ラグビーを観ていると、選手たちがボールに群がって密集状態になっていることがよくある。あれもボールを奪い合っているのだ。攻めている側はボールを渡したくないし、守っている側はボールを奪い返そうとする。ラグビーは野球のように、3アウトでチェンジという攻守交代のルールはない。

ボールを奪ったチームが攻めることができる。だから、一瞬にして攻守が入れ替わり、ボールが行ったり来たりする。このあたりもラグビーの面白さの一つだ。

こんなにダイバーシティーなスポーツは他にない!

常にボールを奪い合うのがラグビーである

昔は革のボールが当たり前で、雨の日には、重くなって滑るので、ハンドリングが悪かったものだ。今のボールは合成皮革で、雨のでも扱いやすく、よりダイナミックな試合展開に寄与している。
昔は革のボールが当たり前で、雨の日には、重くなって滑るので、ハンドリングが悪かったものだ。今のボールは合成皮革で、雨のでも扱いやすく、よりダイナミックな試合展開に寄与している。

ラグビーはいろんな運動能力が求められるので、選手の体型、能力もさまざま。背が高い人、低い人、体重の重い人、軽い人、短距離が速い人、持久走が得意な人、手先が器用な人などなど、ポジションによって体型、能力が違う。空中のボールを奪い合うのは背が高い人が有利だし、地面に転がるボールを素早くパスするには、背が低くて俊敏な人が向いている。ボールの奪い合いは腕力自慢の選手が必要で、タックルで相手を倒すのが得意な選手が多ければディフェンスは強くなる。

そして、広いグラウンドを一気に走り抜ける足の速い選手はラグビーの花形だ。ラグビーでもっともポピュラーなのは、15人制だが、10人制、7人制もあり、7人制ラグビーは、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックからは正式種目となった。

男女ともに日本代表は出場し、男子セブンズ日本代表は4位という好成績を残した。東京オリンピックに向けて、男女の日本代表は強化を続けている。ラグビーは、1800年代にイギリスの「ラグビー」という町で生まれた歴史あるスポーツだ。この町にあった「ラグビー校」は、日本でいうところの中・高一貫校の私立学校。ここでルールが整理されていった。

ラグビー校ではスポーツ教育が盛んに行われたので、ラグビーはその精神性を大切にして世界に広まった。激しいスポーツだからこそ、相手チームをリスペクトし、お互いに怪我をしないように思いやりを持ってプレーする。フェアプレーを尊び、自制心を養うのだ。

日本でよく言われる「ノーサイド精神」は、どんなに激しく体をぶつけ合って闘っても、試合が終われば互いの健闘を称え合い、友情を深める精神のことだ。勝っても負けても清々しい表情で握手する選手たちの姿もラグビーの魅力のひとつだ。これまでラグビーには関心のなかった皆さんも、ぜひラグビー場へ。

プレー以外にも、いろんな発見があるはずだから。

村上晃一さん
ラグビージャーナスト
1965 年京都市生まれ。ラグビーマガジン編集長を経てフリーのラグビージャーナストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は1998 年より継続中。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(天理教道友社)などがある。
<出典>
日本ラグビー応援ムック『80min.』
ラグビーワールドカップの開催を来年に控え、日本国内だけでなく世界から注目されている「ジャパンラグビー トップリーグ」。日の丸を背負って戦う、日本代表候補を始め、国内最高峰リーグでプレーする選手たちを通じて、ラグビーの魅力を余すところなく伝えるべく『80min.(エイティ・ミニッツ)』を立ち上げた。2019年9月20日から開催される世界三大スポーツのひとつ、ラグビーワールドカップを大いに盛り上げようではないか!
2018年8月29日発売 ¥1,000(税別)

関連記事

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
日本ラグビー応援ムック 80min.より
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク
PHOTO :
宮澤正明
TAGS: