地中海沿岸を7泊8日かけて航行するラグジュアリークルーズ船、セブンシーズ エクスプローラー。この最高峰といわれるクルーズ船での旅を、全5回でご紹介していきます。
第1回はラグジュアリークルーズの選び方のポイントと、セブンシーズ エクスプローラーの船そのものの魅力についてご紹介しました。セブンシーズ エクスプローラーでは、寄港地でのツアーも料金に含まれているのも、大きなポイントです。7種類ある寄港地ツアーのうち、今回はイタリアのポルトフィーノとサンタ・マルゲリータ・リグーレを周遊する4時間コースをチョイスしました。
モナコのモンテカルロを出港後、東へ進路を取り、最初に寄港したのはイタリアン・リビエラ、リグーリア州のポルトフィーノ。マスタードイエローやピンク、レンガ色など色とりどりの家並みが湾を囲むように立つ、インスタでも人気の小さな港町です。「リビエラの真珠」と呼ばれる風光明媚な自然が残り、州立公園として手厚く守られています。
もともとはひなびた漁村だったポルトフィーノ。漁師たちは深夜に出船し、漁を終えて戻るのは夜明けごろ。太陽の光もまだ弱い時間帯なので、入り組んだ海岸線では自分の帰るべき港を間違えかねません。そこで、家並みをカラフルにして、沖からでもひと目でわかるようにしたのが、始まりだとか。港沿いの家の窓がどれも海に面しているのも、ランプの光が海から見えるように、との工夫かもしれません。ポルトフィーノは1935年に、政府によって国定史跡として宣言され、今では建物の改築を行うには許可が必要だそうです。
ポルトフィーノの桟橋に降り立ち、石畳の坂道を上ること6~7分、丘の上の聖ジョージ教会へ。イタリアの典型的なスタイルのこの小さな教会は、12世紀に建造されたもの。第2次世界大戦で崩壊したものの、1950年に再建、丁寧に修復が重ねられ、地元の人々から愛されているのがわかります。ここからは糸杉の梢の合間から、港町の全景も見渡せます。
カラフルな家並みの港周辺はおしゃれなブティックやレストラン、カフェ、そしていくつかの教会が集まっています。実はポルトフィーノ、1950年代ごろからヴァカンス地として人気を集め、夏にはヨーロッパの富裕層が押し寄せます。港正面や丸石の狭い路地沿いには、エルメスやサルヴァトーレ・フェラガモ、ルイ・ヴィトンなどのメゾン・ブランドが勢ぞろい。港にはセレブリティーのステイタスである、美しい流線形のメガヨットがずらり。ヨットのデッキで、赤いビーチドレスの女性とシニアがくつろぐ光景は、まるで映画を見ているよう。
お隣のリゾートタウン、サンタ・マルゲリータ・リグーレへは、ポルトフィーノから15分ごとに定期船が運航しています。移動中、海から見上げる緑の斜面には、ぽつり、ぽつりと立派な別荘が点在しています。なかにはグッチ、ガッバーナ、アルマーニの別荘もあるそうです。
サンタ・マルゲリータ・リグーレはポルトフィーノよりも町の規模が大きく、ホテルの選択肢も豊富。桟橋近くにあるメイン広場には、荘厳な大聖堂が見守っています。きらめくシャンデリアに、金色をふんだんに使った壮麗な装飾、精密なフレスコ画、空間を満たす重厚感に圧倒されてしまいそう。
この広場を取り囲む建物のいくつかに、ふと、違和感を覚えました。あら? 窓がないのです。かつて存在した“窓税”のために「税金を払うくらいなら」と、市民は窓をレンガで埋めてしまいました。お金持ちはその上にフレスコ画で精緻な窓の絵を描き、さらにお金持ちは窓枠だけをつくったとか。それにしても、窓にまで税金をかけていたとは!
サンタ・マルゲリータ・リグーレでは広場近くの石畳のパレストロ通り周辺を散策。高級ブランド店が多いポルトフィーノに比べると、ぐっと地元の暮らしを感じます。焼き菓子店やジェラート店、いろいろな形のパスタが並ぶ専門店、ジェノベーゼペーストなどを扱う食材店など、見ているだけでワクワクしてきます。
さぁ、そろそろ船に戻る時間です。
明日は西へ針路を戻し、フランスのコートダジュールへ向かいます。
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シリーズ「セブンシーズ エクスプローラーで行く!麗しの地中海クルーズ」
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- TEXT :
- 古関千恵子さん ビーチライター
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- WRITING :
- 古関千恵子
- EDIT :
- 安念美和子