地中海沿岸を7泊8日かけて航行するラグジュアリークルーズ船、セブンシーズ エクスプローラー。この最高峰といわれるクルーズ船での旅を、全5回でご紹介していきます。
- 第1回「ラグジュアリークルーズ船の選び方、ポイントはココ!」
- 第2回「ヨーロッパの富裕層から大人気!パレットのような港町、イタリアのポルトフィーノ」
- 第3回「中世の名残を感じる、フランスのアンティーブ周辺の旅はいかが?」
- 第4回「フランス最古の街!石鹸でも有名なフランスのマルセイユを巡る」
地中海沿岸を7泊8日かけて航行するセブンシーズ エクスプローラー。寄港地ツアーまでもインクルードされているのは、ラグジュアリークルーズではこの船のみ。イタリア、フランスと海岸線を航行し、スペインに到達。温暖な気候とラテンの陽気な空気に満ちたマヨルカ島とバレンシアを闊歩します。
パルマ大聖堂が見守るヴァカンス・アイランド、マヨルカ島
クルーズ旅も終盤戦。スペインに入り、6日目はマヨルカ島、7日目はバレンシアと寄港。同じ海岸線なのに、フランスからスペインへと国が変わると、人々の気質や土地の空気感が変わるから、不思議です。
マヨルカ島は、イビサ島と同じバレアレス諸島に属しています。通年、平均気温19.5度と過ごしやすく、スペイン王室も夏のヴァカンスはこの島で過ごすそう。地中海の要衝にあり、何世紀もの間、フェニキア人やローマ人、ムスリム系など、さまざまな人種や宗教の人々が移住したことから、あらゆる文化が影響し、マヨルカ島ならではの伝統文化が生まれました。
マヨルカ島では州都パルマ・デ・マヨルカを散策。まずは、西の丘の上にそびえる14世紀に王族のサマーパレスとして建造されたベルベル城へ。円筒形の4つのタワーを合体させたゴシック建築の建物のテラスから、市街を一望にできます。 “美しい眺め”という城の名前のとおりの絶景です。
続いて、10時の開門に合わせて、この街のハイライトであるパルマ大聖堂へ。13世紀から建設が始まり、実に400年近くもかかった、ヨーロッパ屈指のゴシック建築の世界遺産です。見どころは、20世紀初頭の改修時にアントニオ・ガウディが手掛けた祭壇の天蓋部分。また、サンティシモ礼拝堂に飾られた、現代アートの巨匠ミケル・バルセロの作品も見どころです。
迷路のような旧市街へ入ると、ガイドは右へ、左へと角を曲がり、ずんずんと細い路地を進んでいきます。頭の中がこんがらがって、同じ場所は2度と行けそうにありません。広場に出ると、そこにはオープンカフェやレストラン、ショップが集まっています。パルマ名物のうずまきパンの“エンサイマダ”や白ブタのドライソーセージ“ソブラサーダ”などは旧市街で、ぜひ味わって。
ノープランで行こう、スペイン第3の都市バレンシア
7日目のバレンシアは、マドリード、バルセロナに次ぐスペイン第3の都市。そして、パエリア発祥の地です。今回はガイドツアーに申し込むことなく、知らない街をさまよう小さな冒険をしてみることにしました。ノープランながらに、目指すはおいしいパエリア!
スタート地点は、旧市街のカテドラル。13世紀半ば~14世紀後半に建造され、その後も手が加えられたため、ゴシック様式、バロック様式、新古典様式など、幅広い時代の建築スタイルが融合した聖堂です。特別な日だったのか、厳かなミサが行われていて、観光客としてはお邪魔をしないよう、そそくさと退場。あとになって聖堂内部の美術館にキリストが最後の晩餐のときに使った聖杯が飾られたことを知り、残念な気分に……。でも、再訪する口実ができました。
旧市街は中世のバロック様式の歴史的な家並みが続いています。馬の蹄の音が聞こえてきそうな路地をさまよい、メルカド・セントラル(中央市場)へ。市場周辺にはさすがパエリア発祥の地、家庭用から業務用まで、さまざまなサイズのパエリア鍋が売られています。大きなものはまるで銅鑼のよう。
メルカド・セントラルは、屋内型のマーケット。フルーツや野菜のテナントは当たり前で、卵やキノコ、生ハムなどの専門店もあります。まるで、バレンシアの台所を覗いている気分。ジューススタンドで絞りたてのバレンシアオレンジのジュースをゴクリ。やはり本場だからか、フレッシュさが違います。
パエリアは結局、迷いに迷って歩き疲れて、道の途中にあった名もない店に決定。バレンシア風パエリアはシーフードではなく、鶏肉やうさぎ肉のうま味とサフランの香りが決め手らしいのですが、エビがドーンとのった普通のひと皿が登場。ノープランなのだから、仕方ない……。
でも、ノープランだからこそ、いいこともありました。そのパエリアの店員さんから、「この近くに世界遺産がありますよ」と。早速、行ってみることに。かつての商品取引所だったラ・ロンハは、1483年に建造されたもの。柱の広間はヤシの木に見立てた高さ11メートルの柱が連なり、壮観な眺めです。期せずして見た世界遺産、得した気分です。
船は翌日、最終目的地のバルセロナへ。乗船時にベッドの上に敷かれていた荷ほどき用シートは“Welcome(ようこそ)”のメッセージでしたが、今の荷造り用シートは“Bon Voyage(ごきげんよう)”。たくさんの思い出をスーツケースに詰めこんで、我が家のようになじんだキャビンとも、さようなら。また来る日を夢見て、下船です。
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シリーズ「セブンシーズ エクスプローラーで行く!麗しの地中海クルーズ」
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- TEXT :
- 古関千恵子さん ビーチライター
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- WRITING :
- 古関千恵子
- EDIT :
- 安念美和子