創業240年の歴史とともに、現代時計史そのものを感じられるミュージアム

創業者アブラアン-ルイ・ブレゲが活躍の舞台に選んだのが、ブルボン王朝が華やかな宮廷文化を繰り広げるフランスの都パリ。以降、現在に至るまで、ブレゲはパリとともにあり、エッフェル塔、工芸博物館などで、ブレゲゆかりの歴史遺産に出合えます。なかでも圧巻なのは、ヴァンドーム広場にあるブレゲ本店2階のミュージアムです。このブレゲ・ミュージアムは2000年にオープン(見学には要事前予約)。創業240年のブランドの時計史を刻む名作時計約250点を保有し、創業者が書き残した時計の設計図や資料を保存しているのです。

台帳には、マリー・アントワネットが注文した時計の記載も

パリ・ヴァンドーム広場にあるブレゲ本店の外観 
ブレゲ・ミュージアムの内観 
ブレゲ・ミュージアムの内観

ここでは貴重なアーカイブピース約250点を所蔵し、うち100点あまりを展示。また、歴史的価値の高い1780年代から現在に至るまでの500〜600冊もの注文台帳も保存し、そこには王妃マリー・アントワネットが処刑の1年前に注文した時計No179の記載も残っています。

ブレゲ・ミュージアムには創業者が手がけた時計の設計図や顧客名簿を収蔵するセーフルームがある。
台帳には「ラ・レーヌ」=マリー・アントワネット王妃が最後にオーダーした腕時計の記載が。

美術館の責任者を務め、比類なきメゾンの歴史を伝えているのは、7代目エマニュエル・ブレゲ氏。「ブレゲを愛用してきたのは、世界のエリート。王族、政治家、そして科学者も多いです」とブレゲ氏。

歴史的財産管理担当であり、ブレゲ社副社長のエマニュエル・ブレゲ氏。

錚々たる顔ぶれの顧客へ向けて製作された時計が展示

ことにアントワネットのみならず、ナポリ王妃カロリーヌ・ミュラ、ナポレオンの妃ジョゼフィーヌなど顧客の顔ぶれは、本物の価値を知る真の貴婦人ぞろいです。

オーダーの主は、時計好きなナポリのミュラ王妃。チェーンが付いたハンドバッグサイズの旅行用時計。
ジョゼフィーヌ皇后がオーダーした『モントレ・ア・タクト』。矢印に触れるだけで時刻がわかる仕様。
18世紀末の懐中時計『No5』。今も、ブレゲの時計に受け継がれる代表的な装飾や機構を備える。

まさに自動巻き、トゥールビヨンなど、数多くの発明を世に送り出した革新的メゾンならでは。しかし、ブレゲが愛され続けてきたのは機構の面ばかりではありません。「洗練、シンプルさが醸し出す美しさが愛されたのです。ブレゲの女性用時計は、単にメンズをシンプルにしたのではなく、女性のために特別にデザインしたもの。ぜひ、その美しさを知っていただきたい」と語るブレゲ氏。

パリを訪れた際には、現代の時計界の礎となったブランドの実績と背景に触れるため、ぜひミュージアムに訪れてみてください。その美しき名品時計の数々は、時計というものが単なる時間を知るための道具ではなく、女性を魅力的に映し出してくれるものだということを実感できるはずです。

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PHOTO :
小野祐次
WRITING :
安田薫子
EDIT :
菅野悦子、中村絵里子(本誌)