カッティングボードは本来、パンやチーズ、ピザなどをブレッドナイフなどでカットする用途で使用するものですが、最近は日本でも、オードブルやちょっとしたおつまみ、スイーツなどを載せて撮影するのにも最適で、オシャレな人が使っているアイテムのひとつでもあります。
まな板とカッティングボードの違いとは?
カッティングボードは一見、まな板と同じように見えますが、実はまな板とは木材の材質そのものが異なるものなのです。
そこで、カッティングボードとまな板との違いや選び方、お手入れ方法などを、カッティングボード、まな板ともに天然木で手作りしている、岐阜県のwoodpecker(ウッドペッカー)代表・福井賢治さんに教えていただきました!
カッティングボードとまな板の違い
広い意味で、まな板もカッティングボードのひとつであるといわれます。世界から見れば、日本のいわゆる「まな板」も、カッティングボードに違いないのです。
しかし、食文化や食材が違えば調理法や調理用具の使い方も異なってくるように、日本の「まな板」は見た目も用途も、欧米のカッティングボードとは異なるようです。
その大きな違いは「素材」といわれています。日本の「まな板」は、包丁で小さく食材を使う文化から、包丁が刃こぼれしない、やわらかい材質の木材がよく使われています。
一方で、欧米のよくあるカッティングボードは、硬い木でつくられていることが多く、ブレッドナイフなどのギザギザの刃でも傷つきにくいようにつくられているのが一般的です。
カッティングボードとまな板には、それぞれ、どんな材質が使われるのでしょうか? 福井さんに教えていただきました。
「カッティングボードとまな板の素材の大きな違い、それは『木の硬さ』です。woodpeckerではどちらにも天然木を使用していますが、天然木とひと口に言っても、実にさまざまな種類の木があり、軽い木、重い木、やわらかい木、硬い木、色が薄い木、色が濃い木、果ては感触から香りまで、まったく異なる特徴をもっています。このことから、あらゆる製品に加工される際にも、それぞれに適した用途があります。ぴったりの木を選んでぴったりのものに加工していくと、とても使いやすいものができあがります。
そのような理由から、まな板にはやわらかく、包丁に優しい『いちょう』を、『カッティングボード』にはギザギザ刃にも負けない頑丈な『山桜』を使用しています」(福井さん)
カッティングボードの選び方2つのポイント
まな板との大きな違いがわかったところで、良いカッティングボードを手に入れるために、選び方のポイントをチェックしておきましょう! 福井さんにふたつの条件を教えていただきました。
■1:頑丈な樹種
「カッティングボードには、ブレッドナイフのようなギザギザ刃にも負けない頑丈な樹種でつくられているもののほうが、表面に傷がつきにくいため、おすすめです。例えば、サクラ(山桜も含む)やオリーブ、メープル、アカシアです。反対に、やわらかい樹種はまな板でよく使われる、いちょうやヒバ、ヒノキなどがあります。これらはギザギザ刃のナイフには向かず、傷ついてしまうので避けたほうがいいでしょう」(福井さん)
■2:天然オイルで仕上げられているもの
「表面の仕上げ方法も色々とありますが、個人的には天然オイルがを塗って仕上げてあるもののほうが、食べ物を乗せるため、安心できるのでおすすめです」(福井さん)
カッティングボードのお手入れ方法3つのポイント
お気に入りのカッティングボードを手に入れたら、ぜひ長く使い続けたいものです。どんな風にお手入れしていけばいいでしょうか。
■1:使用後は早めに水だけで洗う
「使用後は、なるべく早めに洗ってください。たわしを使って水でのゴシゴシ洗いがベストです。軽い汚れは洗剤なしでも大丈夫です。必要以上に洗剤は使わず、使った場合には十分にすすいでください」(福井さん)
■2:風通しの良い場所で乾燥させる
「布巾(ふきん)などで水気をふき取ったら、なるべく風通しの良い場所で乾燥させてください。置き場所は直射日光が当たらなければ、スタンドに立てても、フックに吊るしてもOKです」(福井さん)
■3:パサついてきたらオイルを塗る
「woodpeckerのカッティングボードは、木肌の表情を生かしながら木の表面を保護し、シミやヨゴレをつきにくくするため、亜麻仁油や桐油をブレンドした100%植物性のオイルを塗りこんで仕上げています。もし何度も洗ってパサついてきた場合は、ご家庭でもオイル、例えば亜麻仁油などの乾性油を塗ると、しっとりとした手触りが戻ると共に、油染みや汚れをつきにくくします。布やキッチンペーパーにオイルをごく少量を塗布し、よくふきとって、乾燥してから使ってください」(福井さん)
ブレッドナイフにも耐え得る丈夫な材質と、上質な仕上げのカッティングボードを選んだら、ぜひ丁寧にお手入れをして、さまざまな用途で活用してみてはいかがでしょうか。
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福井賢治さんwoodpecker(ウッドペッカー)代表(ふくい けんじ)家具制作、神仏具製造の職を経て2007年、「木と一緒にくらす」をコンセプトに、woodpeckerを立ち上げ。第1号の作品は妻にプレゼントした「いちょうの木のまな板」。現在は岐阜県本巣郡北方町のアトリエを拠点に製作活動を行う一方、新製品の企画や、全国各地のクリエイターズマーケットなどへの出店活動にも注力。
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問い合わせ先
- woodpecker(ウッドペッカー)
- E-mail /info@hello-woodpecker.com
住所/岐阜県本巣郡北方町北方1502番地の2
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利