世帯年収は平均以上にも関わらず、貯蓄の少ない家庭も少なくないといいます。ファイナンシャルプランナーの水野綾香さんによると、「忙しく仕事をこなしキャリアを築いている、共働きの家庭ほど『(安定した)収入があるから大丈夫』と油断してしまうパターンも多い」とのこと。定年間近になって、深刻な状況となるのは避けたいところです。

最近また人気となっている「ふるさと納税」のおさらいと、老後に向けて今から夫婦で話し合うときの工夫など、見直したいポイントを水野さんに教えていただきました。

油断は禁物、今は良くても老後が大変かも。

昨今、人気が再燃「ふるさと納税」

——第一回、二回とさまざまな資産形成の方法を教えていただきましたが、ほかに活用すべきお金の備え方はありますか?

水野綾香さん(以下、水野さん):はい、「ふるさと納税」ですね。制度が始まった当初は、派手な返礼品ばかりがクローズアップされがちでしたが、今は規制もできていて、より冷静な目で楽しんでいただけると思います。

寄付のお礼に、自分の応援したい地方自治体の特産品や名産品をいただくことができますし、節税もできます。控除の上限額は、年収や家族構成により異なるため確認が必要ですが、寄付した金額(複数自治体の場合総額)から、自己負担分の2千円を差し引いた金額が寄付金控除の対象となり、所得税や住民税から控除されます。

2014年までは、ふるさと納税をして控除を受けるには確定申告が必要でした。しかし、2015年に「ワンストップ特例制度」がスタートしたことで、確定申告は不要に。会社員など年末調整をしている方は、寄付をする地方自治体が5か所以内であれば、「特例申請書」等書類を提出するだけで、控除を受けることができるようになっています。「ものをいただく」だけでなく「地元や被災地を応援する」という意味合いもありますから、ぜひ活用してみてくださいね。

——簡単な手続きで控除が受けられるのは、忙しい方にも使いやすいですね。今後のお金の備え方について、収入に余裕のある共働き家庭で気をつけたい点はありますか?

水野さん:ご夫婦でお勤めをしている場合、お財布も別で収入や資産状況をお互いに知らないというご夫婦も多いと思います。踏み込まれたくない、という感情が湧くのかもしれませんね。そうすると、「あなた、貯めていなかったの?」「君こそ!」と、老後に真っ青になるということも。

ファイナンシャルプランナーの水野綾香さん

具体的で楽しい「将来の話」として話し合う

——確かにお金のこととなると、気軽に話しにくいと感じる家庭も多いかもしれません。

水野さん:年齢を重ねたときに、どのような暮らしをしたいかという切り口で話せるといいですね。例えば、「10年後、20年後にこうした暮らしをしたいから、そのためにこのくらいのお金が必要で、ならば毎月お互いに10万円ずつ貯金しよう」など、具体的かつ前向きな話し合いの機会を持てるといいですね。

目標が見えると、「今年のボーナスは、旅行をやめてNISAにトライしてみようか」と、投資の話も楽しい将来のこととして捉えられると思います。

——なるほど。お金の話、と身構えるよりワクワクできそうですね。

水野さん:子育て世代の方に多いのは、「今は住宅や教育の支出が多いけれど、落ち着けば貯まるはず」と考えてしまうこと。小学校に入ったころからお金がかかってくるので、お子さんが小さいうちに貯めることですね。みなさんには、「手取り収入の20%は貯蓄しましょう」とお伝えしています。

学費などお子様にかかる費用が“落ち着くころ”でも、住宅ローンの返済も終っていない、そして老後も見えてきて、焦りの気持ちが出てきます。けれど、30代40代のうちから、貯蓄やNISAなどでコツコツ貯めていれば、定年が見えてきた年齢のときには、まとまった額が手元にちゃんと準備できているはずです。

将来に向けてコツコツと。

——出費の一番多い時期に、「(資産が)増えている!」と実感できるのは、大きな心のゆとりにもなりますよね。

水野さん:そうですね。毎月家計にかかってくる大きな支出は、住宅費と教育費かと思います。子育て中は、ご自身の仕事はもちろん、お子様の塾に習い事に受験に、とめまぐるしいかと思います。でも、ここで冷静に家計を見直すことが「要」です。

老後になって体力が落ちてくるころより、体力的にも精神的にも“踏ん張り”が利きますから。無理に投資を始めなくても、定期預金で1万円の積立を続けることだって、立派な資産形成の一歩だと思います。でもお金について知らないうちから、「投資は怖い!」とアレルギーになってしまうのはもったいない。

例えば、5万円の貯蓄のうち1万円をNISAに当てるというところからでもスタートしてみてはいかがでしょうか。投資を始めると、経済にももっと興味が湧いて世の中の見え方が広がるかと思います。

——なるほど。

水野さん:女性は特に、“ご褒美ランチ”やご褒美エステ“と言って、5千円や1万円をポーンと簡単に使いがちですよね。そんな方も、投資信託で一時的に500円でもマイナスになると、「どうしよう」と青ざめてしまう。でも、声を大にしてお伝えしたいのは「お金は、日々なんとなく使ってしまう千円、5千円の積み重ね」だということです。

実は、私も以前は「貯められない」体質でした。働いてもなぜだか手元には少ない、ということを経験してきましたが、お金について知ることで向き合い方が変わりました。

今では、「お金ができると、そのお金で(服や化粧品ではなく)株や投資信託を買う! 」と自分を律しています。株式や投資信託の場合は、売却してお金を証券会社の口座から引き出すことになるので、銀行口座にあるお金をキャッシュカードで引き出すよりも、私の場合心理的ハードルが上がるんです。

お金の備えで大事なことは、まずは動き出すことです。投資でも貯蓄でも気になったタイミングで始めること。少額からでも良いので、まずアクションを取ってみてくださいね。


人生100年時代ともいわれる昨今。長い老後を自分で“デザイン”するために、今からできることはたくさんありそうです。次の週末には、パートナーと将来について、話し合ってみてははいかがでしょうか?

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【vol.2:資産形成は「始めたい」と思ったときが吉日!iDeCo、NISA、つみたてNISAを専門家が解説】

水野綾香さん
クラウドクレジット株式会社広報・マーケティング部マネージャー、2級ファイナンシャルプランナー
(みずの あやか)家計のファイナンシャルプランニングやiDeCo・NISA・生命保険などについて年間80回ものセミナーを全国で講演。
この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
八木由希乃