シャツとパンツ、ニットトップスとスカートなど、上下のピースを同じ色・素材でそろえた「セットアップ」は、2018-19年秋冬シーズンの新トレンドを象徴する装いです。スーツのようにはかしこまって見えないのに、気品や落ち着きを印象づけるから、 こなれた大人コーディネートの切り札的にまとえるのが、セットアップのいいところ。 海外有力ブランドのランウェイルックは、セットアップの進化が続いていることを教えてくれます。

「セットアップ」が進化!今どきシェイプで更新した最旬スタイル4

■1:「襟と肩」デザインが導く、レディーで凜々しいシルエット【FENDI(フェンディ)】

フェンディのセットアップを着こなすモデル
FENDI(フェンディ)のルック画像

一般的なスーツよりも表情が豊かなセットアップは、グッドセンスを薫らせてくれます。FENDI(フェンディ)のコレクションで目を引いたこちらのルックは、白襟が顔を出すレディーライクな佇いなのに、程よい肩の張り感がクール。優美さと強さを兼ね備えているのは、この秋冬に盛り上がるダブルミーニングなムードそのものです。

ウエストのシェイプとトップス裾のプリーツ加工が、上品な輪郭を描き出しました。オーソドックスなパンプス系を避けて、ヌードカラーのロングブーツで合わせる外し技も参考になります。

■2:穏やかな色とシルエットに、ジェンダーレスな隠し味を【SALVATORE FERRAGAMO(サルヴァトーレ フェラガモ)】

サルヴァトーレフェラガモのセットアップを着こなすモデル
SALVATORE FERRAGAMO(サルヴァトーレ フェラガモ)のルック画像

組み合わせるアイテムのレパートリーが広がってきたのは、セットアップという表現の深まりを示しています。SALVATORE FERRAGAMO(サルヴァトーレ フェラガモ)から登場したのは、ロングカフス袖のシャツとマキシ丈フレアスカートという、量感たっぷりのコンビネーションはありそうでなかったマッチング。

キャメル色で穏やかなムードを呼び込み、細ベルトも同色にして、人気のワントーン・コーデにまとめ上げました。ピンで留めるシャツ襟がマニッシュな風情。性別を越える「ジェンダーレス」をさりげなく取り入れるのが今の気分です。

■3:エフォートレスな気分に、強さと意外感をミックス【AKRIS(アクリス)】

アクリスのセットアップを着こなすモデル
AKRIS(アクリス)のルック画像

ニットを組み込めるのも、セットアップの魅力です。こちらのAKRIS(アクリス)のルックは、ニットならではのやわらかい風合いが、ソフトなムードを漂わせます。ボディーラインにしんなり沿ったニットのセットアップは、深みのあるブルーが印象的です。

力まない「エフォートレス」の気分を宿しつつ、芯の強さも感じさせます。程よく切れ込んだVネックに小ぶりのショルダーバッグをクラッチ風に抱えれば、キリリとしたムードに。あえてトーンの異なるネオングリーンの靴を迎えた、ほのかなズレ感が、テイストミックスの味付けになっています。

■4:斬新レイヤードで、最先端の立体感を生み出す【AGNONA(アニオナ)】

アニオナのセットアップを着こなすモデル
AGNONA(アニオナ)のルック画像

重層的なレイヤードに仕上げるセットアップも提案されています。AGNONA(アニオナ)からは、まるでジャケットを2枚重ねたように見える、ブラウスとはおり物のアンサンブルに、センタープレスを利かせたパンツを組み合わせました。

スーツ風の端正さをキープしつつ、ゆったりした仕立てがのどかな雰囲気に見せています。スモーキーなピンクが控えめのフェミニンをまとわせました。アクティブな顔つきのブーツを、パンプスに履き替えれば、オフィスにもなじませやすくなります。

セットアップはムードに統一感があるから、狙ったイメージを打ち出しやすい装いです。お仕事スタイルにはもちろん、会食やパーティ、プライベートシーンなど、万能の着回しが可能な点でも、魅力的なツールといえるでしょう。

単品コーディネートを楽しんだり、小物や靴で少しずらすアレンジを試したりと、無限大のおしゃれが待っています。

この記事の執筆者
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報、着こなし解説などを発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かした解説が好評。自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い。著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある。
WRITING :
宮田理江
EDIT :
石原あや乃