結婚祝いや誕生日祝い、開店祝いや退職祝いなど、プライベートでもビジネスでも、お祝いの花を贈る機会はたくさんありますよね。そんなとき、あなたは花をどのように選んでいますか?
花のことはよくわからないし、花屋の店員さんにおまかせ……というのはNG! それでは心がこもりませんし、またあなた自身が花についてある程度知っておかないと、お祝いにふさわしくない花をうっかり贈ってしまい、相手に失礼にあたる恐れがあります。
また、花の選び方だけでなく贈るタイミングについても、マナーをわきまえておく必要があるようです。今回は、マナー講師の永田之子さんから、花を贈るときのNGマナーについてお話を伺いました。
誰かに花を贈るときに気を付けたいNGマナー8選
花の選び方でのNGマナー5選
例えば、病気のお見舞いでは、鉢植え、血を連想させる赤い花、葬儀を連想させる白い花、語呂がよくないシクラメンなどがNGというのはよく知られていますよね。では、さまざまなお祝いに贈る花を選ぶ際には、どんなことに気をつければいいのか、以下の5つのNGマナーを押さえておきましょう。
■1:花言葉を調べないのはNG
花を贈るときに、まず気をつけなければならないのは花言葉。花言葉を調べずに、単に自分の好みや相手のイメージで花を選ぶと、思いもしないメッセージが相手に伝わってしまう恐れがあります。
「例えば、アジサイの花言葉は“心変わり”。結婚祝いには不向きな花です。また、花言葉は、花の種類だけでなく、花の色にも注意しましょう。例えば、黄色のバラの花言葉は“嫉妬”。お祝いするつもりが、相手をゾッとさせてしまいます」(永田さん)
見た目は美しい花でも、ネガティブな花言葉をもつものは他にもまだあります。ネットでもすぐに調べられるので、花選びでは必ず花言葉を色にも留意しながらチェックしましょう。
■2:日本のイメージだけで花を選ぶのはNG
グローバルな付き合いがあり、外国人に花を贈る機会のある人は、日本と海外の文化の違いにも注意しなければいけません。
「例えば、西洋では一般的に白い百合は葬儀に用いられることから縁起が良くありません。また、フランスでは薄紫色は喪をイメージする色です。贈り物には選ばない方が良いでしょう。そして、日本では縁起物である松は、中国では棺桶の素材ですので、お祝いで贈るのにふさわしくありません」(永田さん)
日本のイメージだけで選ぶと、相手に失礼だったり、恥をかかせたりすることになりかねません。ぜひプロトコルマナーを押さえて、花を選びましょう。
■3:展示会・展覧会のお祝いで目立つ花を贈るのはNG
「お祝いの花を贈るなら、景気づけに華やかなものを!」というのは一般論としてはまちがいではありませんが、展示会に限っては、その好意が仇になる恐れがあります。
「展示会や展覧会での主役はあくまで作品。その作品よりも目立ってしまう花を贈るのはマナー違反にあたります。そもそも、展示会の会場によっては、花粉や虫の混入を防止するために、花の持ち込みをお断りしていることもあるので、サプライズで贈るのはリスキーです。
花を贈るなら、お相手に花を贈っていいかどうか、また、展示品をより引き立てるにはどんな花がいいのかなど、事前に確認しておきましょう」(永田さん)
事前に贈り物の内容を相手に相談するのは……というスタンスの人は、そもそも相手から積極的に「お花を贈ってほしい」というリクエストがない限り、展示会のお祝いには花以外をチョイスするほうがよいかもしれませんね。
■4:花束内の本数を数えないのはNG
花を贈る際には花の種類だけでなく、花の本数にも気をつけて!
「4本、9本、13本は縁起の悪い数字なので、避けるようにしましょう」(永田さん)
やはりお花選びはお店にまかせきりにするのではなく、どの花を何本入れるのかまで、しっかり自分でアイディアを練りたいところですね。
■5:大きすぎる or 小さすぎる花束を贈るのはNG
相手の自宅に送り届けるのではなく、会社など出先で花を渡す場合、相手が持ち帰る手間も考慮しなければなりません。大きすぎる花束は相手に負担になるし、かといって小さいと貧弱に見えてしまう……。贈る花束のサイズも悩ましいところですが、どうすればよいのでしょうか?
「相場としては5,000円くらいの花束であれば、相手の負担にならず、豪華にも見えると思います。また、相手の持ち運びのことを考えて、花束を入れられる紙袋も一緒にお渡しするのが親切です」(永田さん)
花の見映えだけにこだわるのではなく、贈られる立場になって考えましょう。
花を贈るタイミングに関するNGマナー3選
先にご紹介した「花の選び方でのNGマナー」を踏まえて、素敵な花束を用意できたとしても、贈るタイミングを誤っては台無しになりかねません。
■6:開店祝いでオープン当日に花を贈るのはNG
開店祝いには華やかなスタンド花などを贈ることも多いですよね。開店を祝うのだから、贈るタイミングは開店日がベスト……というイメージもありますが、実はオープン当日に贈るのはNGとのこと。
「開店日は何かと慌しい状況ですし、前日までか翌日以降に贈るのが大人のマナーです。オープン当日、お店のインテリアがすでに決まっているところに、新たに花を贈られると、どこに飾ればいいのか相手を悩ませる恐れがあります。
また、配達されたものであれば梱包を解いたり、段ボールの処理をしたりなどの手間もかかります。どうしても当日に贈りたいのであれば、なるべく相手に手間をかけないように、花瓶なしでそのまま飾れるアレンジメントの花にしましょう」(永田さん)
花の選び方だけでなく、贈るタイミングでも、相手に負担をかけないという視点がとても大切だということですね。
■7:退職祝いの花を午後に配達してもらうのはNG
退職祝いで贈る花は、会社への配達時間帯に要注意! 終業時刻までに渡せばいいから……とのんびり構えていたら、思わぬ失態につながる恐れがあるのです。
「退職日には終業時刻まで会社に残らず、諸手続きが終わったら早帰りする方もいます。このため、午後に会社に届くように花を手配していたら、本人が退社してしまい渡しそびれた……というミスは意外と多いのです」(永田さん)
生花は鮮度が命なので、渡しそびれたものを自宅に郵送するわけにもいかず……。退職祝いの花は、相手のスケジュールを確認して贈るタイミングを決めましょう。
■8:誕生日祝いの花を玄関先で渡すのはNG
誕生日祝いの花を相手の自宅で直接手渡しする際には、特別なマナーがあるようです。
「通常、魚や氷菓、花など水分を含むものは、玄関先でお渡しするのがマナーです。ただ、誕生日祝いのような特別な意味のある花は、玄関先で手短に渡すのではなく、応接室で正式にお渡しするほうがよいでしょう。訪問時に花束が丸見えだと興ざめなので、紙袋に入れて、上にハンカチをかけるなどのひと工夫を」(永田さん)
誕生日にお祝いしてもらえるだけでも嬉しいものですが、ちょっと改まった感じで花束を贈られるとよりいっそう気分が盛り上がりそうですよね。贈られる相手の立場になって渡し方を工夫しましょう。
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お祝いするつもりで贈った花で、こちらが意図しないメッセージが相手に伝わったり、かえって相手の負担になってしまったりするのは残念ですよね。ぜひ今回ご紹介したマナーを押さえて、相手に喜んでもらえる花のプレゼントを!
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美