他のスポーツに比べてラグビーの世界大会の開催が遅くなったのは、「プレーすることによって報酬を得てはならない」というアマチュア規定を長らく守っていたからだ。
世界中の観客を熱狂させるワントライ
ラグビーの醍醐味はスピーディーなスタイルだ!
ラグビーでお金をかせぐプロ選手が認められるようになったのは、1995年から。それまでのラグビー選手はRWCに出場する一流選手でも、別に仕事を持っていた。
ラグビーには各国が交流する伝統の定期戦が多く、プロではないので世界大会をしようという発想がなかなか生まれにくかったのだ。RWC1987で初代王者に輝いたのは、ニュージーランド代表だった。そのユニフォームの色から「オールブラックス」と称されるこのチームは、100年を超えるラグビーの国際交流史のなかで、すべての国に勝ち越しており、文字通り「最強」だ。
人口が約480万人という小さな国だが、ラグビーはとびぬけた№1スポーツ。イギリスからの移民と運動能力の高い先住民族のマオリ族の血を引く選手たち、そして、南太平洋のサモア、トンガ、フィジーから移住した選手が融合した独自のプレースタイルを築いていった。
オールブラックスはその後、RWCの優勝には縁がなかったが、2011年、2015年大会で優勝し、2019年、日本で開催される第9回大会で三連覇を目指している。
2019年大会の優勝候補は、この他、イングランド、アイルランド、オーストラリアあたりで、南アフリカ、アルゼンチン、フランス、ウエールズ、スコットランドも実力がある。日本代表は体格が小さいこともあって強豪国に勝てない時代が長かった。体重制限のないラグビーでは体の大きなチームが圧倒的に有利だ。
それでも組織プレーを磨き、2015年大会で優勝候補の一角だった南アフリカ代表に勝って世界を驚かせた。現在の世界ランキングは11位(2018年8月現在)で、アジアでは№1の実力を誇り、2019年大会で史上初の決勝トーナメント進出に向けて強化を進めている。その日本代表には、キャプテンのリーチ・マイケルはじめ海外出身選手が多い。
ラグビーは世界共通のルールとして国代表選手の国籍を問わない。祖父母、両親、本人がその国で生まれているか、代表に選ばれる直前の3年間その国に住んでいれば代表入りの資格がある。リーチはニュージーランド人の父と、フィジー人の母の間に生まれたが、15歳から日本に住んでいる。つまり、日本代表は日本人の代表ではなく、日本でプレーしているラグビー仲間の代表なのだ。
国籍、人種、民族の壁を越えて一丸となって闘う姿は感動的である。
2019年のラグビーワールドカップには世界各地から20チームが参加する。すべてのチーム、選手が4年に一度の世界一決定戦に照準を合わせ、固い結束力で戦う。世界最強、最速のラグビーを間近で感じるチャンスだ。楽しまなければ、もったいない!
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- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- 日本ラグビー応援ムック 80min.より
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- PHOTO :
- 宮澤正明
- WRITING :
- 村上晃一