年をとっても、老眼や目のかすみとは無縁でいたいですよね。そのためには、ケアを習慣づけることが重要。

眼科医師の平松 類先生は、視力の老化を防ぐためには「普段からのちょっとしたことで目をよくすることができて、人生までも大きく変わります」と言います。以下から早速、毎日取り入れるべきケアをお伝えしていきます。平松先生曰く、そのケアには朝・昼・晩、それぞれのタイミングに適したものがあるとのこと。

本稿では、夜に自宅やバスタイムを活用して行える視力回復トレーニングなどなどを教えていただきました。生涯現役の目を手に入りたいなら、ぜひ以下の6つを習慣にしてみましょう!

視力を老化させないために取り入れるべき「夜習慣」6選

■1:ホットアイパックで疲れ目を癒す

お風呂でホットタオルをつくって目を癒しましょう
お風呂でホットタオルをつくって目を癒しましょう

日中、仕事などで疲れた目を癒やすのに最適なのは、目を温かくしてあげることなのだそうです。

「昼習慣でホットシエスタという方法を紹介しました。ただ実際にオフィスでは、タオルや温めるレンジは使いにくい方も多いので、夜習慣としても紹介しておきます。それがホットアイパックです。シャワーを使ってもできますので、バスタイムの習慣に加えるのもいいでしょう。

ホットアイパックを行うことで、目の血流がよくなります。そして、老廃物が流されるのと同時に油の分泌が促され、目の表面をガードできる質の良い涙をつくることができます。目のクマも改善しますので、美容効果も期待できます」(平松先生)

<ホットアイパックのやり方>
(1)タオルを水で濡らして軽く絞ったら電子レンジに入れ500wで40秒(40℃目安)ほど過熱して、5分程度目を覆う。レンジがない場合、お湯などでタオルを絞りましょう。くれぐれもやけどにご注意ください。
(2)タオルをつぶった状態の眼の上において、そのまま5分ほどリラックスしましょう。ホットタオルをふたつほど用意して、途中で交換するとより理想的です。
※まぶたが腫れている、目に疾患があるなどの際はやらないでください。目を温めた後に充血しても、血行改善されたたためですので問題はありません。

会社ではなかなか実践しづらいかもしれませんが、自宅ならのんびりとできますよね。「ホットアイパック」でぜひ、目もゆっくりと癒してあげてくださいね。

■2:目の油だしマッサージで血流促進する

目は油が守ってくれています
目は油が守ってくれています

目の健康を考える際、多くの人がほとんど意識していないもののひとつに目の油があるそうです。

「目を守る油は、目の健康や視力の維持において、とても重要な要素です。そこで、夜の時間帯に習慣にするといいのが目の油出しマッサージです。前述のホットアイパックが終わった後に、セットでこのマッサージを行うと、より血流促進効果が高まり、目のアンチエイジングをサポートしてくれます」(平松先生)

<目の油出しマッサージのやり方>
(1)目を閉じて、まぶたの上から下に向けて、まぶたを上下に優しくさすり、まぶたに上下に走っている油の分泌腺をさすってあげましょう。回数は、両目を各10回ほど。眼球を圧迫しないよう注意しましょう。
(2)次に、まぶたを鼻側(内側)から外側へ向かって、横に優しくさすります。下まぶたも同様にさすります。こちらも回数は両目を各10回ほどが理想的です。
(3)仕上げに、上下のまぶたを軽くつまみ、油がよりスムーズに流れるようサポートします。
※くれぐれも眼球を圧迫しないよう、優しくマッサージしましょう。

マッサージすることで、リラックス効果や疲労回復効果なども期待できるそうです。ぜひ、「ホットアイパック」とのセットで行ってみてくださいね。

■3:より目ストレッチで毛様体筋を柔軟にする

子どものころによくやったより目は目のストレッチ
子どものころによくやったより目は目のストレッチ

目のピント機能を司る毛様体筋のストレッチを朝にも夜にも行うといいそうです。

「目の健康や視力にはいくつかの筋が関係していますが、その中でも毛様体筋は老眼・近眼において、大きくかかわっています。そこでしっかりとストレッチさせて柔軟にしておきましょう。ピント調整をスムーズにすることは、特に老眼予防には効果的です」(平松先生)

<より目ストレッチのやり方>
(1)指を立てた状態、もしくはペンなどを握った状態で、腕を顔の前に伸ばしましょう(30センチほど離すのが理想)。
(2)顔の先に置いた指・ペン(指標)を、一点を凝視せずに、なんとなく見ます。
(3)次に、指標を目の方に近づけていき、自然なより目をつくりながらそれを見つめます。
(4)鼻先まで指標を近づけ、ピントが合わなくなったら、視線を解放します。
(5)これを10回繰り返しましょう。

やり方は簡単ですが、実際にやってみると結構、目の周辺に疲労感を覚えます。いかに毛様体筋が凝り固まっているかを体感できますので、ぜひ、習慣にして毛様体筋を柔軟にて老眼を防止してしまいましょう。

■4:目の際シャンプーで残存している化粧品類を落とす

アイシャドウは綿棒でしっかりと落としましょう
アイシャドウは綿棒でしっかりと落としましょう

先ほど、私たちは目の油を意識していないと教えてもらいましたが、私たちが意識していないものはまだあるそうです。それは少々、意外なものでした。

「じつは目の周辺には、ダニが生息してしまうのです。女性は特に注意が必要で、というのも、付着して残存した化粧品類が、ダニの養分となってしまうからです。その結果、目がかゆい、充血しやすい、クマができやすい、目やにが出やすいといった症状につながります。

そこでぜひ、やっていただきたいのが目の際シャンプーです。綿棒を使った目の際のクリーニングですので、化粧を落とした後の習慣にすることをおススメしています」(平松先生)

<目の際シャンプーのやり方>
(1)綿棒にお湯または低刺激の洗浄液をつけましょう。
(2)片目をつぶり、つぶった方の目の際を綿棒で軽くこすって汚れを取ります。
※ごしごしではなく軽くふき取るようにしましょう。洗浄液は目に入らないように、また、眼球を傷つけないようにゆっくりと優しく行います。

化粧をちゃんと落としたと思っていても、まぶた周辺には意外に残っているもの。それらがダニの餌になっていたとは驚きです。これはもう習慣にするしかありませんね。

■5:お風呂上りに水分補給&目薬をさす

お風呂を楽しんだらその後のケアも忘れずに
お風呂を楽しんだらその後のケアも忘れずに

女性なら誰でも、バスタイムは至高のリラックスタイムですよね。バスタイムは眼科的にもその効果が認められているそうです。

「バスタイムは日ごろあまり刺激されない副交感神経を刺激してくれます。その結果、黒目の動きが良くなるため、きれいな目をつくるのに最適です。また、全身の血流も良くするため、目の健康、視力アップもサポートしてくれます。ただし、そうした効果を最大限に生かすためには、お風呂上がりのケアも考えなければいけません。

そこで、お風呂上りするべきことをお伝えしておきます。まず重要なのが、乾燥防止です。風呂から上がると体が乾燥していくように、目も乾燥しています。そこで目薬を1滴さしましょう。また、水分を補給して、入浴して血行の良くなっている状態で目を軽くマッサージしてあげれば、風呂上がりのケアは万全です」(平松先生)

<お風呂上りのお水と目薬のやり方>
(1)お風呂上りに目薬を1滴さしましょう。
(2)お水をコップ一杯飲んで水分補給をして、前述の目の油だしマッサージなどを行いましょう。

長風呂派の人は特に、入浴後のケアが大事なのだそうです。入浴効果をより高めるためにも、アフターケアをしっかりとしてあげましょう。

■6:ルテインの多いとうもろこしを食べる

実はとうもろこしは目にとても優しい食材
実はとうもろこしは目にとても優しい食材

ルテインは視力ケアで重要な栄養。ほうれん草以外に、とうもろこしにも含まれているそうです。

「ルテイン含有食品の摂取の他にも、いわゆる抗酸化作用のあるものを食べるようにしましょう。目の健康だけでなく、全身のアンチエイジングにも効果的です。目には他にもブルーベリーに多く含有されるアントシアニンなどが効果的です」(平松先生)。

<ルテインを取り入れる>
(1)食事でとうもろこしを摂取する。
(2)各種のサプリメントで、ルテインやアントシアニンなどを摂取する。

他にも視力回復に利く栄養素としては「βカロテン・ビタミンA・ビタミンC・ビタミンE」などがあるそうです。それらを含む食材やサプリもチェックしておきましょう。

視力回復、老化防止には、筋力ストレッチ、血行促進、栄養素でのアプローチなど、さまざまにあります。ぜひ、平松先生のアドバイスを参考にして、目と体のアンチエイジングを一石二鳥で行ってみてください!

平松 類先生
医学博士・眼科専門医
(ひらまつ るい)昭和大学医学部卒業、昭和大学大学院卒業(医学博士取得)昭和大学東病院助教、三友堂病院眼科科長、彩の国東大宮メディカルセンター眼科科長を経て二本松眼科病院勤務。NHKから民放まで多数のテレビ番組出演、メディア取材に対応している他、著書多数。近著に『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』(SBクリエイティブ)がある。
二本松眼科病院
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
町田 光
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