしょう。直接会ったほうが、信頼関係も構築されます」(鳥原さん)

最近はリモートワークが注目を集めていますが、なんでもかんでもメールやSNSで済ませないようにしましょう。

■2:言葉数が多い

なるべく端的に伝える方が上手くいく
なるべく端的に伝える方が上手くいく

意外なことに、コミュニケーション下手な人は言葉数が少ないのではなく、多いのだそうです。

「言葉数が多いと、余計な言葉が付きまとって、複雑で伝わりにくくなります。我々の業界でも、言葉の多い講師は成績が悪いです。それは自信がないから言葉の数で補おうとするので、余計にわかりにくくなっていく。シンプルに伝えることでわかりやすくなるので、コミュニケーションの上手い人は、シンプルな言葉遣いをします」(鳥原さん)

確かに話のわかりやすい人というのは、あまり難しい言葉ではなく、誰でもわかるような明快な言葉を選んでいるような気がします。

「私たちコンサルタントは講義をするとき、だいたい6割くらい伝わればいい…と思ってお話をするんですが、あとの4割は質問を受けることで補います。質問というのは、よいコミュニケーションになるからです。『相手の求める情報を伝える』ことほど、伝わりやすいものはありません。研修の合間に『何か質問はありますか?』と聞くと、大抵、質問する人というのは、複数の人が聞きたいことを聞いてくれるので、欲しい情報をリアルタイムに伝えることができ、より理解が深まります」(鳥原さん)

人付き合いで疲れることが多い人は、ぜひ言葉の数を見直してみましょう。

■3:クッション言葉を使わず話しかける

ヒューマンスキルの言葉を使うと印象が大違い!
ヒューマンスキルの言葉を使うと印象が大違い!

忙しい時はつい、言葉遣いも強めになってしまったり、イライラを他人にぶつけてしまっていないでしょうか? 自分が逆の立場だとしたら、急かされたり、責められたりしていい気にはならないですよね。

「人間関係がギクシャクするのは、平常ではない緊急時に起こりやすいものです。『早くして』とか『どうしてそんなことわからないの?』といった言葉を言う人は、ヒューマンスキルがないゆえに、受け手の感情を傷つけてしまいます。余裕がないときほど、『忙しいところ悪いけど』『今、話しかけても大丈夫?』といった、クッションになる言葉を入れることが大事です」(鳥原さん)

ヒューマンスキルとは労ったり、配慮、感謝する言葉のこと。仕事に必要なスキルのひとつだそうです。

「『ヒューマンスキル包み』と言いますが、ただ『〇〇してほしい』と言うのではなく、前後にヒューマンスキルの言葉を入れると、相手がやってくれる確率が高まると言われています。『コピーしてほしい』という言葉の前後に『いつも悪いね』『ありがとう』といった言葉を入れると、相手の受け取り方が変わります。ヒューマンスキルを使うと、コミュニケーションが円滑に進むので、意識的にひとことプラスして伝えましょう」(鳥原さん)

前置きするだけで印象は変わります。ヒューマンスキル包みを心がけましょう。

■4:否定的な言葉を使って反論する

感情的に反論するのはトラブルの元
感情的に反論するのはトラブルの元

職場や取引先との会議も、コミュニケーションの重要な場面ですよね。

「会議のときに、ある意見に反対の意見や異論を述べる場合、否定されるということは負の感情を生むので、知らない間にコミュニケーション上のトラブルにつながることもあります。

『イエスバット法』と言いますが、誰かが『それはいいね』と言ったことに対して、『だめでしょう』と答えると非生産的ですが、『それいいね。ただ今回のケースでは他の方法がいいのでは』と、一度、相手の意見を受け入れた上で別の意見や反対意見を述べるといいでしょう。

『えー』とか『いや』といった否定的な言葉は、つい無意識に使ってしまいがちですが、まずは受け入れることで、プラスにつなげましょう」(鳥原さん)

たとえ賛成できないと思っても、反射的に反論するのではなく、ひと呼吸おいて相手の意見を一度飲み込んでから、自分の意見を述べる。やはりここでも、焦らないことが肝心のようです。

■5:イエス/ノーで答えられる質問をする

クローズドな質問が気まずい空気を生む
クローズドな質問が気まずい空気を生む

また、質問の仕方も会話にとって重要です。

「質問にはオープンとクローズドの2種類があり、クローズドの質問は、『はい/いいえ』で答えられます。例えば同僚が席を外していた場合に『休憩に行ってたの?』と聞くと、イエスかノーで答えられますが、突き詰める、追い詰める質問になってしまいます。

そうではなく『どこに行ってたの?』『何をしに行ってたの?』と聞くと、相手が答えを選べるんですね。イエス/ノーの質問であれば、商談が上手くいったか、いってなかったかという結論が短時間でわかります。しかし一方で、その裏にある過程や、それがなぜ上手くいかなかったのか、それに対してその人がどう考えているのか、といったことがわかりません」(鳥原さん)

とくに初対面の人と話す場合、会話がなかなか続かないと思うことはありませんか? それは、クローズドの質問をしているからだとか。逆にオープンの質問をすると会話はいくらでも続くそうです。

「例えば、『鳥原先生は、大阪出身なんですよね?』と聞かれると、『はい』で終わってしまいますが、『大阪にいらっしゃって、どうでしたか?』というふうに、質問の意図を曖昧に聞かれると会話が続いていきます。これはカウンセラーがよく使う手法ですが、カウンセラーは開かれた質問で、相手の感情を聞き取っていくんですね。質問の聞き方を変えると会話が弾むようになりますよ」(鳥原さん)

できるだけ相手が答えを選べる聞き方をして、空気が重くならないようにしましょう。

■6:依頼形や命令形でお願いする

依頼するときは問いかけか助言がベター
依頼するときは問いかけか助言がベター

仕事を抱え込んで自分の世界に入ってしまう人は、評価もされないし、人間関係のトラブルも起こしがち。大体そういう人は、お願いの仕方に問題があるそうです。

人に何かをお願いするときに、いつも「〇〇してください」「〇〇お願いします」という依頼形や、「これやってよ」「これしてくれ」という、命令形で頼んではいませんか? 状況や相手によって、お願いの仕方を使い分けする必要があるのだとか。

「場合によっては、問いかけ、もしくは助言でお願いをするとよいでしょう。問いかけとは、『これをもっとよくするには、どうしたらいいと思いますか?』とか、『課長に怒られてしまったのだけど、なぜなんだろう?』と相手に聞いてみる。直接依頼はしないで、質問をしていくパターンです。

もうひとつは助言という方法で、後輩が企画書をつくってきたけれど、少しグラフを入れたほうがいいと思った場合、『こうしたほうがもっとよくなるよ』というアドバイス形式のお願いの仕方です。どちらも相手がやる気になる言い方で、やらされるよりやろうとするほうが、結果的にパフォーマンスもよくなると思います。依頼の仕方を変えると自分の評価も上がり、周りとのコミュニケーションも円滑になっていきますよ」(鳥原さん)

お願いするときは、「ちょっと助けてくれないかな?」なども好印象。そもそも自分ひとりで何でも進めてしまうと、トラブルも起きやすく、困ったときに誰にも頼れなくなります。依頼の仕方を工夫して、周囲に上手く協力を求めていきましょう。

鳥原さんのアドバイスはどれも職場に限らず、日常の人間関係でも大事なポイントばかり。簡単な心がけひとつで人付き合いの苦労は激減します。これらを実行して、よりできるキャリアウーマンを目指していきましょう!

鳥原隆志さん
インバスケット・コンサルタント
(とりはらたかし)株式会社インバスケット研究所代表取締役。大手流通業にて、さまざまな販売部門を経験し、スーパーバイザーとして店舗指導や問題解決業務に従事する。その経験を活かし、株式会社インバスケット研究所を設立。現在、日本で唯一のインバスケット・コンサルタントとして活躍中。
公式サイト

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この記事の執筆者
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WRITING :
あわいこゆき
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