太古の昔、地中深くで生まれた鉱石が、人間の叡智と美への情熱によって、これほどまでに切望される存在となったダイヤモンド。その輝きの理由と美しさを語るうえで欠かせない、基本事項をまとめました。
カラットの意味、説明できますか?大人なら知っておきたいダイヤモンドの基礎知識、合言葉は「4つのC」
ダイヤモンドの美しさを決めるのは、原石のクオリティです。透明感があって、にごりがなく、カットによって光が無限に反射するものが人を惹きつけます。そんな原石の質の基準になるのが、G.I.A.(米国宝石学会)が定めた4つのC(カラット、カラー、クラリティ、カット)。それぞれの要素について解説します。
■1:華やかさを象徴する「重さの単位」が「カラット」
宝石の重さの単位がカラットです。1カラットは0.2グラムと規定されています。ダイヤモンドの原石は、カラットが大きければ大きいほど採掘される量が少なく貴重で、美しさも増すため価値が高くなります。
ラウンドブリリアントカットの場合、1カラットの直径は約6.5mmが目安です。小粒のダイヤモンドであるメレダイヤは、0.2カラット以下のものを指すのが一般的です。
■2:清らかな無色にだれもが憧れて…どれだけ透明か?を評価する「カラー」
無色透明に近いものほど、ダイヤモンドは希少で美しいとされています。最もきれいな無色透明の状態を、ダイヤモンドのDにちなみDカラーと呼び、そのあとは黄みの度合いによって、E、F…とランクづけられています。
これとは別に希少性で評価されるのが、ブルー、ピンクなどのファンシーカラーのダイヤモンド。色以外の3Cを満たし、かつ美しく澄んだきれいなものを呼んでいます。
■3:くもりのない美しさを理想に。透明度を評価する「クラリティ」
透明度を表す基準がクラリティです。ダイヤモンドはもともと、炭素の固まりが地中深く、高温高圧によって結晶化したもの。その際にさまざまな内包物が入ったり、キズがついたりすることがあります。
それらの特徴や欠点が10倍率でまったく見えないものを、最高位のフローレス(FL)とし、表面のキズおよび内包物の増加に伴いランクがつけられています。
■4:美しい輝きを決定づける、ブランドの技術力がものを言う「カット」
ダイヤモンドはカットによって、光の屈折率が生かされ、キラキラとした輝きを得ます。4Cのなかで唯一、人が手を施すカットには、各ブランドの技術と矜持が込められます。
図はダイヤモンドの輝きがきれいに出る伝統的なカット。特に、58面体のラウンドブリリアントカットは、ダイヤモンドの美しさを最も引き出すカットとして知られています。
トレーサビリティ(追跡可能性)への意識に伴い、産地にも関心が
製品の流通経路への意識の高まりから、ダイヤモンドの産地へも関心が寄せられているようです。ここ最近は、ボツワナとロシアが産出量の首位を競い合い、2国で全体の半分近くを占めています。
それを追うのは、1990年代に生産が始まったカナダ。新たな鉱山も加わり、期待の的に。そのほか、南アフリカ、アンゴラ、ナミビア、オーストラリアなどでも産出されています。
輝きを保つために、お手入れにも気を配って
スタイリスト関口真実さんによれば、「ダイヤモンドは油分が付着しやすいので、中性洗剤を溶かしたお湯に入れて、油分を浮かせたのち水洗いをしましょう。
地金との間の汚れが気になるときは、お湯の中で汚れを浮かせたのち、やわらかいブラシ等で優しくこすります。ダイヤモンドは最も硬い物質ですが、ゴールドなど地金は傷がつきやすいので注意を」
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- PHOTO :
- ロイヤル・アッシャー
- EDIT :
- 下村葉月、長瀬裕起子、中村絵里子(Presious)
- カット図案製作 :
- タナカデザイン