「疲れているのに、熟睡できない…」。季節の変わり目でもある春先に感じる不眠を解消すべく、一般社団法人日本快眠協会 代表理事で、CSAスリープケアマスターの今枝昌子先生に、春の不眠対策法を教えていただきました。

春先に感じる不眠、原因と症状とは?

春の不眠の原因と症状を知ろう
春の不眠の原因と症状を知ろう

うららかな春、新生活もスタートしてお疲れ気味なのに熟睡できないのは、なぜなのでしょうか?

春に「よく眠れない…」と感じる理由

春は、異動や転勤などによる生活環境の変化が多い時期です。それにより、体が生活のリズムにうまく順応できなかったり、ストレスも溜まりやすく、不眠につながっているケースが見られます。

また、気圧や気温もうつろいやすい季節です。春は、それらの影響によって自律神経のバランスが乱れやすくなり、睡眠の質が低下してしまうことにもつながります。

春の不眠症状1:「なかなか寝つけない、寝つきが悪い」

ベッドや布団に入っても、寝つくまでに時間がかかってしまう場合は、日常で不安や緊張などを感じているサインのひとつ。また、「今日も眠れない」という気持ちがストレスとなり、さらに眠りにくくなってしまうこともあります。

春の不眠症状2:「夜中に目が覚める」

夜中に何度も目が覚める。一度目覚めると寝付けない。それらも不眠の症状のひとつです。寝る前や睡眠中の光や音などの外部刺激や、日中のストレスなどが影響している可能性があります。

春の不眠症状3:「目覚めが悪い」

朝起きた時に、しっかり眠れた感じがしない。すっきりとした目覚めがない。または睡眠時間はたっぷりとったのに、熟睡できていない方は、睡眠の質が低下している可能性があります。

よく眠れてる? 快眠チェックシートで確認!

あなたの快眠度はどのくらいでしょうか? チェックシートで確認してみましょう。

【快眠チェックシート】

下記に該当するものをチェックしてみてください。

・ベッドや布団に入ってもなかなか眠つけない
・夜中に目が覚めてしまう
・目覚まし時計より早く目覚めてしまい、もう1度寝ようとしても眠れない
・日中にウトウトしてしまう
・熟睡感がない

2個以上の人は睡眠改善を

快眠チェックシートの項目に2つ以上当てはまったら、快眠のための工夫をおすすめします。睡眠改善方法や対策を取り入れて、質の高い睡眠になるようにしていきましょう。

春の快眠対策「朝の過ごし方」

朝の過ごし方で春の快眠対策
朝の過ごし方で春の快眠対策

睡眠を改善するのは、夜だけでなく、朝の過ごし方も大切です。太陽の光や時間、食べ物などを意識することで、睡眠の質が向上します。

朝の過ごし方1:「太陽の光を浴びよう」

毎朝起床時には必ずカーテンを開け、30分程度、太陽の光を浴びるようにしましょう。これにより、自分の体全体に「今は朝だ!」ということを知らせ、体内リズムを整えることができます。 また、メロトニンという眠気を誘発するホルモンの材料であるセロトニンは、太陽の光を浴びた14~15時間後に分泌されます。朝に太陽の光を浴びて置くことで、夜、自然に眠りにつけるようになるのです。

朝の過ごし方2:「毎朝、同じ時間に起きよう」

毎朝同じ時間に起きるようにすると、睡眠サイクルが整い、不眠解消につながります。もし、寝る時間が遅くなったとしても、いつもと同じ時間に起きるようにしてください。そうすることで、睡眠サイクルがあまり乱れることなく、快眠が促されます。

朝の過ごし方3:「トリプトファンを摂取しよう」

必須アミノ酸の一種であるトリプトファン。これは、セロトニンの材料となる栄養分です。これを含む魚や肉、豆類などを、朝食に摂るようにしましょう。また、トリプトファンの働きを助けるビタミンやミネラルも一緒に摂取するよう心がけてください。摂取するタイミングは、毎食に意識されると良いですが特に朝食がおすすめです。

春の快眠対策「寝る前の過ごし方」

人は、体温が下がりはじめたときに眠りやすくなります。ですので、就寝前の1〜2時間は体を温め、リラックスすることを重点に置いて過ごしましょう。

寝る前の過ごし方1:「ぬるめのお湯で入浴しよう」

就寝する2時間前くらいに入浴しましょう。お湯の温度は40℃くらいのぬるめがおすすめです。全身浴なら10~15分、半身浴なら20~30分くらいを目安にゆっくり体を温めてください。入浴2時間後くらいには体温が下がってきて、眠りに導かれることでしょう。

寝る前の過ごし方2:「ホットドリンクで温まろう」

寝る1時間前に、適量のホットドリンクを飲むのもよいでしょう。たとえば、ホットミルクなら、はちみつやショウガ、シナモンなどを少量入れることで体をじんわり温めてくれます。また、ハーブティーの心地よい香りも心を落ち着かせてくれるのでおすすめです。 ただし、温かいものでも、コーヒーや緑茶など、カフェインの量が多いものは逆効果なので、控えるようにしてください。

寝る前の過ごし方3:「足裏マッサージでリラックスしよう」

寝る前に、足裏マッサージをするのも有効です。足裏をマッサージすると、血液循環がよくなり、リラックスしやすい状態になります。 快眠におすすめの足裏の場所は、足の親指の付け根と4本のです。指のはら全体を持ち上げるようにほぐしてみてください。そのあと、指の付け根の両脇を、手の指で強くはさんで、そのまま上へ押しもんで。コリを感じる部分があったら、重点的にもみほぐすとよいでしょう。

春の快眠対策「睡眠環境を整える」

睡眠環境を整えて、春の快眠対策
睡眠環境を整えて、春の快眠対策

寝具やベッドルームは、睡眠の質に大きな影響を及ぼします。快適な眠りにつくために、工夫してみましょう。

睡眠環境を整える1:「体や体調に合った寝具を」

寝具は快眠のために重要なアイテムです。今、お使いの布団は季節に合ったものでしょうか。春先は、寒暖差が激しい時期です。毛布や薄手の布団などで、上手に調整しましょう。また枕は、高さや硬さ、材質などを見直し、ご自身の体に合ったものを使うようにしてください。寝具でリラックスできる環境を整え、快眠できるようにしましょう。

睡眠環境を整える2:「光を遮断しよう」

眠るときは、真っ暗なほうがよく眠れます。就寝1時間前には、寝室の照明を消して、間接照明に切り替え、光の刺激を抑えましょう。間接照明には、夕陽の光に近いオレンジ色の白熱灯がおすすめです。光の刺激が弱まってくると、心と体がリラックスし、眠りが訪れます。 また、ベッドに入ったらテレビやパソコン、スマートフォンはオフに。寝る前はできるだけ強い光を受けないようにしてください。眠りを妨げてしまいます。

睡眠環境を整える3:「アロマの香りでリラックス」

アロマオイルやアロマグッズを活用するのもおすすめです。お好きな香りを嗅ぐだけでも気分がよくなりますし、心と体をリラックスさせることができます。アロマポットなどの芳香器を使ったり、お湯の入ったティーカップや、ハンカチ、ティッシュにエッセンシャルオイルをたらして枕元に置いてみてください。

\質の高い睡眠で毎日輝く自分に/

人は睡眠によって、身体と脳の休息、肌の新陳代謝、記憶の整理などのメンテナンスを行っているといわれています。ご紹介した対策を上手に取り入れて、眠りの質を高め、輝やかしい毎日を過ごしてください。

体操やリフレクソロジーも! 眠りに関する日本快眠協会の認定資格

今枝昌子先生が代表理事を務める一般社団法人日本快眠協会には、快眠に関する認定資格があります。名古屋大学名誉教授監修のテキストを使って睡眠の知識を体系的に学べる「おねむりレクチャー」や、日本快眠協会独自のリラクゼーション技術を習得できる「CSAスリープケアリフレクソロジスト資格」、眠れる体づくりのためのトレーニング法を学ぶ「快眠体操指導士」、健康経営時代に求められるアドバイザーを養成する「CSAスリープケアマネージャー養成講座」など、不眠を改善したい人をサポートする職業の方や、家族の健康を守りたい方におすすめです。

『生活習慣を変えなくても 深い眠りは手に入る』(今枝昌子著・山と渓谷社)

『生活習慣を変えなくても 深い眠りは手に入る』(今枝昌子著・山と渓谷社)
『生活習慣を変えなくても 深い眠りは手に入る』(今枝昌子著・山と渓谷社)

これまで多くの足裏を見てきた睡眠のプロ、今枝昌子先生が提唱するセルフ式足つぼマッサージの本『生活習慣を変えなくても 深い眠りは手に入る』には、足裏と睡眠の関係性や、悩み別・足裏快眠ケアが多数紹介されています。足裏マッサージで快眠を手に入れましょう。

今枝昌子さん
一般社団法人日本快眠協会 代表理事/CSAスリープケアマスター
(いまえだ まさこ)心療内科内でリワーク講師を9年以上務め、リフレクソロジストとして眠れない12,000本の足裏から生み出した独自のメソッド『足裏快眠法』を生み出し、日本心身医学会にて学会発表、その後、『睡眠力の鍛え方』を、体感研修として、企業・行政・医療の現場で約10,000名以上におこなう。2012年日本快眠協会を設立。さらに睡眠の専門家として、『1分間の深いイイ話』等多数TV出演、『日経アソシア』、『日経グッディ』、新聞コラムも掲載する等、雑誌等でも多数で取り上げられている。2014年より、公益財団法人 精神科学振興財団 睡眠推進健康機構の睡眠推進員を務め、2016年より『眠育活動』、2017年より『健康経営』サポートを開始。
一般社団法人日本快眠協会
この記事の執筆者
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