昭和8年に広島で創業した八天堂。今や駅構内を中心に全国に店舗を展開し、看板商品の「くりーむパン」はまさにクリームパンの代名詞ともいえるほど有名です。

そのとろけるおいしさにリピーターも多く、季節商品も含めて種類も多いのでお土産や差し入れにとたくさん買っていく人も多いと思います。

今回は、人気商品であるくりーむパンのおいしさの秘密や、最高においしく食べる方法を八天堂に伺いました。

八天堂のくりーむパンを最もおいしく食べる方法は?

八天堂の「くりーむパン」のこだわりとは?

八天堂のくりーむパン「カスタード」
八天堂のくりーむパン「カスタード」

八天堂のくりーむパンは、3代目が試行錯誤した末、何度食べても飽きのこない、あっさりした品のある味に仕上げたということで、とてもやわらかく、舌触りのいいカスタードクリームが特徴です。そのクリームのこだわりについて伺いました。

「クリームは、あっさりシンプルなカスタードクリームに、最高級の純生クリームを独自の配合で混ぜ合わせてつくっています。ざっくり混ぜ合わせることで口当たりがふんわりとします。

また、生クリームを使用しているため、パンは冷やしても質を損なわないレシピでつくっています。パンを焼き上げた後にクリームを注入してひと晩冷やし、その間に生地に水分が移行してパンとクリームがなじむので、しっとりした食感になります。

普通のパンでは、焼成後に注入するとパンが破れたり、クリームの水分移行でパンがべちゃついたり、冷やすと劣化したりするんです」

また、製法は「手づくり、手包み」にこだわっているそう。

「機械で製造する工程も一部ありますが、人の手でつくることで温かみが生まれ、品質を保持できると考えています。パンへのクリーム注入、パンの包装、カスタードを炊く工程などは手作業しており、1日約3~4万個という数の商品をほとんど手づくりでつくっているのは、弊社くらいではないでしょうか」

全国、海外へ店舗展開していっても、「手づくり」を大切にしているからこそ、八天堂のくりーむパンは素朴で飽きない、温かみのある味わいになっているんですね。

「メロンパン」や「くりーむパンあんバター」などの派生商品も充実

現在、八天堂では定番のくりーむパンのほかにも、プレミアムフローズンシリーズや、メロンパン、温めシリーズ、デニッシュシリーズなども誕生しています。それぞれのシリーズが誕生した経緯や、おいしさの秘密についても伺いました。

プレミアムフローズンシリーズ

「雪どけリッチ製法」という冷凍技術でくりーむパンを凍らせたプレミアムフローズンシリーズ。
「雪どけリッチ製法」という冷凍技術でくりーむパンを凍らせたプレミアムフローズンシリーズ。

「もともとチルドのくりーむパンを地方配送していましたが、新鮮な材料を使用しているため賞味期限が短く、遠方や離島などお届けできない地域のお客様にご迷惑をおかけしていました。そこで、全国のお客様へなんとかしてお届けしたい、という思いから生まれたのがプレミアムフローズンシリーズです。

冷凍するとパンのパサつきが出て品質も低下しますので、製法の改良と冷凍技術の両面から冷凍対応の商品開発を行いました。解凍した後でも、生地のしっとり感やクリームの風味、なめらかな舌ざわりを、できたてのようにお楽しみいただくことが可能になりました」

メロンパン

メロンパンとクリームパンが夢のコラボを果たしたスイーツパンも。
メロンパンとクリームパンが夢のコラボを果たしたスイーツパンも。

「パンの定番であるメロンパンもまだまだ進化の可能性があるはずと考え、よりスイーツに近づけるために開発を始めました。

サクサク食感を楽しめるよう、パン生地よりもクッキー生地を大きくしているのがポイントです。中にはクリームを入れ、サクサクのクッキー生地ととろっとしたクリームのふたつの食感をお楽しみいただけます」

温めシリーズ

温めシリーズは、基本冷やして食べるくりーむパンを、温めて食べるとおいしくなるように開発された、寒い時期にイチオシの商品。
温めシリーズは、基本冷やして食べるくりーむパンを、温めて食べるとおいしくなるように開発された、寒い時期にイチオシの商品。

「ある販売店様から『冬限定商品をつくることができないか?』と投げかけがあり、八天堂の強みを生かした商品ができないものかと試行錯誤しておりました。

ある日、商品開発担当者が“温めたらどうなるのだろう”という好奇心から、くりーむパンをレンジで温めて食べてみました。すると、今まで以上にパンがふわふわになり、中からクリームがあふれ出すのを見て、『これだ!』とひらめいたんです。そこで誕生したのが『くりーむパンあんバター』です。

温めることで中のクリームとバターが溶けてあんと合わさり、絶妙なおいしさをお楽しみいただけます。昨年、商品をリニューアルし、温めずにそのまま食べてもおいしい商品となりました。名古屋店のみ、商品名が『小倉トースト風くりーむパン』で、しゃちほこパッケージで販売しています」

デニッシュシリーズ

デニッシュシリーズは、パリッとしたデニッシュ生地でつくられたくりーむパン。リンゴ、スイートポテト、マロンの味があります。中にはクリームとバターが入っており、温めて食べるので、こちらも寒い時期におすすめ。
デニッシュシリーズは、パリッとしたデニッシュ生地でつくられたくりーむパン。リンゴ、スイートポテト、マロンの味があります。中にはクリームとバターが入っており、温めて食べるので、こちらも寒い時期におすすめ。

「ふわふわ・とろける生地とはひと味違う、サクっとパリっと、『音』を楽しめるのがデニッシュシリーズです。オーブントースターで軽めに焼いて、皮のパリパリ食感とトロトロのクリームをお楽しみいただけます」

店舗や季節によって置いてある商品も違うので、お近くの店舗を訪れた際には、どの商品が置かれているかチェックしてみてください。

「くりーむパン」をおいしく食べる方法は?

冷やして食べることが推奨されている八天堂のくりーむパン。冷やして、その日のうちに食べきる……というイメージが強いですが、定番のくりーむパンをもっとおいしく食べる方法はあるのでしょうか?

温かい濃厚カスタードが広がる「フレンチトースト」
温かい濃厚カスタードが広がる「フレンチトースト」

「フレンチトーストにするとおいしいですよ。フレンチ液に浸して、バターを溶かしたフライパンで焼き上げます。仕上げに砂糖をふるい、バーナーであぶってキャラメリゼすると、外はカリッとして、中からクリームがとろけだすフレンチトーストのできあがりです。

相性のいいフルーツを挟んだ「スイーツバーガー」
相性のいいフルーツを挟んだ「スイーツバーガー」

また、くりーむパンはフルーツとも相性がいいので、パンにナイフで切れ目を入れて、間にいちごやキウイ、パイナップル、もも等のフルーツを挟んでスイーツバーガーにするのもおすすめです」

最後に、くりーむパンに合わせるとおいしい飲み物も教えていただきました。

意外な飲み物で大人な楽しみ方も。
意外な飲み物で大人な楽しみ方も。

「本店はカフェスペースがあり、くりーむパンに合うようにオリジナルブレンドした寿屋珈琲さんのコーヒーやルピシアさんの紅茶を提供しています。通販では伊都岐珈琲さんのドリップコーヒーをご用意しています。

そのほかには、意外かもしれませんが炭酸飲料でさわやかに、日本酒で大人の味わいに、といった楽しみ方もできますよ」

くりーむパン自体が甘いので、砂糖なしの紅茶やコーヒーを合わせる人が多いかと思いましたが、炭酸飲料や日本酒は確かに意外でしたね。お好みのものを合わせて、そのマリアージュを楽しんでみてください。


八天堂の人気商品、定番の「くりーむパン」もまだまだ新たな楽しみ方ができるんですね。ついたくさん買ってきていろいろな食べ方をしてみたくなりますが、生クリームを使用しているので賞味期限が短いのも特徴。「冷凍保存すると品質が低下しますので、賞味期限内にお召し上がりくださいませ」とのことです。

ぜひ賞味期限内で、今回ご紹介したさまざまな食べ方を試してみてくださいね。

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この記事の執筆者
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WRITING :
こばやしあさみ