「御の字」って、どんな時に使う言葉?日本人の半数以上がカン違い中!
21019年10月29日、文化庁の『国語に関する世論調査』最新版(平成30年度版・実施時期は2019年2~3月月)の結果が発表されました。間違えやすい日本語を見直す指針となる貴重な調査ですが、特に注目したいのは、「過去にも調査され、最新版でもまた調査された日本語」です。
たとえば、こんな設問です。
「前言に反した事を、すぐに言ったり、行ったりするさま」を…
(ア)「舌の根の乾かぬうちに」を使う
(イ)「舌の先の乾かぬうちに」を使う
この設問、最新版で実施される前、平成18年度版でも同じ形式で問われており、日本語として正しいのは(ア)なのですが、平成18年度版の正解率は53.2%でした。
それが、今回の平成30年度版では、正解率が60.4%まで上がっています。
言葉には、時代と共にすたれていくものもありますが、『国語に関する世論調査』で数回扱われた日本語のデータを見てみると、前述の例のように、後年になって正解率が上がっているもののほうが、圧倒的に多いのです。
この調査で扱われたことによって、記事などでその日本語を確認する機会が増え、ニュースに敏感な、向上心のある人たちが間違いを正したから・・・という見方もできそうです。
ということは、この調査で何度も扱われた日本語については、大人の女性なら、カン違いなく完璧に使いこなしたいところですよね?
というところで、クイズです。
【問題1】
「御の字」という日本語の、本来の意味はどちらでしょう?
1:一応、納得できる。
2:大いにありがたい。
あなたはどちらの意味で使っていましたか? さて、正解は?
正解は… 2:大いにありがたい。 です。
最新の調査での正解率は36.6%で、フェイクの「一応、納得できる」を選んでしまった人は49.9%。
カン違いして使ってしまう日本人が今も、多い言葉なのです。
「御(おん)」という字は、尊敬の意を表したり、名詞の頭につけて丁寧に言う時に用いる字です。その「御」をつけたいほどありがたい、という意味で、「一応、納得」程度のレベルで使うべき表現ではありません。
たとえば、
「この値段で仕入れられれば、御の字だ」という言葉は、「この値段で仕入れられるなんて、ありがたいことだ! すばらしい!」という意味なのです。
「この値段で仕入れられれば、まあ、及第点か・・・」という状態の時に「御の字」という言葉を使うのは、間違いです。
「御の字」という日本語は、平成20年度にも調査され、今回の正解率は当時とほぼ横ばい、という残念な結果の出た日本語なので、ぜひ正しい使い方を普及させたいところです。
さて、2問目は、なんと、過去3回『国語に関する世論調査』で扱われ、だんだんと正解率が伸びてきている、注目の日本語です。
【問題2】
「憮然(ぶぜん)」という日本語の本来の意味は、以下のどちらでしょう?
1:失望してぼんやりとしている様子。
2:腹を立てている様子。
さて、正解は?
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:文化庁「国語に関する世論調査」(平成15・18・19・20・30年)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱