信頼できる美容外科を選ぶには「医師の経歴」が重要!

これまでのお話にもあったとおり、「美容外科」を訪れるとなると基本はメスを入れたり糸を通したりする「手術」になります。自分にメスを入れるのだから、絶対に信頼できるクリニック、先生に担当してもらいたいですよね。

___「美容外科で手術をしよう」と決めても、どのクリニックに行けばいいのかわからないという女性が多いと思います。選ぶときのポイントはありますか?
松宮先生:「手術=怖い」というお気持ちはわかります。なので、医師選びは非常に大切ですよね。「症例数〇件!」などとうたっている病院もありますが、ご自身が選ぶときは数字だけにこだわるのではなく、医師の経歴をしっかり見ることが大事です。実際、医師免許があれば、手術の経験がなくても美容外科医になれてしまうのが現状です。「形成外科専門医」の資格を持っている医師、または、外科系出身で美容外科経験年数が長い医師に担当してもらうのが安全ではないでしょうか。
———形成外科専門医だと何がいいのでしょうか?

松宮先生:形成外科の手術では、顔や体の血管や神経を繋いだり、筋肉の組織を移動させたりなど高度な技術が必要になります。医師免許を取ってから2年間の臨床研修の後形成外科に入局すると、ホクロの除去手術などから始まり、切ったり縫ったりとひたすら手術の練習をするんです。腕が上達してくると、目立つ箇所の手術や、小児の手術へと進むのですが、傷をきれいにするのが形成外科の特徴なので、職人のように細部までこだわりながらトレーニングを積んでいきます。私も大学病院では教授に「1ミリずれたらアウトだぞ!」「チャンスは1回きりだ」などと言われながら厳しく鍛えていただきました。

美容外科手術の技術は、形成外科手術で培った経験と技術が生かされていますし、そこで得た知識や技術なくして手術に挑むことは、個人的にはこわいな、と思ってしまいます。美容外科は現状をより美しくする手術で、形成外科はマイナスのものをゼロに近づける手術ですから、技法に違いもあります。ですが、形成外科医は本当に細かい技術のトレーニングをしてきているので、トラブルも起きにくいですし、またトラブルが起きた場合の対処もできるのではないかと思っています。

———形成外科医の中でも、専門医の資格を持っている医師だとかなり安心ですね。
松宮先生:現在、厚生労働省が定める19の基本領域の診療科があり、内科、外科、産婦人科などありますが、形成外科もそのうちの一領域です。形成外科の専門医を取得するためには医師免許取得後、2年間の臨床研修医を経た後に4年間以上、大学病院などの特定の施設で常勤医として働くこと。熱傷、奇形、癌や顔面の骨折など10項目の手術を満遍なく網羅した300症例以上の執刀を担当すること。そして全身の解剖や発生、術式についての試験に合格することで、取得できます。現在、全国の形成外科専門医は2000人ほどいます。
———ちなみに、美容外科の専門医というのはいらっしゃらないのでしょうか?
松宮先生:ここがわかりにくいところなのですが、現在、日本の美容外科学会というのはふたつ存在しています。形成外科の先生たちが立ち上げたものと、違う分野から美容医療をスタートされた先生方が立ち上げたものです。形成外科専門医と美容外科専門医の両方の資格を持っている方は、日本に100名もいなかったと思います。私自身も形成外科医の専門医資格はありますが、美容外科医の資格は取得していません。美容外科専門医のみ標榜されている場合、後者の学会に属している先生方です。形成外科医だからといって美容外科の手術が上手いとは一概にはいえませんし、形成外科でなくても外科系ご出身の先生方なら、とても高い技術をお持ちの先生もいらっしゃるので、そこはなんともいえませんが、医師の経歴を見るときに「形成外科医であるかどうか」または「外科系出身で美容経験が長いか」の2点チェックしておくのは、いいと思います。

外科手術を決心したら、満足いくまで医師と相談しましょう

美容外科を選ぶときは「医師の経歴を見ることが大切」ということがわかりましたね。では、美容外科クリニックを訪れてから手術まで、どのように進むのでしょうか。

———実際に手術に踏み切る前に、クリニックで確認しておいたことがあれば教えてください。
松宮先生:医師との相性やセンスは確認しておいたほうが、トラブルも少ないと思います。「美しさの追求」をするにあたり、お互いの美的センスが違うと、方向性にズレが生じてしまいます。なので、その医師が執刀した症例のモニター写真などを確認し、自分のなりたいイメージに近いのかどうかを必ず確認するといいのではないでしょうか。症例写真はその医師の美的センスを計る指針になると思いますし、手術後の自分の姿を想像しやすいと思います。医師との相性が悪いと、迷ったり後悔したりすることにもなりますから、信頼して相談できる関係になれるのが理想です。話をたくさんすることで、意思疎通がうまくはかれているのかもわかると思いますよ。もうひとつはダウンタイム(傷が治るまで安静にしている期間)の予測ですね。術式によって違うので、手術を受ける時期も相談しながら決めてください。
———ほかに注意するべきことはありますか?
松宮先生:ご相談にいらっしゃるときには、「どんな自分になりたいのか」をイメージ明確に示していただけるといいですね。「黄金率」や「多角的な評価」を出すことはできますが、パーフェクトな人はいません。「なんとなくキレイになりたい…」だと、医師側もご本人のキレイのイメージがつきにくく、思ったのと違う結果にことになってしまう可能性も。うまく伝えられないときは、好きな芸能人などの写真を持ってくるというのも、もちろんアリです。40代限定ではありませんが、昨年は石原さとみさん、一昨年は綾瀬はるかさんのお写真をお持ちになる方が多かったですね(笑)。もちろん骨格などの土台が違うので、まったく同じにはなりませんが、「こういう小さい鼻がいいのね」「スッとした鼻が好みなのね」というのはわかるので、そこから細部の話を詰めていくことができます。
———「いざ美容外科手術を受ける!」と決めた際の流れを教えてください。
松宮先生:まずはクリニックへ足を運ぶこと。メールや電話などの相談もありますが、診察ではありませんので、最終的には診察を受けていただくことが大事です。病院で「悩みを相談」「治療するためにどんな手術があるのか」「どの手術法を選ぶのか」「選んだ手術法のダウンタイムを確認」というステップになると思います。この段階で一度帰り、予算や時期について、ご家族と調整される方もいらっしゃいます。
相談にいらしたからといって必ず手術を決断しなくてはいけない、というわけではありませんのでご安心を。相談だけでも、気軽にいらしていただきたいです。長期休暇に合わせるためなど、相談から手術までの期間が空く場合は、その間に美容皮膚科のほうで施術を受けて肌のコンディションを整えながら、手術のタイミングを待ってもいいと思います。
 
———では、40代の大敵「たるみ」の外科手術には、どのようなものがあるのでしょうか?
松宮先生:たるみを取りたいからといって、皮膚を上から一気に引き上げるわけではないんです。顔を上、中、下に三分割し、たるんでいる箇所がどこかによって引き上げる場所も違います。頬の下でしたら耳元から引き上げる、おでこだと生え際あたりを引き上げるといった具合です。下まぶたの場合はまつげのすぐ下を切って引き上げますし、上まぶたの場合は眉の下か二重の線に沿って皮膚を切り、たるみを除去していきます。目の周りは術後明らかに見た目がすっきりしますし、手術の跡も目立ちにくくてキレイになるので本当におススメです。
———シミの場合も外科手術になるのでしょうか?
松宮先生:基本はレーザーで治療します。シミの大きさや濃さによって時間がかかったり、回数が増えたりすることもありますね。肝斑や一部のしみは、通常のレーザー治療では効果が期待できないものもあるので、やはり一度診察が必要になります。
———美容外科のトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか?
松宮先生:重篤なものだと「神経を傷つけてマヒが残ってしまう」「脂肪を取りすぎて体調不良を引き起こしてしまう」「術後に皮膚が炎症を起こしてしまう」など、比較的多いのは「思っていたのとイメージが違う」「傷跡やしこりが気になる」などが考えられます。医師が成功したと思っていても、患者さんが満足のいく結果になっていないと憤るケースは最も多く聞きます。このようなトラブルが起きないよう、手術前にはよくお話をさせていただき、同意書は必ず作成します。
———万が一トラブルが起きてしまったら?
松宮先生:基本的には執刀医がフォローするのが筋だとは思います。しかしながら、患者さんとの信頼関係が失われてしまって、患者さんのご希望で大学病院やそのほかのクリニックに転院されるということもありますね。あとは、美容外科の相談窓口というものもありますので、電話などで相談されるといいと思います。

まとめ

3回にわたってご紹介した美容医療のあれこれ。美容医療を受ける前に、まずやるべきことは「自分の血管や皮膚、体の状態を把握する」「把握する過程で生活習慣を見直し体調を整える」ことです。この過程を経ることで、悩みが改善することがあります。

それでも改善されない場合は「美容皮膚科」という選択を。「外科手術を受ける」ということだけが美容医療ではありません。やるべきことをご自身でやることから、まずは始めてください。

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PROFILE
松宮敏恵(まつみや としえ)さん
形成美容外科医。天現寺美容クリニック、昭和大学藤が丘病院形成外科勤務。日本形成外科学会専門医、抗加齢学会専門医、リハビリテーション科学会専門医、分子栄養医学認定医、美容外科医として働く傍ら、形成美容外科・リハビリテーション科・分子栄養医学の3つの観点から、見た目・身体機能・栄養からのアンチエイジング医療を提唱している。美しくなるためには、外面と内面(主に食事)両方からのアプローチが大事!がモットー。
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この記事の執筆者
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WRITING :
竹林和奈
DIRECTION :
青木 笑