配慮の欠けた振る舞いをしている人を見て、微妙な気持ちになってしまうことはありませんか? 明らかな間違いならともかく、「私は間違ってると思うけどマナーとしてどうなんだろう」と迷ってしまうような行為もありますよね。

SNSや掲示板サイトでは最近、「知らないと恥ずかしい常識・マナー」というトピックが話題となっており、「若いときは許されそうだけど、30歳を過ぎたらみっともない」「こういうことをする人なら、今後のお付き合いは控えよう」など、さまざまな意見が列挙中。

今回はそのなかでも、多くの共感を得ている行為をご紹介します。うっかり続けていると「教養がない人」と思われてしまうので、当てはまるものがあれば改善していきましょう。

社会人なら知らないと恥ずかしい「一般常識・マナー」10選

■1:祝儀袋の表書きにうす墨を使用するのはNG

祝儀袋のイメージ
祝儀袋のイメージ

結婚式が無事に終わり、ご祝儀袋をまとめていたときに、うす墨の筆ペンで表書きされた祝儀袋が出てきたら、びっくりしませんか。

「信じられず、二度見しました。嫌がらせなの? 細かいことは気にしませんが、さすがに複雑な気持ちです」

慶事にも弔事にも1本で使い分けられる、ツインタイプ(片側が墨で、もう片側がうす墨)の筆ペンは便利ですが、うす墨は香典袋など弔事用に使用するものです。おめでたい日に、うす墨の文字は、失礼すぎて品格までも疑われかねません。使うときは、色をきちんと確認しましょう。

そもそも薄い墨は、「墨をする時間も惜しんで駆け付けた」「涙で墨も薄くなった」という故人を偲ぶ優しい心の表れです。本来の意味を知れば、致命的な間違いは防げるはず。人間関係にヒビが入らないよう、押さえておきたいマナーですね。

■2:葬儀に黒の網タイツで参加するのはNG

網タイツのイメージ
網タイツのイメージ

遺族を慰め、個人を偲ぶ気持ちを表すことが、弔事にふさわしい装いと言えます。

「義父の葬式に、義姉は網タイツをはいて来た」とか、「お葬式にミニスカート、ノージャケット、派手なネイルにアクセサリーという人がいて、信じられなかった」という声も。

しめやかな雰囲気を壊さないよう、光る素材のインナーやノースリーブ、ミニスカート、肌の露出の多いものは避けましょう。足元は、薄手の黒いストッキングで行くのがマナーとされているようです。

時代や地域などによってマナーも変わりますが、大切な人を亡くした遺族を傷つけるような行動は慎みたいですね。

■3:残す気がないときにナイフとフォークを並べて置いたまま席を外すのはNG

ナイフとフォークのイメージ
ナイフとフォークのイメージ

こちらも周囲の人がとばっちりを受けて、嫌な気持ちになったようです。

ネット上に「結婚式で写真を撮るために離席した友人が、戻ってきたら食べかけの皿を下げられていたと私に激怒。ナイフとフォークが並んで置いてあったから、もう食べないと思ったのでは……。私にキレられて困った」という体験談があがり、数多くのコメントが寄せられました。

食事の途中なら、ナイフとフォークは「ハの字」に広げて置くのが一般的ですが、知らなければどうしようもありませんよね。若いうちは失敗を重ねながら、正しいマナーを身につけていきたいですね。

■4:結婚式にゲストが白いドレスで出席するのはNG

白いドレスのイメージ
白いドレスのイメージ

大切な友人の門出を祝う気持ちを、神聖な白い色に託して…と思う気持ちもわからなくはありませんが、結婚式や披露宴にゲストが白一色のドレスを着用するのは、NGです。

白は花嫁の色とされているからです。純白は避け、紛らわしいクリーム色のドレスなどには色のあるショールをプラスするなど、ひと工夫しましょう。また、喪を連想させる黒一色の服も新郎新婦を祝福する場の装いとしてはふさわしくありません。

「大学時代の仲よしグループの友人が、白いレースのドレスで出席。30年生きてきて、一度も聞いたことないのかな~」と、友人の教養を疑ってしまう意見も。

結婚式や披露宴が行われる時間帯、格や雰囲気などによっても適した装いは異なりますが、事前にどんな人が集まり、どんな雰囲気の場所なのか、確認しておくとよいですね。

■5:トイレットペーパーを三角折りにするのはNG

トイレットペーパーのイメージ
トイレットペーパーのイメージ

ホテルやデパートなど、掃除をする人がいる公共の施設ならわかるのですが、個人宅や小さなレストランでトイレットペーパーの三角折りを目にすると、モヤッとしませんか。「まだ洗っていない手で、ほかの人が使うトイレットペーパーに触ってほしくない」という意見が多数ありました。

ほかには、「彼氏の家のトイレで、三角折りをしていると話す友人。女子力をアピールしたいのかもしれないけれど、掃除しました~のサインですよ。あまりのドヤ顔に指摘できなかった」という人も。

トイレットペーパーの三角折りの意味を知れば、しなくてもよい行為なので、癖になっている人は注意しましょう。

■6:浴衣を左右逆の衿合わせで着るのはNG

浴衣のイメージ
浴衣のイメージ

旅館で出される浴衣の衿合わせも迷うところ。上にするのは、右? それとも左?

「気になるのが、浴衣の衿合わせが左右反対になっていること。胸元に右手がスッと入る衿になるのが正しいです。逆は、亡くなった方ですよ」という意見もありました。

そう、浴衣は男女とも同じで、自分にとって右側から先に合わせるのが正解です。その上に、左側の衿を重ねれば、でき上がり。浴衣以外の着物も同じです。

左側の衿から先に合わせるのは、亡くなった人に着物を着せるときだけ。正しい着方を知れば、左右逆に着ていることがどれほど恥ずかしいか、納得ですよね。

■7:熨斗付きの水引き袋でお見舞金を渡すのはNG

水引きのイメージ
水引きのイメージ

病気で入院中の同僚や部下のお見舞いに行く機会もありますよね。お見舞金は、どの祝儀袋に包めばよいのか、気になりませんか。

「入院したとき、会社の人からのお見舞金はありがたかったが、なぜ熨斗付きで、しかも蝶結び? 私より人生の先輩なのに…。そんなに私の入院が喜ばしいことなの?と、嫌な気持ちになりました」という声も。

病気は繰り返したくないことなので、解くのが難しい「結び切り」の祝儀袋を選びましょう。熨斗も付けないのが一般的です。「蝶結び」の水引きは、何度でも結び直すことができるため、何度あってもいい慶事にしか使えません。

お金とともに、相手を気遣う気持ちも包めるのが祝儀袋の魅力でもあります。覚えておけば、人間関係も円滑になるし、一目置かれる存在になれるはず。

■8:ご飯を右に味噌汁を左に置いた写真を上げるのはNG

ご飯と味噌汁のイメージ
ご飯と味噌汁のイメージ

「インスタで、きれいな食卓の写真がアップされているけれど、ご飯が右に置いてあってびっくり。お仏壇にお供えするなら、ご飯は右だけど…」という意見も。

現代の家庭料理でお手本とされるのは「一汁三菜」と言って、ご飯と汁物と惣菜3種が基本です。そのとき、ご飯は左手前に、汁物は右手前に置くことが、正しい配膳として知られていますし、高校生向けの家庭科の教科書にも紹介されているようです。

ご飯が左で、汁物が右という並べ方は、平安時代にはできていたとも言われているほど、古くから受け継がれてきているものなんですね。

「汁物は左にあったほうが食べやすい」という声も確かにありました。地域によって違うこともあるかもしれませんね。

基本を知った上で、自分流にアレンジしておいしく楽しくいただきましょう。そして、オフィシャルな場面では、基本に従うという臨機応変な対応を心がけてみませんか。

■9:SNS経由で何回も写真を送るのはNG

写真送信のイメージ
写真送信のイメージ

送る人はよくても、受け手も同じ気持ちとは限りませんね。

「最近、SNSでやたら写真を送りつけてくる人がいる。結婚式を挙げていないカップルに、自分の結婚式の写真を頼まれてもいないのに送ってきて嫌な感じ。自分のエコー写真をLINEに上げたりもしているし……。そろそろSNSのマナーが欲しい」という声も。

ほかに「SNSに自分の子どもの顔を晒さない。保育園の名前とかも載せない、書かない。ほかの人の子どもも同じです」という人も。

確かに、情報の受け手しだいで、悪いことに利用されてしまう危険もあるので、注意が必要ですね。

身近な人たちと「これいいな、とか、これは不快だな」と感じたことを話し合って、SNSに関する新しいマナーをつくってみるのもいいかもしれません。

■10:テスターを直塗りして拭かずに帰るのはNG

口紅のイメージ
口紅のイメージ

買ったものならご自由にですが、ドラッグストアや化粧品売り場で口紅をそのまま唇に塗って帰る人を見たら「それは絶対に使いたくない」と思いますよね。

「昨日ドラッグストアでコスメを見ていたら、40代くらいの女性がリップグロスのテスターを直接唇につけているのを見てびっくりしました」「がっつりリップ塗っている人を昨日見て、汚ないなぁ~って思った。 だって唇って唾液ついているじゃん」などの声がありました。

最近では、テスターを拭くためのティッシュやコットン、使い捨てのブラシが置いてあるところもあります。それらがなくても、直塗りしたときは紙で拭いてから帰りましょう。

冠婚葬祭のしきたりから、日常的にこれってどうなの? といったものまで、一般常識とかマナーって、じつに奥が深いものだということがわかりました。

マナーを守らないと憤る人もいれば、マナーを一方的に押しつけられると不快になるという人もいるでしょう。マナーを守ることは大事ですが、マナーとは人間関係を円滑にする潤滑油のような存在です。本質を見極め、誰もが気持ちよく過ごせるための知恵を身につけたいですね。

この記事の執筆者
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WRITING :
山本裕美