日本では1年中、マーケットやカフェなどで、さまざまなフルーツを目にすることができます。ですが、多くのフルーツは旬のシーズンが短く、「食べたい!」と思ったときにいつでも味わえるわけではないのが、フルーツの良いところでもあり、少し残念なところでもあります。
また、完熟されたフルーツは極上の味と香りを持っていますが、食べごろが本当に短いため、流通には乗りにくく、産地へ行って購入することでしか味わえないこともしばしば。
そんなフルーツを「レア・ドライ」にすることで、新しいドライフルーツにした「FRUITEST(フルーテスト)」は賞味期限が長く、いつでも手軽に味わうことができると注目されています。代表の有井さんに、フルーテストの製法や特徴、商品をおいしく味わう方法について伺いました。
香りも味わえるレア・ドライフルーツ6選
日本が誇る最上級の完熟果物の甘みや酸味、そして何より香りを世界中の人に感じてもらうために、「レア・ドライ」という手法を使って、一瞬のおいしさをとじ込めたフルーテストは、これまでのドライフルーツとはまったく違ったおいしさを持っています。
「レア・ドライフルーツは、これまでのドライフルーツやセミドライフルーツと比べ、圧倒的にみずみずしい仕上がりになっています。加えて、これまでのドライフルーツだと伝えることができなかった、完熟果物の『香り』が堪能できることが特徴です」(有井さん)
確かに従来のドライフルーツは甘味やうま味は凝縮されていますが、香りは弱かったかもしれませんね。
繊細なフルーツを扱うために、フルーテストの加工はすべて手作業で行われています。
「仕入れたそれぞれの果物に対して収穫時の状態を見極め、みずみずしさと保存性のバランスを考えながら、加工の際の温度や時間などをその都度、調整しています。繊細なレア・ドライ状態を実現するために、ぶどうの種取りなども含めすべての工程を手作業で行っています」(有井さん)
日本ではスーパーや百貨店で年中フルーツを購入できますが、実は完熟した状態の最上級のフルーツはほぼ流通していないのだとか。
「日本では全国各地で数えきれないほどの種類の果物が栽培されています。そして、そこには果物と真剣に向き合う農家の人たちがいます。彼らのこだわりがつまった完熟果物のおいしさや素晴らしさは言わずもがなですが、実は都会のスーパーなどには、流通の過程で腐らないように、ほとんどの場合、7~8割程度の熟し度合いで出荷されてしまいます。
なので、これまでは『本当の完熟果物の香りやおいしさ』は旬の時期に産地でしか味わえませんでした。それをレア・ドライにすることで、保存性を高め、いつでもどこでも完熟果物のおいしさを味わえるようにしました。
ちなみに原料は国産果物だけで、それ以外の原料は一切使っていません」(有井さん)
完熟フルーツの本当のおいしさは香りにあったのですね。では、商品について教えていただきましょう。
■1:ジューシーさを堪能できる「ピオーネ」
ぶどうのドライフルーツということはレーズンなのでは? と侮ることなかれ。
「大玉ぶどうのピオーネは、糖度16度以上の強い甘みと、それに負けない爽やかな酸味があります。プチっと噛むと、みずみずしい果肉がじゅわっと口の中に広がっていき、香りを堪能できます」(有井さん)
「より深く味わうにはダージリンティーとのペアリングをお勧めしています。
甘みと酸味でいっぱいになった口をダージリンティーの軽い渋味でリセットすると、数秒後に、ピオーネの香りの輪郭が徐々に浮き上がってくるんです。ピオーネだけで食べたときには感じることのできなかった不思議な感覚を味わえますよ」(有井さん)
■2:孤高の風味を味わう「マスカットオブアレキサンドリア」
ぶどうの女王と呼ばれるマスカットオブアレキサンドリア。ぶどう農家さんの間で人気が根強く、「本当のぶどう好きに好かれる品種」なのだそう。
「皮が薄く繊細なマスカットオブアレキサンドリアを、優しくゆっくりとレア・ドライに仕上げました。
食べると口の中で徐々に広がってくるマスカット香(紅茶のような香り)が特徴です。他のどんなぶどうとも違う、孤高の風味を持つマスカットオブアレキサンドリアは、紀元前から栽培される非常に歴史の古い品種です」(有井さん)
「近年ではシャインマスカットの人気に押されて少しずつ生産量が減ってきてしまっていますが、ぶどう好きには人気が高いためラインナップに入れました。
弊社で開催している、レア・ドライフルーツとお酒などとのペアリングイベントでは、白ワイン(シャンモリの山梨甲州2018)とのペアリングをお勧めしています」(有井さん)
白ワインのお供に白ブドウのレア・ドライ。おしゃれで会話も弾みそうです。
■3:あたらしい干し柿「甲州百目」
懐かしい干し柿もフルーテストになれば、あたらしい味わいに。
「甲州百目は渋柿の代表的な品種で、その渋味は生では食べられないほどなんです。が、乾燥させることで他の果物に負けない甘さが出てきます。ひとつひとつ丁寧に手作業でブロック状にカットして乾かすことで、口いっぱいに広がる柿の風味と、まるで焼き芋のようなねっとりした食感をお楽しみいただけます。
赤ワイン(Conte di Zanzone BARBARESCO 2015)とペアリングすると、赤ワインと柿のそれぞれに含まれるタンニンが混ざり合って一体感のある味わいになりますよ」(有井さん)
一度食べたらとまらない、優しい味に癒されます。
■4:レア×レアな「貴陽」
レア(貴重)な高級スモモである貴陽もレア・ドライにすると、より深い味わいになります。
「皮付きのままカットして加工することで、食べた直後は酸味をしっかりと感じ、噛むほどに口の中で甘さがどんどんあふれ出ていく仕上がりになりました。
また、皮があることで貴陽ならではのジューシーさが保たれて、より『レア感、生感』を感じられます」(有井さん)
「貴陽は山梨出身の私は昔から食べていたのですが、管理が難しく生産者の中でも熟練した方しか栽培できない品種なんです。完熟した味をぜひ多くの人に食べてもらいたく、レア・ドライにしました。
甘めの日本酒(天狗舞 特別純米)とのペアリングがお勧めです。口内調味すると、貴陽の酸味と日本酒の甘みが一体化し、丸みのある味わいになります」(有井さん)
スーパーでも短い時期しかお目にかかれないスモモ。完熟状態のものが味わえるとは貴重ですよ。
■5:ぶどう界のサラブレッド「シャインマスカット」
近年、人気の高い白ブドウ・シャインマスカット。
「日本一ともいわれる、山梨県笛吹市の凄腕農家・樋口さんのシャインマスカットを贅沢に使用しました。
東京のスーパーで買うシャインマスカットではなかなか感じることのできない、完熟したマスカット香(紅茶香)を感じてもらうことで、フルーテストが伝えたいことが明確になっていると思います」
「フルーテストのシャインマスカットはマスカット香がかなり強く感じられるので、あえてスモーキーなGlenfiddich 12 yearsなどのスコッチウィスキーと合わせるのがお勧めです」(有井さん)
本物のマスカット香を楽しんで。
■6:元祖プレミアムぶどう「巨峰」
品種登録から半世紀以上経つにも関わらず、いまだに人気が色あせない巨峰。
「巨峰の聖地といわれる山梨市牧丘地区の種あり巨峰を使っています。唯一無二である巨峰の香りを味わえます」(有井さん)
「最近は種なしぶどうが流行りですが、やっぱり巨峰は種ありがおいしいです。乾燥させた後に1粒ずつ手作業で種取りをして商品化しています。
レディ・グレイというアールグレイにレモンピールなどを加えた爽やかな紅茶との相性が最高です。」(有井さん)
ダージリンのように渋味の強い紅茶では、巨峰の繊細な香りが渋味に負けてしまうそうなので、ぜひレディ・グレイを準備してくださいね。
桃や柑橘系など、新商品の予定も続々と
「甘くねっとりしたスイートネクタリン『黎王』、硬めな大玉の桃『さくら白桃』を10月下旬~11月上旬頃に販売予定で、WEBサイトにて購入予約を承っています。また、冬の果物として、柑橘系もラインナップに加える予定です。
最終的には、『日本全国から四季折々の果物を厳選して揃えたレア・ドライフルーツのブランド』にしていきたいです」(有井さん)
「日本が誇る完熟果物の香りを世界に伝えること」、そして「いいつくり手(農家)がしっかり報われる仕組みを作ること」を大切に、フルーテストをつくっていきたいと語る有井さん。今後のラインナップが楽しみですね。
ペアリングを味わえるテイスティングイベントもすでに関係者向けに行われています。今後は一般の参加者も募っていくそうなので、ぜひWEBサイトをチェックしてくださいね。
特殊な加工技術やフィルムの使用により、製造から1年の賞味期限があるというフルーテスト。洗ったり皮を剥いたりといった手間がかからないのもうれしいですね。
完熟フルーツのありのままのおいしさと、レア・ドライ製法ならではの新しい味わいを、気軽に楽しんでみて。
※記事中の価格はすべて税抜きです。
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 田中いつき