旧暦の1月1日、いわゆる旧正月は中国では春節、シンガポールやマレーシアではチャイニーズ・ニューイヤーと呼ばれ、日本以外のアジアの国々では1年で最大のイベントになっています。

当記事では、2020年の旧正月はいつなのか、旧正月とは何なのか? 各国の旧正月の休日やおすすめスポットについてまとめてみました。

■2020年の旧正月はいつ?

2020年の旧正月は、1月25日(土)です。

旧正月とは、昔の暦(カレンダー)での1月1日のことです。今と昔の暦では、日にちの数え方が違うため、昔の暦である旧暦のお正月のことを「旧正月」と呼んでいます。

■旧正月とは?

旧正月とは?
旧正月とは?

旧正月とは、旧暦での1月1日のこと。

アジアでは、古くから「月の満ち欠け」をもとに暦を作っていました。特に日本では、十五夜、かぐや姫、お月見など、「月」を愛でる文化がありますね。

暦(カレンダー)も月の満ち欠けをもとにしたもの、いわゆる「太陰暦」を使ってきました。

一方、太陽の動きを動きをもとにした暦を「太陽暦」と言います。例えば、太陽神を崇めていたエジプトでは古くから太陽暦が使われ、それがローマに伝わり、西洋に広がっていきました。

日本は明治維新の後、西洋文化を積極的に取り入れ、暦も明治5年に太陰暦から太陽暦に切り替えました。これ以降、現在使われている太陽暦の暦と、それまでの太陰暦の暦が存在することになり、太陰暦の暦は「旧暦」と呼ばれるようになって、太陰暦のお正月は「旧正月」と呼ばれるようになりました。

旧正月が休日になる国

今、世界の多くの地域では太陽暦の一種である「グレゴリオ暦」が使われています。

交通機関が発達し、またインターネットで世界中が結ばれている今、暦が違っていては不便。それもあって、世界中で共通の暦が使われるようになっています。

ですが、日本をはじめ、アジアでは長く太陰暦を使ってきたため、その風習や文化が今も根強く残っています。

旧正月は、日本は休日ではありませんが、韓国、台湾、香港、中国、ベトナム、シンガポール、マレーシアでは休日になっています。

各国の旧正月の呼び方

日本では「旧正月」と呼びますが、アジア各国ではさまざまな呼び方をしています。代表的なものをいくつかご紹介します。

●春節(しゅんせつ/チュンジェ):中国
●ソルラル:韓国
●テト:ベトナム
●チャイニーズ・ニューイヤー:マレーシア

中国の「春節」は、日本でも良く知られていますね。この時期、多くの中国人観光客が日本に訪れています。

またマレー系、中華系、インド系の3つの主要民族からなる多民族国家のマレーシアでは、旧正月をチャイニーズ・ニューイヤー(中国の正月)と呼ぶのも面白いですね。

旧正月の時期に旅行へ行く注意点

旧正月は、アジアの多くの国では休日です。日本のお正月を想像していただければわかりやすいですが、多くのお店は閉まっています。観光地のお店やファストフード店は空いていることが多いですが、日本の元旦のような状態と考えてください。

同じように交通機関も旧正月の前後は、帰省や長期休暇の旅行を楽しむ人で混雑しています。タクシーが旧正月料金となって割高になっている地域もあります。

旧正月に旅行に行く場合は「いつもと違った様子を楽しむ」つもりで、余裕をもって出かけてください。

■日本で旧正月をお祝いしないのはなぜ?

日本で旧正月をお祝いしないのはなぜ?
日本で旧正月をお祝いしないのはなぜ?

日本はもちろん、アジアの国々も今、暦は世界共通の暦を使っています。旧暦に対して、新暦と呼ばれます。つまり、お正月は新暦の1月1日です。

ですが、日本以外のアジアの国々では、暦が旧暦から新暦に代わっても、お正月をそれまでと同じ時期、つまり旧正月に祝う習慣が続いています。古くからの習慣、文化は簡単には変わらないということでしょうか。

一方日本では、旧正月を祝う習慣は、沖縄などの一部の地域を除いて、あまり残っていません。

沖縄では旧正月が祝われる

今では多くの家庭が新暦の1月1日を祝いますが、沖縄では旧正月をお祝いする習慣が残っています。

ただ、旧正月といっても休日ではないので、会社や学校がありますが、ソーキ汁やラフテーなど沖縄の伝統的な料理を中心に、たくさんのお正月料理を並べてお祝いする家庭が多いようです。

また沖縄には旧正月のほかにもうひとつ、お正月があります。旧暦の1月16日は「あの世の正月」という意味の「十六日祭(ジュウルクニチー)」。先祖を供養する大切な日です。沖縄には3つもお正月があるのですね。

■韓国の旧正月

韓国語では旧正月のことを「ソルラル」と呼びます。

新暦の1月1日も祝日でお祝いをしますが、休みになるのは1日だけ。31日も翌日の2日も通常通り、仕事や学校があります。

韓国では1月1日よりも、旧正月「ソルラル」が大切な意味を持っています。

2020年、韓国の旧正月の休日はいつからいつまで?

旧正月「ソルラル」は前後を含めて3日間が祝日となります。

2020年の旧正月は1月25日なので、24日〜26日となりますが、26日は日曜日なので27日が振替休日となり、24日〜27日までの4連休になります。

旧正月、韓国へ旅行に行くならおすすめは?

観光客が多いことで有名なソウルの繁華街・明洞(ミョンドン)もこの時期は休業する店が多く、いつもと違った雰囲気になります。

せっかく旧正月に韓国を訪れるなら、王朝時代に王様が暮らした場所、古宮を訪れるとよいでしょう。

ソウルにはユネスコの世界遺産に選ばれた昌徳宮(チャンドックン)をはじめ、複数の古宮があります。旧正月を祝うイベントなどが開催され、韓国の伝統を感じることができます。

また、正月料理の「トックッ」を味わうのもおすすめ。ただし、休業している飲食店が多いため、事前の手配が必要でしょう。

■台湾の旧正月

台湾では、旧正月を中国と同様に「春節」と呼びます。

台湾の旧正月は、日本のお正月と同じように1週間近くの連休となります。旧正月前後は、新年を実家で過ごすために帰省する人や、海外旅行に出かける人で交通機関が混雑します。

2020年、台湾の旧正月の休日はいつからいつまで?

台湾では、旧正月の大晦日の前日から1週間の7連休になります。

つまり、2020年は1月25日が旧正月ですから、大晦日にあたる24日の前日の23日から、1月29日までが休みになります。

旧正月、台湾へ旅行に行くならおすすめは?

旧正月(25日)の前、街は新年を祝う準備をする人で賑わいます。

「年貨大街」という歳末市が開かれますが、特に台北の大きな問屋街・迪化街は大勢の人で賑わいます。日本で言えば、上野のアメ横のような場所とされています。 

寺院ももちろんおすすめ。龍山寺や行天宮など、観光客がたくさん訪れる寺院も、いつもとは違う厳かな雰囲気に包まれます。ただし、「年貨大街」も寺院も大勢の人で混雑することは忘れずに。

■ベトナムの旧正月

ベトナムもほかのアジアの国々と同じように、新暦の1月1日は祝日になりますが、1日だけで、旧正月「テト」の期間が連休になります。

ベトナムは年間の祝日が少なく、テトはベトナム人にとって最大のイベントになります。

2020年、ベトナムの旧正月の休日はいつからいつまで?

ベトナムの旧正月「テト」も大晦日の前日から1週間の連休となります。2020年は1月23日〜29日です。

旧正月、ベトナムへ旅行に行くならおすすめは?

ベトナムは北回帰線の南側から赤道近くまで、南北に細長く伸びています。温かいベトナムの旧正月は、日本とは違った雰囲気を楽しむことができます。

ベトナム最大の都市・ホーチミン市のグエン・フエ通りでは、テト期間、美しい花で飾られるイベント「フラワーロード」が開催されます。ベトナムの伝統衣装アオザイを着た女性もいて、華やかなムードに包まれます。

南国気分を楽しむなら、南部のリゾート・フーコック島がおすすめ。真冬の日本では味わえない「ビーチでデッキチェアに寝そべる」ような、南国のお正月を楽しむことができます。

■中国の旧正月

中国の旧正月「春節(しゅんせつ)」は、今や日本でもお馴染み。1週間の大型連休となるこの時期、帰省する人、旅行をする人で交通機関はいっぱいになり、日本にも多くの中国人が訪れます。

2020年、中国の旧正月の休日はいつからいつまで?

2020年は1月25日が春節。中国では大晦日にあたる24日から30日までの7日間が春節連休となります。中国の人口は約14億人。日本の10倍近い人数が国内、海外を移動する一大イベントです。

旧正月、中国へ旅行に行くならおすすめは?

春節の期間、中国では「廟会(びょうえ)」が開かれます。お祭りの縁日のようなイベントで、伝統的な踊りや出し物、食べ物やお土産品の屋台などを楽しむことができます。

特に北京の「廟会」は有名で、10元(約160円)程度の入場料で一日中楽しむことができます。

少し変わった春節を味わいたい方は「ハルピン氷祭り」がおすすめ。世界3大雪祭りの1つと呼ばれ、巨大な氷の建物が並びます。夜にはカラフルにライトアップされます。

■シンガポールの旧正月

中華系、マレー系、インド系からなる多民族国家シンガポールでは、旧正月は「チャイニーズ・ニューイヤー」や「春節」と呼ばれます。

多民族・多文化のため、仏教、イスラム教、ヒンズー教、キリスト教のそれぞれ重要な日が休日に定められ、他のアジアの国々とは違って、旧正月の休みが短くなっています。

2020年、シンガポールの旧正月の休日はいつからいつまで?

基本的に旧正月とその翌日の2日間が休み。2020年は26日が日曜日に当たるため、27日が振替休日となり、3連休になっています。

旧正月、シンガポールへ旅行に行くならおすすめは?

シンガポールの旧正月のイベントと言えば「チンゲイ・パレード」です。

さまざまな文化的背景を持つシンガポールの人々が、民族衣装をはじめ、さまざまなコスチュームに身を包み、イルミネーションで飾られた山車と一緒にパレードします。今や、アジア最大のストリート・パフォーマンスと呼ばれています。

また、中華系の人口が多いシンガポールではチャイナタウンもおすすめです。休業しているお店もありますが、お正月の装飾で賑やかに飾られています。

■香港の旧正月

国際的なビジネス都市として発展している香港の旧正月は、シンガポール同様、比較的短くなっています。中国や台湾のような大型連休はありません。

2020年、香港の旧正月の休日はいつからいつまで?

旧正月のお休みは、一般的には旧暦の1月1日〜3日までの3日間、2020年は1月25日〜27日までとなります。ただし、26日が日曜日となるため、28日が振替休日となって4連休となります。

旧正月、香港へ旅行に行くならおすすめは?

旧正月の1週間くらい前から、香港を代表する公園「ビクトリア公園」では花市(フラワーマーケット)が開かれ、旧正月に飾るための縁起の良い花々が並び、食べ物などの出店もあります。

例年、旧正月の夜には、香港最大級の繁華街のひとつチムサーチョイを練り歩くパレードが繰り広げられ、翌日、旧暦2日の夜には、例年世界三大夜景のひとつとして知られるビクトリア湾で花火大会があり、2万発以上の花火が20〜30分という短い時間で一斉に打ち上げられますが、2020年は残念ながら、両方ともに中止が発表されました。

その代わり、旧正月の4日間にわたり、西九龍(西九龍文化区芸術公園)で、48団体が参加する新春カーニバルが開催される予定です(入場無料)。

■マレーシアの旧正月

多民族国家マレーシアの旧正月は「チャイニーズ・ニューイヤー」と呼ばれます。シンガポールと同様、さまざまな宗教の祭日が休日として定められているため、旧正月の休みは短くなっています。

2020年、マレーシアの休日はいつからいつまで?

旧正月の休日は、旧暦の1日と2日の2日間、つまり2020年は1月25日と26日ですが、27日(月)も振替休日で休みになり、25日〜27日までの3連休になります。

旧正月、マレーシアへ旅行に行くならおすすめは?

旧正月にマレーシアやシンガポールで食されるお祝いの料理があります。魚生(イーサン)です。大皿に盛られたさまざまな具材を皆で混ぜて、新年のお祝いを言いつつ食べます。

大勢でないと難しいかもしれませんが、チャンスがあればぜひチャレンジしてみたい料理です。

2020年は、アジア諸国の旧正月を見直してみよう

当記事では、旧正月とはどのようなものなのか、2020年の旧正月はいつなのか、旧正月が休日になる国の旧正月の呼び方や、旧正月の時期にそれら各国に旅行へ行く際の注意点をご紹介しました。

また、日本国内では旧正月をお祝いしないのが一般的にもかかわらず、沖縄だけは例外である理由や、旧正月を祝う韓国、台湾、ベトナム、中国、シンガポール、香港、マレーシアの休日がいつからいつまでなのか、旧正月のおすすめスポットや食べ物などもチェックしています。

日本以外のアジアの国々は旧正月、旧暦の1月1日を大々的に祝っています。日本では、新暦の1月1日を祝いますが、旧正月はアジアから大勢の観光客が訪れるなど、私たちの暮らしに無縁ではありません。

2020年はオリンピックイヤーでもあり、アジアはもちろん、諸外国からたくさんの海外観光客が来日します。そんな年に、改めて旧暦を見直してみるのも良いかもしれませんね。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。