近年、働き方改革やプレミアムフライデーなど、日本のビジネスシーンに深く根付く長時間労働を改善する動きが活発化しています。働き方改革が今後ますます具体化する中、現在のビジネスパーソンはどのくらい改革を実感しているのでしょうか?
働き方改革が実感できない大きな理由とそれを解決するための方法とは?
多くの人が「働き方改革」を実感できていない!
一般社団法人 日本能率協会が毎年行っているビジネスパーソン1,000人調査で、全体で「実感している」と答えた人は31.2%。残り6割以上は「実感していない」という回答になりました。
あなたは、職場での「働き方改革」が進んでいると実感していますか?
なぜ実感できないのか、そしてどうすれば実感できるようになるのか? 総合求人情報サイト「はたらこねっと」の運営会社ディップとフィールド・クラウドソーシング事業を展開するソフトブレーン・フィールドの調査でわかった原因と対策をお伝えします。
多くのビジネスパーソンが無駄な業務と会議に辟易していると判明!
日本能率協会の調査で、「働き方改革を実感していない」と答えた割合が多かった年代は「50代」(75.0%)や「60代」(72.0%)。そして「非正規職員」も75.2%が実感していないことが明らかになりました。
前回調査との比較
同調査では昨年も、ビジネスパーソンを対象に「あなたは、職場での働き方改革が進んでいると実感していますか?」と質問をしています。その結果を今年と比較すると、2017年に「実感している」と答えた人は19.3%。2割を切っています。
つまり、実は1年で働き改革の成果はわずかに上がっているのは事実なのです。にも関わらず、全体の6割は現在も働き方改革を実感できていません。それは一体なぜなのでしょうか? 原因として最も多かったのは、今年新設された質問の「ムダな業務・会議が減らないから」(29.2%)でした。
「働き方改革」を実感していない理由は何ですか?
こちらは今年と昨年の調査結果を並べていますが、一方そのほかの項目はおおむね昨年よりも減少傾向。中でも、「有給休暇がとりにくいから」は7.1%と明らかに大幅減。有休取得はこの1年間で、かなり改善されているようです。
この日本能率協会の調査によって、今後私たちが働き方改革を実感できるようになるためにはムダな業務・会議を減らさないといけないことが判明しました。
無駄な作業や業務は昔からの企業の慣習にとらわれていることが原因
それでは、私たちビジネスパーソンは現状どのくらい自分の仕事に無駄があると感じているのでしょうか?
2018年10月にディップがはたらこねっとユーザーに行った業務効率の改善についてのアンケート調査によると、「非常にある」「たまにある」を合わせると、63%が無駄な作業や業務について自覚していていることがわかっています。
現在の勤務先の業務に、無駄な業務や作業はありますか?
具体的に無駄を感じていることは、「企業の慣習から抜け出せず、非効率的に業務が回っている」(63%)との回答が断トツ1位に選ばれました。
どのようなことに無駄を感じますか?
次いで、「自動化できそうな業務なのに手作業している」(41%)、「付き合い、または必要性の感じられない残業」(32%)との結果に。
具体的な無駄については、「電子データでやれば良いのにいちいち印刷させる申請書類は無駄だと思います」「何をするにもプリントアウトした書類に各部門の担当者及び上司の印鑑が必要。上司が出張等で不在だと印鑑がもらえず作業を進めることができない」など。
さらに、「システム化すれば検索が楽になるのに、いまだにアナログで作業をしている」「情報共有がしっかりされていない為、同じ事柄を何度も確認したり、されたり。また、同一内容の業務を複数人で行っていたこともありました」などの声が寄せられました。
つまり、アナログ作業をすべてデジタル化することが先決の様子。IT企業では浸透しつつあるグループウェアやビジネスチャットを導入して、承認印や決済印をボタンひとつでできるようにする、データをクラウドサーバーに一元管理して書庫に行かなくてもいいようにする、などの対策ができそうです。
情報共有不足による二度手間作業は、グループウェアで各自の担当業務やスケジュールを確認していれば防ぐことができます。
また、会議については「誰も発言しない会議。無駄としか言いようがない」「毎週、同じ内容の会議で先に進まず終わる」「会議の内容が毎回逸れてしまい時間延長。本来したい仕事が進まない」などの無駄があるようです。
これはアジェンダを前日までにメンバー全員に提示して、会議当日は案を持ち寄るようにすれば、効率化できそうです。もしくは、ブレストをビジネスチャット上で行うようにすれば、対面で行う会議を減らすことが可能。ほとんどの無駄は、デジタルツールの活用で解決できることがわかりました。
そして、この調査で無駄を感じないと答えた方にどのようなときに無駄を感じないか聞いたところ、「業務を推敲しやすいように慣習を崩さない程度に自分で工夫している」「使用目的がはっきりしている資料・書類作成」「ルーティンワークのツールを使用している」「書類の承認がスムーズ」「脱線がなく、時間内・時間より前に終わる会議」などの回答が。
無駄を感じないのはどのようなときですか?
やはり自分で作業効率が上がる工夫を行い、資料や書類は使用目的をはっきりさせることが無駄をなくすための必須行為と言えるようです。
上手に時間を使いたいなら物事の切り替え・メリハリに注力すべし!
さらに時間を効率的に使う達人として注目したいのが、働く女性。結婚をして家庭と両立している女性は特に、仕事を効率よく片付ける必要があるのです。そんな女性たちが上手に時間を使うために仕事で意識しているのは、どんなことでしょうか?
ソフトブレーン・フィールドが802人の女性に行った「時間の使い方に関する意識調査」で、物事の切り替え・メリハリが上手な女性を「時間の使い方が上手いと思う」ことが明らかになりました。
具体的には、「リラックスする時と集中する時のメリハリを付けて時間を上手に活用している」「少しの時間でもできることをしっかりやる」などの時間の使い方をしている様子。
ほかには、「スキマ時間を有効活用」「複数のことを同時にできる」「朝型にして自分の時間をつくる」「思い通りにいかなくても気にしない」「完璧主義にならない」「集中して一気に片付けられる」「人を巻き込むのが上手い」「スケジュールの立て方が上手い」などの回答が。この8つを意識して、時間の使い方を見直してみるのもよさそうです。
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3社の調査で、ツールを使用する、自分なりの時短の工夫をする、目的をしっかり確認する、物事の切り替え・メリハリを付けることで無駄を減らせることが明らかになりました。働き方改革を実感するためには、まず時間の使い方を見直すこと。それにより、働きやすさも変わるはず。ぜひ今日から意識してみてください。
【調査概要】
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調査主体:一般社団法人 日本能率協会
調査対象:日本能率協会総合研究所「JMARリサーチモニター」のうち、全国の20歳~69歳までの正規・非正規雇用の就業者
調査期間:2018年9月28日~2018年10月9日
調査方法:インターネット調査
回答数 :1,000人調査主体:ディップ
調査対象:はたらこねっとユーザー
実施時期:2018年7月9日(月)~2018年8月24日(金)
調査手法:インターネット調査
有効回答数:1,146調査主体:ソフトブレーン・フィールド
調査対象:働いている女性
実施時期:2018年12月11日~2018年12月16日
調査手法:インターネット調査
有効回答数:802
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 高山 惠