クリムトの油彩画を25点以上、一気に堪能できるチャンス

東京都美術館では2019年4月23日(火)〜7月10日(水)まで、『クリムト展 ウィーンと日本 1900』を開催。クリムトが昨年没後100年、今年は日本オーストリア友好150周年であることを記念して開催される本展では、日本国内で開催された展覧会のなかでは過去最多となるクリムトの油彩画25点以上を展示。東京では約30年ぶりの大規模展となる貴重な機会となっています。

19世紀末から20世紀初頭の世紀末にウィーンで活躍した画家グスタフ・クリムトは、写実的でアカデミックな画風から出発し、やがて金箔を多用する「黄金様式」の時代を経て、装飾的かつ抽象的な色面と人物を組み合わせた独特の画風を確立。初期の自然主義的な作品から、分離派結成後の「黄金様式」の時代の代表作、甘美な女性像や、実は数多く手がけている風景画までを全8章に分けて展示。

代表作の『ユディトⅠ』や『ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)』など、ウィーン分離派時代の名作も。また、これらの作品の素描などをスケッチした『赤いスケッチブック』も展示。残念ながらすべてのページを見ることはできませんが、グッズ売り場ではいくつかのページを再現した「赤いスケッチブック」が販売されています。

グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》1901年(油彩、カンヴァス 84×42cm)ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館蔵
グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》1901年(油彩、カンヴァス 84×42cm)ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館蔵
グスタフ・クリムト《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》1899年(油彩、カンヴァス 244×56.5cm)オーストリア演劇博物館蔵
グスタフ・クリムト《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》1899年(油彩、カンヴァス 244×56.5cm)オーストリア演劇博物館蔵
グッズの「赤いスケッチブック」は¥1,200(税別)で販売。
グッズの「赤いスケッチブック」は¥1,200(税別)で販売。

人生の三段階を描いた『女の三世代』が初来日!

今回、注目の作品のひとつが、ロ ーマ国立近代美術館所蔵の『女の三世代』です。クリムトの作品のなかでも、壁画を除いて最大級の縦横170cmサイズの絵画が、初めて日本にやってきました。

絵のテーマは、クリムトが深い関心を寄せた生命の円環。人間の一生を幼年期、青年期、老年期の三段階に分けて寓意的に表す作品で、安らかに眠る幼子を優しく胸に抱く、若く美しい裸体の女性。夢見るかのように目を閉じているその後ろには、年老いた女性がうなだれ、老醜を恥じるように手で顔を覆っています。

グスタフ・クリムト《女の三世代》1905年(油彩、カンヴァス 171×171cm)ローマ国立近代美術館蔵
グスタフ・クリムト《女の三世代》1905年(油彩、カンヴァス 171×171cm)ローマ国立近代美術館蔵

スペシャルサポーターには稲垣吾郎さんが就任

クリムト展のスペシャルサポーターには、舞台や映画批評など多方面で活躍中の稲垣吾郎さんが就任。稲垣さんは、音楽家・ベートーヴェンの生涯を描いた舞台「No.9-不滅の旋律-」でベートーヴェン役を演じられるなど、19世紀から20世紀にかけてのウィーン文化に縁があり、関心を寄せてきたそうです。本展でも、ベートーヴェンの交響曲第9番に着想を得て制作された全長34mにもおよぶ壁画《ベートーヴェン・フリーズ》の精巧な原寸大複製を展示しています。

《ベートーヴェン・フリーズ》はウィーン分離派会館にある壁画の複製を3方の壁に再現展示したもの。グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》(部分)1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-02年、216×3438cm)
《ベートーヴェン・フリーズ》はウィーン分離派会館にある壁画の複製を3方の壁に再現展示したもの。グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》(部分)1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-02年、216×3438cm)

稲垣さんは「このたび、ウィーン世紀末の画家グスタフ・クリムトの展覧会でスペシャルサポーターに就任することになりました。昨春ウィーンを訪れた際に彼の作品を鑑賞し、その華やかさや繊細さ、圧倒的な存在感に心を奪われたので、不思議な縁を感じています。

僕は舞台でベートーヴェンを演じましたが、クリムトが第九をテーマに描いた全長34mの壁画の複製も展示されるそうで、その空間に身を置くことが、今から待ち遠しいです」とコメント。

初挑戦となる音声ガイドですが、作品の解説以外にもスペシャルトラックとして「第九」や「ウィーンの思い出」を語るコンテンツもあるので、レンタルした方はお聞き逃がしのないように。

本展は東京都美術館にて2019年7月10日(水)まで開催されたのち、2019年7月23日(火)〜10月14日(月)までは愛知・豊田市美術館に巡回展示されます。

問い合わせ先

  • クリムト展 ウィーンと日本 1900 
  • 場所/東京都美術館 企画展示室
  • 期間/2019年4月23日(火)~7月10日(水)
  • 時間/9:30~17:30(金曜は20:00まで)※入室は閉室の30分前まで
  • 休室日/5月7日(火)、20日(月)、27日(月)、6月3日(月)、17日(月)、7月1日(月)
  • 観覧料/一般¥1,600、学生・専門学生¥1,300、高校生¥800、65歳以上¥1,000
  • TEL:03-5777-8600
  • 住所/東京都台東区上野公園8-36

 

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
北本祐子