かつて霊山として修行僧の修験場だったという、脊振山系に抱かれた古湯温泉ONCRI/おんくり(以下、おんくり)。宿名は、「ちょうだいしたご恩を誰かに送る、そしてまた誰かが誰かに送る」という“恩送り”に由来するそう。いわば“感謝の気持ちの連鎖”です。
純温泉宿だった建物を、2012年にリブランド。“ジャパニーズ・コンテンポラリー”をデザインコンセプトに、和をベースにしたモダンで落ち着いたたたずまいが、周囲の自然の中に溶け込んでいます。
別名“美人の湯”として古くから親しまれていた温泉郷、古湯温泉。おんくりは自家源泉を使用し、泉温は38度と少々ぬるめ。そのため、のんびりリラックスして湯を楽しむことができます。
15種類の温泉が楽しめる大浴場
宿泊棟から少し離れた大浴場「SHIORI/しおり」は1日43トンもの湧出量を誇り、寝湯や陶器風呂、露天には打たせ湯や岩風呂、ヒノキ風呂、箱蒸し風呂など、15種類もの温泉がそろっています。あっちのお風呂、こっちのお風呂と湯殿巡りをするのも楽しみです。
また、ユニークな「天然砂むし温泉」も体験できます(利用料¥2,000)。これは、遠赤外線効果などをもつトルマリンやセラミックサンド麦飯石を天然温泉の蒸気で加熱した、いわゆる砂風呂。黒い砂に横たわっていると、ほんの数分でじわじわと汗をかき、15分後には滝のような汗でびっしょり。入浴後(?)は、すっきり爽快な気分です。
6階建ての宿泊棟と離れに客室は44。そのうち、おすすめしたいのはふたつの個性的なスタイルのお部屋。
テラスのテントで自然の音に耳を澄ませる
宿泊棟の3階にある「ONCRIソノテラス」(2食付き¥22,000~/泊)は、ホテルルームに加え、テラスに「ノルディスク・アルガルド」社製のパオ型テントを装備。高さ2メートル、たくさんのファブリックで彩られたテント内は、まるでリビングのようにくつろげます。名前に“音”を意味する“ソノ”がつくとおり、カンバス一枚を通して嘉瀬川のせせらぎや山峡を渡る風、虫の大合唱など、自然が奏でる音がすぐそばに。
ソノテラスでは夜がハイライト。正面にそびえる勝打山の稜線をなぞるように月が移動し、見上げれば満天の星空。大自然の只中で、部屋に用意されたコーヒーグラインダーで挽いたコーヒーやシャンパン、ワインをいただき、冒険気分を味わったら、睡眠は部屋に戻って心地よいベッドで。ホテルの居住性の高さとアウトドア気分、どちらも味わえる滞在です。
客室の半分が浴槽。温泉三昧できる離れ
もうひとつ、「離れ JIBOH」(2食付き¥22,000~/泊)は温泉をたっぷり満喫したい人にとって、まさにパラダイス。かつての家族風呂を客室にリノベート。部屋の半分をバスタブが占め、いつでも温泉に浸かれるシチュエーションになっています。
昔ながらの梁や煙突穴、壁のひび割れも金加工で模様に仕立てた、レトロとシャープさが共存したデザイン。一日中、温泉が注ぐ水音に包まれながら、坪庭からの外光を受けて半露天気分で湯浴みをする贅沢。部屋から一歩も出たくなくなるかもしれません。
バー&レストラン「SEBRI/セブリ」は、玄海産の魚介類や地元の契約農家から届く、季節の旬な食材をおいしくひと皿にまとめたナチュラルイタリアン。ディナーのコース料理を目当てに訪れるゲストもいます。そして翌朝のビュッフェのラインナップも豪華。ちなみに、カレーと小松菜ジュースが人気です。
問い合わせ先
- 古湯温泉ONCRI/おんくり
- 料金/ONCRIソノテラス(2食付き¥22,000~/泊)、離れ JIBOH(2食付き¥22,000~/泊)
- TEL:0952-51-8111
- 住所/佐賀県佐賀市富士町古湯556
- TEXT :
- 古関千恵子さん ビーチライター
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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- WRITING :
- 古関千恵子
- EDIT :
- 安念美和子