秋深まる軽井沢の自然を舞台にした写真展を楽しもう!
これから美しくも短い秋を迎える軽井沢。その軽井沢を舞台に、2019年9月14日(土)〜11月10日(日)までの58日間にわたる「浅間国際フォトフェスティバル 2019」が開催中です。
昨年のプレイベントでの好評を受けて、第1回目の開催となる今年は、メルシャン軽井沢美術館跡地に開館予定の「御代田写真美術館(通称:MMoP)」エリアをメイン会場とする「PHOTO MIYOTA」、
軽井沢町内で開催する「PHOTO KARUIZAWA」(10月1日から開催)、群馬県長野原町内2か所で開催する「PHOTO KITAKARUIZAWA」の3つのエリアに拡大。
浅間山麓の自然とアートのコラボレーションは、どのように行われるのでしょうか? 実は昨年のプレイベントに参加した友人のInstagram投稿を見て、「なんて素敵なんだろう」とうらやましく思っていた、筆者である私。早速会場に伺ってきました。
第1回目は「TRANSFORM イメージの化学」をテーマに、国内外からの優れた写真家55組が39か所で728点の作品を展示。
写真だけでなく、映像やインスタレーション、テクノロジーを駆使した最新撮影システムなどのインタラクティブな仕掛けが施されています。
PHOTO MIYOTAの「御代田写真美術館(通称:MMoP)予定地」エリアには55組のアーティストの作品が展示されていますが、そこから実際に見て体感してほしい印象的なアーティスト5人をピックアップしました。
■1:文化人類学・民族学の見地からも貴重な作品群!シャルル・フレジェ「CIMARRON」
世界各地でポートレート写真を撮影する作家で、文化人類学・民族学の見地からも貴重な作品群を発表。
本作のテーマ「CIMARRON」は、スペイン語でアフリカ大陸から連れ去られたのち、売られた地で逃亡した黒人奴隷を指しています。
南北アメリカ大陸に住む彼らの子孫たちがいまも行う、祝祭で身に着けた衣装を撮影した作品。日本の祝祭とは異なる極彩色の衣装と肉体表現を写し取った美しい作品を大きなプリントで鑑賞できます。
■2:古本や広告の写真と、目の前の世界がつながってる!?シャンタル・レンズ「You Run Around Town Like a Fool and You Think that it’s Groovy」
古本や広告の写真を組み合わせたコラージュから、ユーモラスな作品を生み出すシャンタル・レンズの作品を展示。
写真集「You Run Around Town Like a Fool and You Think that it’s Groovy(君は馬鹿みたいにあちこちで遊んで、それがイケてると思っているんだよね)」から選ばれた作品を、牧草ロールを包み込むという浅間山麓エリアらしいアイデアで屋外に展示。
写真のなかの世界とつながって見えて、素敵です。
■3:作家とともに過去を訪ねる!大塚千野「Imagine Finding Me」
家族アルバムのなかの自分の姿に、現在の自分を映しこんだダブル・セルフ・ポートレイト。
「デジタル技法でつくったタイムマシーンに乗りこみ、わたしがかつていた場所へ、訪ねた場所へ、自分史をめぐる旅にでる」とステートメントに記されているように、
作家は、この創作活動を通して、過去を訪ねながら、10歳で単身で英国に渡った作家自身のアイデンティティを見つけ出しているのだと感じました。
写真の時代背景など、40代・50代の女性にとって、自分と重ね合わせる面も多くあるでしょう。
■4:記録的猛暑だった、1940年夏のNY近郊コニー・アイランドのビーチに混ざる!ウィージー「Coney Island」
警察無線を傍受し、誰よりも早く事件現場に駆けつけて写真を撮る。現代でいうところのパパラッチのようなテクニックで報道用のスクープ写真を撮影していた写真家、ウィージー。
報道写真ではあるものの、どこかウィットに富んだ作風で当時の新聞社から引くてあまただったそうです。
この写真は、アメリカのNY近郊にあるコニー・アイランドで1940年7月28日撮影されたもの。特別なイベントがあったわけではなく、記録的な猛暑の影響で、ビーチには100万人もの人々が押し寄せたそうです。
この写真、WHAM!のメンバーだったジョージ・マイケルのソロアルバム「LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL.1」(1990年)のジャケットにも使用されています。ある世代の方は、見覚えがあるのでは?
今回はその群衆のひとりになって顔を出して撮影できるという仕掛けも。
■5:作品と自分を合成した写真を作る体験も!鈴木崇「BAU」
「見るときに生じる認識のズレ」をテーマに作品制作を行っている、鈴木崇によるキッチンなどで使われるスポンジを組み合わせ、フォルムを構築した作品。
黒をバックに撮影し、その存在感を際立たせることで、日用品であるスポンジに別の意味を加えていく、という手法です。
今回の展示ではソニーの協力により、画面に現れた作品と、会場にいる自分を合成してプリントするという試み「YOU and BAU」も実施。おすすめは用意された階段を利用し、スポンジの上に座っているように見せる撮り方。
「PHOTO MIYOTA」の会場はこちらの敷地内以外にも、御代田町内の18区の公民館や集会所で、「暖簾(のれん)」も展示。海外でも注目の高い作家・水谷吉法の「Tokyo Parrots」(2015年)からの作品展示では、都会に増殖する蛍光グリーンに輝くインコの異様な姿を鑑賞できます。
本来は平面である写真を立体にしたり映像化したり、写真と自分が一体化できるユニークなインスタレーションなど「五感を刺激する写真体験」を体験しながら鑑賞する試みは、普段の凝り固まった脳をやわらかくしてくれそう。
問い合わせ先
- 浅間国際フォトフェスティバル 2019
- 会場/メイン会場「御代田写真美術館(MMoP)」(旧メルシャン軽井沢美術館)周辺
会期/2019年9月14日(土)〜11月10日(日)※会期中無休 - 時間/10:00〜17:00(最終入場16:30)
- 入場料/無料 ※一部有料エリアあり(中学生以下は全エリア無料)
E-MAIL/info@asamaphotofes.jp - 住所/長野県北佐久郡御代田町馬瀬口1794-1
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 北本祐子