特に無駄使いしているつもりはないのに、なぜかいっこうに貯金が増えない……という悩みはありませんか?

老後資金などを考えると、今から少しずつでも貯めておく必要がありますよね。収入がそこそこあるにも関わらず、いつまで経っても貯金ができないと、予想外の出費に対応できなくて困ってしまいます。

例えば、病気や怪我の治療費、事故や事件に巻き込まれたときの弁護士費用が出せない、など。また、無貯金のまま年をとれば、将来は年金だけで生活しないといけなくなります。それまでに贅沢が止められなければ、老後破産まっしぐらです。

危険な状態のまま過ごしている人は、ごく一部ではありません。実は、ファイナンシャルプランナーの高橋成壽さんによると、いくら稼いでもお金の使い方やある種の思い込みによって貯金できない人は珍しくないそうです。

そこで今回は、高橋さんからそんな残念な人たちのお金の使い方や考え方を教わりました。以下の7つのどれかひとつでも習慣になっていると、収入が増えてもまったくお金が貯まりません。少しでもお金を増やしたいなら、今すぐに改めていきましょう。

高収入なのに貯金が増えない人の「お金の使い方&考え方」7選

■1:「忙しい」を理由に無駄遣いしている

「忙しい」が口癖の人は要注意
「忙しい」が口癖の人は要注意

お金の使い道を把握するといっても、日常生活におけるありとあらゆる支出をすべて押さえるのは困難。完璧主義に陥ると、1か月どころか1週間ももたず、挫折するのは目に見えています。

自分の浪費の傾向を知るためには、特定のジャンルの使い道にフォーカスを絞ってもいいでしょう。高橋さんによれば、忙しいことや時間がないことを理由にして、無駄遣いをしている人が少なくないとのことなので、まずはその観点から自分の行動を振り返ってみるのがおすすめです。

「例えば、移動手段として公共の電車やバスの代わりにタクシーを使う、自分で調理しないで外食したり惣菜を購入したりするなど、お金で時間を買うことは可能です。

もちろん、かけたお金以上に収入を増やすことができれば、その出費には意味があるといえるでしょう。他方、あくせく働いているわりには貯金が増えないという悩みがある方は、“忙しい”を理由とした無駄遣いがないか、家計を見直してみることをおすすめします。

1回あたりの出費はそれほど大きくなくても、1か月単位でみると積もり積もって、意外と家計を圧迫していることもあるのです。

しかも、この“忙しい”を理由とした無駄遣いは、定年後などに“忙しい”が解消された状況でも止められないのがくせもの。

というのも、人間は一度身につけた生活習慣をなかなか変えられません。時間に余裕ができても、こっちのほうが楽だからとついタクシーや外食、惣菜を利用してしまうのです。定年後に収入は減っても生活水準を落とすことができないと、老後破綻のリスクも高くなるでしょう」(高橋さん)

もちろん、タクシーや外食、惣菜の利用をゼロにするといのは、キャリア女性にとって非現実的ともいえます。ただ、稼いでいるわりに貯金が増えない……と悩んでいる人は、それらに頼りすぎていないか1か月単位でチェックしてみましょう。

■2:ストレス発散のための買い物をする

ストレスからつい衝動買い
ストレスからつい衝動買い

“忙しい”を理由とした無駄遣い以外に、見落としがちな浪費として、“ストレス発散のための買い物”が挙げられるとのこと。

「高収入ということはそのぶん仕事がハードでストレスが溜まりがちなので、その発散のために消費行動に溺れるケースをよく見かけます。

“自分へのご褒美”というと聞こえはいいですが、いくら稼いでもその分パーッと使ってしまっては元も子もありません。

ちなみに、お金持ち・富裕層からは“自分へのご褒美”という言葉を聞いたことがないです。堅実に資産を築いている人というのは、“自分にとって必要かどうか”という明確な基準で買い物をしており、ストレスなどの一時的な感情で財布の紐を緩めることはありません」(高橋さん)

もちろん、“自分へのご褒美”には、仕事へのモチベーションや収入をアップさせるというメリットがないわけではありません。ただ、そのような好循環に乗ることができず、貯金額が停滞しているという心当たりのある人は、自分へのご褒美の機会や額を減らすことを検討してもいいでしょう。

■3:手取りではなく収入を基準として身の丈に合わない買い物をする

額面ではなく手取りで考えよう
額面ではなく手取りで考えよう

「自分はたくさん稼いでいるからいくら使っても大丈夫」。そんな慢心も、高収入なのに貯金が増えない要因。本人は慢心しているという自覚すらないのですが、手取りではなく収入を基準にして考える人は、知らず知らず身の丈に合わない浪費をしやすいとのことです。

「実際に使えるのは収入から税金や保険などを差し引いた手取り金額なのに、収入を額面で考えて、『自分は年収いくらだからこれくらい大丈夫』と車や家など大きな買い物をしてしまう人が結構います。

特に、給料がアップしたタイミングでローンを組むときは要注意です。昇給と同時に生活水準も上がって、給料が増えても意外と手元に残るお金は増えないことはよくありませす。なのに、ピークの年収を基準にローンを組んでしまうと、毎月の返済の負担はかなり厳しいものになりかねません。さらに、万が一給料が下がるような事態になると、赤字に転落する危険性すらあります」(高橋さん)

収入ではなくあくまで手取りで自分のお金の使い道を考えましょう。また、給料がアップするとつい気が大きくなりがちですが、ローンを組むなら昇給前の額を基準にするほうが安心です。

■4:パートナーに無断でお金の使い道を決める

カップルで価値観を共有しない
カップルで価値観を共有しない

ダブルインカムで世帯収入としてはかなりの額にのぼるはずなのに、なぜか貯金が増えない……というカップルが陥りがちな罠がこれ。お金の使い道について、カップル間でコミュニケーションが十分にとれていないために、家計に綻びが出てしまうのです。

例えば、平日のランチ代、飲み会やゴルフなどの交際費、趣味にかけるお金など、自分では当たり前だと思っている支出が、実は家計に見合っていないことは往々にしてあります。

カップル双方が、自分のお金の使い道に疑問を持たず、またお互いの使い道にも無関心なまま散財してしては、ザルで水をすくいあげるがごときで、貯金が増えるわけがありません。

本気で貯金を増やしたいなら、ただ漠然と「貯金が増えればなあ」と思うだけではなく、“いつまでにいくら”とカップルで目標を共有すること。そして、その目標実現に向けて、お互いのお金の使い道についてしっかり話し合いましょう。

■5:お金の使い道を把握できていない

知らず知らず浪費しているかも
知らず知らず浪費しているかも

いくら働いても稼いでも、なかなか貯金が増えない……。そのシンプルな理由は、収入が多くてもその分、支出が多いということ。高収入なのに貯金が増えない人は、何にいくら使ったのかという家計の管理がずさんな傾向があるようようです。

自分が1か月に何にいくら使っているのか、それは使いすぎではないのか、というチェック機能がなく、何となく“お金が貯まればいいな”では貯金が増えていくわけがありません。

買い物をしたらレシートを忘れずにもらい、その都度、スケジュール帳や家計簿に記録していき、1週間や1か月など、一定の期間を区切って支出をまとめるようにしましょう。

面倒だからといって、その作業を怠っていては、貯蓄のスタート地点にも立っていないに等しいです。家計簿アプリなど便利なツールもあるので、まずはお金の使い道を把握しましょう。

■6:「忙しい」を理由にして、お金について勉強をする時間をつくらない

時間は自分でつくり出そう
時間は自分でつくり出そう

“忙しい”を理由にした無駄遣いだけでなく、忙しさにかまけてお金の勉強をする時間をつくらないことも、高収入なのに貯金を増やせない一因ではないかと高橋さんは分析します。

「金銭的に余裕のある富裕層ほど、お金のリテラシーをより高めるために、ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家を積極的に活用されています。他方、現在や将来の経済状況に不安があるのに、仕事に追われてお金についてじっくり勉強できないと、格差は開く一方です。

もちろん、職種や勤め先の状況によって、休みたくても休めないという事情があるのも理解はできます。

ただ、お勤めされている方のなかには、有給休暇を取得できるはずなのに、人目を気にしたり『私がいないと仕事が回らないから』と思い込んだりして、制度を活用できていない方も一定数いるのではないでしょうか。

“忙しいから~~できない”となんでも多忙のせいにしていては、状況は改善されません。忙しいなかでも、自分のために時間を確保する意識をもつのがよいかと思います」(高橋さん)

家計や住宅ローン、保険について見直したり、そのための情報を集めたりなど、貯金を増やすための行動を起こすには、とにかく時間が必要です。“忙しいから~~できない”と思考停止するのではなく、時間を捻出するにはどうすればいいのかをまず考えてみましょう。

■7:今の会社以外のところから収入を得ようとしない

働き方を根本的に見直す必要も
働き方を根本的に見直す必要も

前項でお伝えした通り、高収入なのに貯金が増えないという状況から抜け出すためには、自分のための時間を確保することが不可欠です。

ただ、そうは言っても「そんなのは理想論で、自分が今置かれた状況では、有給を活用することも残業を断ることもできない」と反論したくなる人もいることでしょう。しかし、その「現状では~~できない」という発想そのものが、働けど働けど暮らしが豊かにならない元凶かもしれません。

「本来、会社で働くことは、自分の生活のためなのに、その会社で働き続けること自体が目的化してしまって自分の生活が疎かになるという本末転倒な事態に陥っている人が、少なくないような気がします。

そもそも激務に追われて自分の時間が取れないくらいなら、そうした現在の働き方を根本的に疑ってみる必要があるのではないでしょうか。拘束時間の長い職場で働いているなら、待遇改善を求めて転職するのもひとつの選択肢です」(高橋さん)

今は転職や起業、副業など多様な働き方が認められている時代。もちろん、現在のライフスタイルや経済状況に満足しているのであれば敢えて働き方を変える必要はありません。ただ、経済的に不満があるのに、仕事に追われて問題解決に着手もできないという有様なのであれば、自分の働き方を見直すべきタイミングだといえそうです。

今回ご紹介したお金の使い方、お金に対する考え方で、あなたに当てはまるものはありましたか? これから少しでも貯金を増やしていきたいなら、この機会にぜひ改善しましょう。

高橋成壽さん
寿FPコンサルティング代表
(たかはし なるひさ)慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融関係のキャリアを経て2007年にファイナンシャルプランナー事務所を設立。現在は寿FPコンサルティング、ライフデザインセンター、寿アセットマネジメントなど、複数の金融サービス会社の代表を務める。「FP王子」の異名を持ち、メディアへの出演多数。著書に『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』(廣済堂出版)がある。
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この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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