資生堂 グローバルイノベーションセンターの研究員・細井純一さんが、美しい肌や、健康な腸を維持し、全身の美容と健康を保つヒントをお話してくれました。

日々、肌や腸、そして体全部をケアするための知識として役立ててみてください。

実は「肌と腸は似ている」ということをまず理解!

どちらも免疫系が発達している肌と腸。

最近、「肌の免疫」という言葉をよく耳にしますが、免疫といえば「腸」に備わっているともいわれます。

実は、肌と腸にはどちらも免疫系が発達しており、細菌がすみついていることから、「肌と腸は似ている」といえるのだそうです。

「腸や肌の類似性を理解するのによい例は、かゆみです。かゆみは、肌に悪いものがついたときにそれを除こうとする生理的な反応です。腸にもかゆみが起きますが、腸はかゆみを手でかき落とせないので、下痢をして除きます。外環境に接しているこれらの器官は、一見異なる反応ながら、それぞれ、かゆみを起こしているのです」(細井さん)

腸も、外環境に接しているといえるのでしょうか?

「口から肛門までは、ひとつの管になっていることから、その管の内側は外環境に接しています。ですから、腸はもちろん、気管や肺などの器官もすべて『体表』なのです」(細井さん)

この体表であるということを知ると、肌と腸が似ているというのが、ますます理解できますね。

肌と腸のケア方法とは?

肌と腸のケアについて

肌と腸は似ているということがわかったいま、私たちはどんなことを意識して、肌と腸をケアしていけばよいでしょうか?

「一番大切なのは、一つひとつの行動が、全身を通じて、腸と肌の両方に影響するということを実感することです。

例えば、適度な運動をすることはストレスを解消し、血行を促進し、便秘を解消することで、腸にも肌にもよい効果をもたらします。

また、スキンケアで肌が美しくなるとハッピーになり、食欲が増しますし、おいしいものを食べるとハッピーになり、肌がきれいになる、といったような相互作用があるのを思い出せるでしょう。

つまり、肌単独、腸単独ではなく、全身の健康の向上につながっていることが理解できれば、モチベーションのアップにもつながるでしょう。

スキンケアや食事内容のケアはもちろんですが、日常生活の一つひとつの行為が体の健康、そして美に影響することを知っておいてほしいと思います」(細井さん)

「感覚神経」のバランスが大事!

肌も腸も感覚神経のバランスが大切です。

細井さんは、腸も肌も「感覚神経」が大事だと話します。

「先ほど、かゆみのお話をしましたが、肌も腸も、かゆみを伝える『感覚神経』が鈍いと、悪いものへの対処が遅かったり、的確でなかったりします。

肌の感覚神経は、肌トラブルなどの体の内外で起きた刺激を脳に知らせ、脳からの指令を伝えて肌の再生などをコントロールしている神経です。

反対に、感覚神経は鋭すぎても体に余計な負担がかかります。神経が過敏になると、刺激に対して過剰に反応したり、常に反応しっぱなしという状態になったりします。刺激を和らげるための緊急反応のはずが、過剰に長続きして、逆に体にとって悪さをしてしまうのです。

つまり、感覚神経はバランスのよさが大事なのです」(細井さん)

肌の感覚神経のバランスはどうすれば保てるのでしょうか?

「適度なスキンケアを続けて、日焼けを防ぎながら、通常の生活を続けていればよいです。肌荒れや日焼けで刺激が高い度合いまで進むと、肌の神経反応も乱れてしまいますので、スキンケアと日焼け対策は欠かせません。

また、規則正しく、健康的な食習慣や運動習慣、ストレスケアがされているような通常の生活を送っていれば、神経は怠けたり、興奮し続けたりすることはありません」(細井さん)


肌の腸との類似性を知ったことで、肌の免疫や全身とのつながりなどの理解が深まった気がしますね。

日々の肌や体のケアの意識も変わってきそうです。

細井純一さん
資生堂 グローバルイノベーションセンター 研究員
(ほそい じゅんいち)東京大学医科学研究所で学位取得後、米国NIH環境健康科学研究所において3年間、がん抑制遺伝子の研究を、またハーバード大学のCBRCにおいて4年間、皮膚免疫の研究を行う。その後、資生堂 グローバルイノベーションセンターに入所。皮膚と心、全身との関係について研究を続けている。
この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利