会食やお祝いなど、少し改まった場で、お肉料理をいただくことがあります。レストランだったら、ステーキが供されることも多いでしょう。

そんなときは、エレガントにステーキを堪能する、スマートな大人の女性として見られたいもの。

しかし実際のところ、ステーキの焼き加減を尋ねられて困ったり、ナイフとフォークがうまく扱えなかったり、おしゃべりしながらステーキをいただくのにむずかしさを感じたりしていませんか?

そこで今回は、ステーキの食べ方の基本マナーや困ったときの対処法、そして注文方法などを、世界の王侯貴族の舞踏会や式典、晩餐会などへの出席経験もある、テーブルマナー講師の須釜崇枝さんに教わります。

今さら聞けないステーキの基本!焼き方の種類や食べ方をおさらい

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焼き加減の選び方は?

ステーキが洋食で出される場合は、注文時にあらかじめ焼き加減をオーダーするのが通例です。では、どのように注文すればいいのでしょうか。また大人女性におすすめの焼き加減も教えていただきましょう。

「一般的なステーキの焼き加減は、次の4種類です。

レア…表面は軽く焼いてありますが、中側は生焼けの状態。
ミディアムレア…レアほど生ではありませんが、ミディアムよりは生焼けの部分が多い状態。
ミディアム…お肉の中心部がピンク色になるくらいまで焼けた状態。
ウェルダン…中心部まで完全に火が通っていてよく焼けた状態。

焼き方はお好みでオーダーしていただいてかまいませんが、生焼けが苦手でなければ、レア、ミディアムレア、ミディアムを選ばれたほうがエレガントにいただけるでしょう。お肉は焼き過ぎると固くなる性質がありますので、ウェルダンは切りにくい、噛み切れないなどの原因になりやすいからです」

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やわらかく切りやすい、レアやミディアムレア

ステーキの食べ方の基本は「ひと口サイズ」を知ること!

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ナイフとフォークを上手に使いこなして

ステーキを無事注文し終わり、お料理が運ばれてきたら、いよいよ実際にいただくシーンです。ステーキの食べ方の基本を押さえておきましょう。

ひと切れずつカットして食べる

「ステーキをいただくときは、お肉の左側からその都度、ひと切れずつカットして召し上がるのが、正しい食べ方です。最初からすべて切っておくと食べやすいように感じますが、それは避けましょう。カットしてしまうと肉汁が逃げやすくなり、また、冷めやすくなって本来のおいしさが半減してしまうからです。心づくしのお料理を最もおいしい状態でいただくのもマナーのうちです」

自分のひと口でいただけるサイズを知る

「カットしたひと切れがひと口でいただけない大きさの場合は、さらに半分にカットしてかまいません。かといって、あまり小さくカットし過ぎるのも『食欲がないのかな?』『おいしくないのかな?』と同席されている方に気を遣わせてしまいます。ひと口でいただけるサイズを普段から意識しておかれることをおすすめします」

知っていれば楽!ナイフとフォークでうまく切れない原因3つ

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上手なナイフの切り方をマスター

ところで、ステーキがナイフでなかなか切れない! なんて困った事態になったら、どのようにすればいいでしょうか。

「なかなか切れないのは、ステーキの焼き加減や部位にもよりますが、そのほかにも理由が考えられます。例えば、ナイフとフォークの扱い方を変えるだけで切りやすくなることもあります」

須釜さんは、よくありがちなナイフとフォークで切りづらく感じる、間違った使い方を3つ教えてくれました。

■1:手首を上げ、ナイフとフォークを立てた状態で切っている

「ナイフとフォークを立てた状態では、お肉に当たるナイフの刃先の面積が狭くなります。これが切れない原因かもしれません。手首は上げずに、ナイフ・フォークは手首から一直線に伸びるように持って切りましょう」

■2:フォークをしっかりとお肉に刺しながらナイフで切っていない

「どんなによく切れるナイフでも、もう片方で持つフォークがお肉にしっかり刺さっていないと、ナイフを持つほうの手に力が入らず、なかなか切れません。フォークをしっかり刺しながら、ナイフを動かしてみてください」

■3:ナイフを手前に引くように切っている

「西洋のナイフは“手前から奥”に力を加えると切れる構造になっています。手前に引くように切っていることが、うまく切れない原因かもしれません。手前から奥に向かって力を加えるように切ると、スーッと切りやすくなります」

おいしいけど大変!?骨付き肉のスマートな食べ方

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骨付き肉も怖くない!

ステーキのお肉が「骨付き」の場合もあります。そんなとき、どのように食べるのがスマートでしょうか。

「骨付きの場合、フォークをお肉にしっかりと刺して、お肉と骨の堺目へナイフを入れて、骨を切り離します。取り除いた骨は、お皿の奥に寄せておきます。そのあと、お肉は基本通り、左側からひと切れずつカットしていただきましょう。

フィンガーボールが用意されている場合は、骨を手で持って手づかみでいただいても大丈夫です。ただし、最初から手でいただくのはエレガントではありません。最初はナイフとフォークでいただき、骨の周りなど食べにくい部分になったら手に持ち替えていただくとよいでしょう」

「会話を楽しむ」こともテーブルマナーの1つ

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会話も楽しんで

最後に、ステーキをいただくときに気を付けたほうがよいことを、須釜さんにアドバイスいただきました。

「テーブルマナーは会話を楽しむことも大切です。もしかしたら、お肉を口に入れた瞬間に話しかけられることもあるかもしれません。口の中に食べ物が残ったまま話をするのはお行儀が悪いですし、かといっていつまでもお待たせするのもスマートではありません。なるべくすぐに返答できるよう、ひと口の大きさは普段よりも小さめにすることをおすすめします」


ステーキをいただく基本の食べ方や注文方法、困ったときの対処法などを解説いただきました。次に会食などの優雅な席でステーキが供されたときには、堂々たる落ち着いた風情でステーキをおいしくマナーよくいただきましょう。

須釜 崇枝さん
テーブルマナー講師
(すがま たかえ)マナーサロン・シンデレラ株式会社 代表。単なる型やルールとしてのマナーではなく、感謝と思いやりの心を大切にし、テーブルマナーが普段の食事にも使われる身近なマナーとなるよう普及に努めている。外資系企業での長年の勤務や世界の王侯貴族の方々がご臨席される舞踏会・式典・晩餐会等への出席経験をもとにどのような場でも通用するテーブルマナーレッスンが好評。https://manners-cinderella.jp/
この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利
EDIT :
安念美和子、榊原淳