「割愛」という日本語、改めて見れば不思議な漢字で成り立っている…?と、疑問に思う気持ちは割愛しないで!

「割愛」という言葉、ビジネス会話や文書でも、よく使用されていますよね? 何かの契約を結ぶシーンでは「時間の都合で、説明は割愛します」というセンテンスの繰り返しがつきものです。

当たり前のように使用している言葉ですが、意外な漢字を使用しているな?と思った方、いらっしゃいませんか?語源まで紐解けば、この漢字で成り立つのも納得!という、実はとても奥深い単語なのです。

安易に使ってしまい、Respect(尊敬される)女性から、Shame(残念な)女性にならないために、言葉の成り立ちを今一度おさらいいたしましょう。

というわけで、ここでクイズです。

使用頻度の高い言葉ですが…。

【問題1】「割愛」の正しい意味は、次のどちら?

1:不必要なものを切り捨てる

2:惜しいと思うものを手放す

あなたはRespect?Shame? …正解は?

どちらが正解か、わかりますか?
あなたはRespect ?Shame? …正解は?

実は…2:惜しいと思うものを手放す が正解!

こちら、すでに正しく理解されている方は「なぜ、そんなに大げさな紹介をするの?」と思われるかも知れませんが、実はとても残念な事実が判明しているのです。

文化庁の『国語に関する世論調査』(平成23年)では、「割愛」という言葉の意味を正しく理解していた方が、なんとたったの17.6%! 実に5人中、4人以上の日本人が間違えており、単なる「省略」と同義語として使用してしまっていたのです。

「割愛」の正しい意味はこちらです。

本来の意味がわかったところで、もう一問、おさらいクイズを出題します。


【問題2】次の会話文で「割愛」を正しく使用しているのはどちらでしょう?

※Aさんがリーダーを務めたチームの新規格のプレゼンテーション中です。

1:A「こちらの説明は内容が重複するため、割愛させていただきます」

2:A「お客様からのご意見をまとめた資料ですが、この場で読み上げてのご紹介は、割愛させていただきます」

…正解は? 正しいのはどちらでしょうか?

前章を踏襲してお答えください!

もう、おわかりですよね?

2:A「お客様からのご意見をまとめた資料ですが、この場で読み上げてのご紹介は割愛させていただきます」が正解!

「惜しいと思うものを手放す」という意味の「割愛」は、省略した部分への愛着や、丁重に扱う気持ちも含んでいます。1:のように、単純に合理的に省く、という際には、「割愛」ではなく「省略」を使用するべきです。

語源まで紐解けば、「割愛」を単なる「省略」と混同しなくなる

「割愛」の語源には諸説ありますが、最も有力なのが仏教用語説で、現代でもこれを採用して載せている辞書が多数存在します。出家の際に、故郷や家族への愛を断ち切ったことを「割愛」と言い、そこから「愛着のある対象を手放す」という意味になった…というもの。鎌倉時代の仏教法話集『沙石集』にも「割愛出家」という表現が登場しています。

「愛を割(さ)く」…というほどに、手放した対象は大切なモノであった、という語源を知ると、単なる「省略」とは使うシーンが異なる、奥深い言葉なのだ、と意識できますね。

「割愛」と「省略」をきっちりと使い分けられると、プレゼンテーションや大切な方との会話が、より魅力的になるはずです。

日本語の美しさを大切に、知的な会話のできる女性で参りましょう!

この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
BY :
参考資料:文化庁「国語に関する世論調査」(平成23年)
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
ILLUSTRATION :
小出 真朱