これから春を迎えるにあたり、出会いや親睦を深めるための立食パーティーやお花見、ゴールデンウイークの旅行などのさまざまなシチュエーションで、手づかみでモノを食べる機会が増えてきますよね。
例えば、パーティではカナッペやピンチョス、ひと口サイズのサンドイッチ、カットチーズといったフィンガーフード。お花見や観光スポットでは、フランクフルトやアメリカンドック、クレープ、アイスクリームなどのワンハンドフードを食べがち。
これらは食べやすいがゆえに、マナーがイマイチわかりづらいもの。そのため、なにげなくやっていた食べ方や作法が実はマナー違反だった、なんてこともありえます。せっかくの出会いの機会や楽しい親睦会、旅行で大事な人脈を失なったり人に迷惑をかけたりしたくないですよね。
そこで今回、マナースクール・ライビウム代表の諏内えみさんに、フィンガーフード・ワンハンドフードの食べ方のNGマナーについて教わりました。大事なチャンスを100%生かすためにもワンランク上の所作を身につけるためにも、以下の10点は忘れないようにしましょう。
フィンガーフードやワンハンドフードを食べるときのNGマナー10選
■1:他人の分をまとめて取るのはNG
まずは、フィンガーフードのNGマナーから。友人や会社の仲間とパーティーに訪れた際、他の人の分もまとめて取ってシェアをする、という人も少なくないのでは? 特に、カナッペのような小さめサイズのものは取りやすいですが、他人の分まで取る必要はありません。
「立食パーティーでのマナーは各自の料理は各自が食べる分だけ。ですから、他人の分をまとめて持っていく、山盛りにするのはNGです。
ただ、例外もあります。ご高齢の方のためにお好きそうなお料理をみつくろってお持ちするのはマナー違反とは言えないでしょう。また、自社や業界で上司や取引先の方にお取りする風習があれば、それに従うのもひとつのマナーと考えられます」(諏内さん)
会社の方針によっては、目上の人が自分で取りに行く会社もあります。自分が勤める会社はどうなのか、細かいことですが、事前に確認をしておくこともマナーの一環。ただし、立食のマナーの原則は「自分の分は自分で取る」です。
■2:フォークやナイフを使って食べるのはNG
フィンガーフードといえども、ナイフやフォークを使って食べた方が上品なのではないかと思ったこと、ありませんか? 実はこれ、間違った考えです。
「ひと口で食べることができるサンドイッチにナイフやフォークを使っていたら、かえっておかしいもの。パーティーで談笑を楽しめるように、とつくられたフィンガーフードなのですから、手を使って召し上がってください」(諏内さん)
過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉があるように、マナーを気にし過ぎるあまり、マナー違反になってしまわないよう、注意しましょう。
■3:手皿で料理を口に運ぶのはNG
グラスやお皿を持っていると手がふさがって、料理が食べにくいですよね。そんなときは、テーブルに置いて料理や飲み物を楽しみたいものですが、ここにNGマナーの落とし穴が……。
「お皿をテーブルに置いて食べると手皿をしてしまいがち。これは絶対にやってはいけません。グラスを置いて、お皿を手に持っていただきましょう。
フィンガーフードを食べる手は、右手左手どちらでもOK。ですが、食べ物をつまんだ後は必ずナプキンなどで軽く拭きましょう。舐めたり、汚れたままグラスを触ってしまったり、握手をしたりしないように」(諏内さん)
上品に見えるから、と勘違いし手皿をしてしまっていたという人は少なくないはず。つい、やってしまわないように気をつけてください。
■4:食べかけをお皿に置いておくのはNG
基本的にはひと口で食べることができるフィンガーフードですが、ひと口で食べ切れないこともあるでしょう。このときに食べかけたもの、どこに置いていますか? お皿に置くのはNGです!
「フィンガーフードは、手に取ったらそのまま食べ切ってしまいましょう。お皿に戻してしまうのはNGです。ひと口食べてしまったものは、食べかけに歯型がついてしまいますよね。それがお皿の上に乗っているのは、見栄えが悪いもの。やはり、周囲の方から見て心地よいものではありませんね」(諏内さん)
ひと口で食べ切れなかった料理は、そのまま手にキープ! これが鉄則です。その後、ふた口目で食べ切ってしまいましょう。
■5:大きめのカナッペは無理せず一口で食べない
比較的小さなサイズで食べやすくなっているフィンガーフード・カナッペ。クラッカーの上にチーズやサーモンを乗せているため、食べるとボロボロになってクズが下に落ちてしまうことも。
クズを落としてしまうと見た目が悪い、とひと口で食べてしまうのは要注意。口の中がいっぱいになってしまい、いつまでもモゴモゴと口を動かしていては話をすることができません。
そのため、大きめカナッペはひと口で食べるのではなく、二口三口で食べましょう。一口で口がいっぱいにならない大きさであれば問題ありません。いずれにせよ、クラッカーのクズが落ちてしまうので、ナプキンを下に添えることで床を汚さないように。当然ながら手皿はNGです。
カナッペは見た目も華やかですから、カナッペをネタに会話に華を咲かせてみてはいかがでしょうか。
■6:手を下ろした状態で串を持つのはNG
ここからは、ワンハンドフードのNGマナー。食べ歩きをする際、周りに迷惑をかけないことが大前提。そこで気を付けたいのが、フランクフルトやアメリカンドック、串焼きなどといった串ものの持ち方です。
「串もののスティックは先がとがっているので、すれ違った人に当たらないように注意しなければいけません。特に手を下ろした際の高さは、子どもの目線の高さでもあります。目に串が当たってしまう危険があるので、十分周囲に気を配るか、立ち止まって食べるようにしましょう」(諏内さん)
串だけでなく、ケチャップやソースが他の人に付いてしまう危険性もあります。特に混雑したエリアでは要注意です。きちんとマナーを守ることで、不要なトラブルもしっかり回避しましょう。
■7:口で具を動かして串ものを食べるのはNG
串ものは上から順に食べていくもの。しかし、下のほうのものは、さすがに口で上にもってくるのは、マナーとしてはNGマナーです。では、どのように串ものを食べるのが良いのでしょうか。
この場合は、串を持っている手とは反対の手で、紙ナプキンなどを使って串の上のほうを持ち、串の両端を両手の指で持つ形に。次に、口とやや平行になるよう具の片面を食べたら串をくるりと回して残りを食べましょう。
このときに、具が落ちないように気をつけること。あとは、紙ナプキンを使って具を下から串の上までもってきて食べるのもOK。
また、口の周りにタレなどがつかないようにするには、串を口に対して平行にしすぎないのがポイントです。持ち手の下をやや下へ、タレが落ちない程度に30度くらい傾けて上部から食べると口周りにタレがつきにくく食べることができますよ。
■8:両手がふさがったまま食べ歩きするのはNG
原宿や渋谷などでは、クレープを手に持って食べ歩く光景はよく目にします。食べながらの街歩きはスイーツ系であればOKのイメージですが、両手がふさがるものはNGです。
「スイーツ系だからOKというわけではありません。食べ歩きしても問題ないかどうかの境界線は片手で食べるか、両手で食べるか、です。例えば、たこ焼きや焼きそばなどは器を片手に、箸や楊枝を片手に食べるため、両手がふさがってしまいますよね。両手がふさがったままの食べ歩きは危険ですし、見栄えも良くありません」(諏内さん)
食べ歩くときは、ホットドックやクレープといった片手で食べられる食べ物を選ぶようにしましょう。
■9:包装紙をクシャクシャにして捨てるのはNG
お店で食べ物をテイクアウトすると、包装紙にくるまれていることがほとんど。この包装紙の扱い方ひとつで、マナー美人になれるそうです。
「食べ物を包んでいる包装紙。みなさんはどのように処分しているでしょう。そのままクシャクシャにして捨てていませんか? これでは品ある行動とは言えませんね。使い終わった包装紙は軽く折りたたんで捨てるよう心がけてください。こうしたちょっとしたことでも、一目置かれるはずです」(諏内さん)
小さなことにも目を向け、丁寧に振る舞うことが、他の人から見れば“余裕のある大人”に映ります。ワンランク上の女性を目指すうえで欠かせませんね。
■10:アイスクリームをウエハースですくうのは避ける
アイスクリームについているウエハース。なぜ、ウエハースがついているか知っていますか? 実は、口の中が冷たくなりすぎてしまわないように添えられているんです。ですから、基本的にアイスクリームはスプーンで食べましょう。さらに、持つときは手の熱で溶けないようなるべく下を持つのがポイント。
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レストランや結婚式などでのテーブルマナーを気にする人は多いですが、フィンガーフードやワンハンドフードになると意外と無頓着になりがち。ワンランク上のエレガントな女性は、細かな振る舞いで一目置かれるもの。フィンガーフードやワンハンドフードをいただく際には、今回ご紹介したNGマナーに注意していきましょう。
マナースクール ライビウム
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 冴島友貴