正解は…

「やおら」「おもむろに」「やにわに」

「おもむろに」「やおら」「やにわに」

のどちらかになります。

やおら、おもむろに、は類義語になります。
やおら、おもむろに、は類義語になります。

「おもむろに」は「やおら」と同じく「ゆっくりと」を意味しますので、無理に順番をつけようとすると、ちょっと難しいですね。その点は意地悪な出題だったかもしれません。
更に「おもむろに」という言葉も、文化庁の調査による正しい意味の理解率が5割以下でした。「不意に」という意味と誤解していた方が、沢山いらしたようです。

繰り返しますが、「おもむろに」も「やおら」も、ともに「ゆっくりと」という意味

理解しやすくするため、3つの単語の語源や語のなりたちを紐解いてみましょう。

「おもむろに」は、漢字で書くと「徐に」…徐々に、という時に使用するのと同じ漢字で表記します。ゆっくりしている上、「一拍置いて動き出す」ような動作を表現するので、単純な「ゆっくり」を意味する「やおら」より、厳密にはよりゆっくり、という意味、ともとれそうです。

しかし「やおら」の語源が完全には解明されておらず、「柔」と関係しているのではないか?という学説があったり、「徐ら(やおら)」とこちらも「徐」の字で表記する、という説も。日本最古の物語とされる『源氏物語』の中で「こっそり静かに行う」表現に「やおら」が使用されている例もあるようです。

ですので、「おもむろに≒やおら」で、「(双方とも似たような)ゆっくりと」を正解とさせていただきました。

対して「やにわに」は、「矢庭に」と書き、「矢を射ている場のように、その場ですぐに、たちどころに」を意味します。ですので、この3語のなかでは最速です。

カテゴリの異なる「やにわに」を今回あえて挙げたのは、「やおら」の意味をカン違いされている方は、この「やにわに」と混同してしまうのでは?という意見があったからです。

「やおら」はゆっくり、「やにわに」は素早く、です。

そして一拍おいてゆっくり、というような場合が「おもむろに」

日本語には実に、多くの表現がありますね。

文章を書く際など、同じ表現が重複すると冗漫になりがちなことから、「この言葉を言いかえられるうまい表現はないかしら?」と思案してしまう事、ありますよね。同じ意味の文章でも、より多彩な表現力を身につけておけば、ここぞという時、困りません。

おもむろにペンをとってもスラスラと文章をしたためられる、語彙力の豊かな大人の女性で参りましょう!

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Precious.jp編集部 
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参考資料:文化庁「国語に関する世論調査」(平成26年)/(平成29年)
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小出 真朱