最近では、新型コロナウイルス肺炎が話題になっていますし、インフルエンザも怖い感染症ですよね。ビジネスマンにとって、体調管理も仕事のうちですが、あなたはどのように対策しているでしょうか?
【関連記事:外出禁止のニューヨークから5人の日本人女性が現地レポート!いま読んでおきたい「感染対策」「自宅での過ごしかた」】
『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』の著者で医師の大谷義夫さんによれば、インフルエンザも新型コロナウイルス肺炎も、どちらもウイルスに感染することで発症するもので、飛沫感染・接触感染への対策が重要とのこと。正しくインフルエンザ予防することは、新型コロナウイルス対策にもつながるようです。
そこで、今回は、大谷さんから、インフルエンザ対策について教えていただきました。
自分ではしっかり対策しているつもりでも、正しい方法で行えていないために十分な効果がなかったり、むしろ逆効果だったりするケースも……。やってはいけないインフルエンザ対策9つをご紹介します。
やってはいけないインフルエンザ対策9選
■1:サイズの合わないマスクを着用するのはNG
インフルエンザ対策の基本中の基本ともいえるマスクの着用。ところが、大谷さんによれば、マスクを正しく着用できている人は、驚くほど少ないようです。
「マスクの使い方でよくあるまちがいの1つは、顔とマスクのサイズが合っていないこと。小さすぎると顎が出てしまいますし、逆に大きめのマスクをブカブカにつけていると、顔とマスクの間にすきまができて、ウイルスの侵入を許してしまいます。
鼻と口をしっかり覆えるように、マスクは顔にフィットするものを選びましょう」(大谷さん)
■2:マスクをはずすときにマスクの表面部分を触るのはNG
外出から帰ってきた際、あなたはどのようにしてマスクをはずしていますか? 無造作にマスクの表面部分(布の部分)を持って引っ張るなどすると、せっかくマスクでウイルスを防御していたのが無意味になりかねません。
「マスクの表面部分は、泥除けのような役割を果たして、ウイルスがついているおそれがあります。マスクをはずすときは、ゴム紐だけを持つようにして表面には触れないようにし、さらに、マスクをはずしたあと手洗いも行いましょう」(大谷さん)
■3:マスクを再利用するのはNG
あなたはマスクをどれくらいの頻度で取り換えていますか? 大谷先生によれは、2日以上にわたって再利用するなんてもってのほか。1日1回でもまだ少ないとのことです。
「使用済みのマスクは、目には見えなくなくても表面にウイルスが付着して汚れています。それを再利用するのは、ウイルスの温床をみすみす自分の鼻や口に近づけるようなもの。マスクの再利用は避け、1日1回といわず外出ごとに取り換えるようにしましょう」(大谷さん)
■4:手洗いを一瞬で終わらせるのはNG
マスクと並んでインフルエンザ対策の基本ともいえる手洗いも、実は、正しく行えていない人が多いとのこと。
「さっと指先を水で洗い流すだけでは、手洗いは十分ではありません。石鹸を泡立てて、30秒ほど時間をかけて、手全体をしっかり洗いましょう。
手洗いにそんなに時間をかけたくないという人には、アルコール消毒がおすすめです。15秒ほど手指にアルコールをもみこむだけでOKなので、石鹸を使った手洗いよりも短時間で済みます」(大谷さん)
マスクの交換同様、手洗いも必ず外出ごとに行いましょう。また、室内にいるときでも、不特定多数の人が扱う硬貨やドアノブ、エレベーターのボタンなどに触れたら、こまめに手指の消毒を行うことをお忘れなく。
■5:外から帰って「しばらく経ってから」手洗いするのはNG
手洗いはタイミングも肝。外から帰ってきて、まず荷物を整理したり、着替えたりして、それからようやく手洗い……という順番では、それまでの間に、外から持ち帰ったウイルスを室内のあちこちにばらまいてしまっているおそれがあります。
「手洗いは最優先で行いましょう。さらに言えば、ウイルスは室内に持ち込まないのがベストですから、できれば携帯用のアルコールスプレーを持ち歩いて、玄関の外で手指の消毒を行ってから、帰宅するのが理想的です」(大谷さん)
自分を守るためだけでなく、大切な家族などがウイルスに感染しないようにするためにも、帰宅前の玄関外でのアルコール消毒を徹底しましょう。
■6:うがいの効果を過信するのはNG
手洗いとセットで語られることの多いうがい。インフルエンザ予防として心がけている人は多いのではないでしょうか。ところが、うがいは風邪対策にはなっても、インフルエンザ予防の効果は低いとのことです。
「水うがいに風邪予防効果があることは実証データがあるのですが、インフルエンザにはそうしたデータがないのです。急激に発症することが特徴のインフルエンザのウイルスは、風邪のウイルスよりも比較的短時間で細胞内に侵入するので、1日数回のうがいでは洗い流せないのかもしれません。
もちろん、風邪対策として水うがいは有効なので、やってはいけないというわけではないのですが、インフルエンザ予防ということであれば、水うがいよりも緑茶をこまめに飲むことをおすすめします。
というのも、緑茶に含まれるカテキンはインフルエンザ予防になるといわれており、また、喉についたウイルスが胃に流れてしまえば、胃酸でウイルスが死ぬからです。
緑茶でうがいをしてもいいのですが、より手っ取り早い方法として私は緑茶を飲むようにしています」(大谷さん)
緑茶をこまめに飲むだけなら超簡単! 風邪対策としての水うがいに加えて、緑茶を飲む習慣をとりいれてみては?
■7:加湿器の水を取り替えないのはNG
インフルエンザ対策として、自宅やオフィスで加湿器を使っている人も多いのでは? ただ、使い方によっては、かえって健康を害するおそれもあるようです。
「インフルエンザウイルスは、以前は湿度が上がると活動が弱まると考えられていましたが、2018年の米国からの最新研究では、湿度は高くても低くてもインフルエンザの活性は変わらないと報告されました。そのため、夏でも秋でもインフルエンザを発症することがあるのです。
一方で、湿度が高い方がのどの線毛の動きがよくなってウイルスを外に排出する、つまり、のどの免疫を上げてくれますので、加湿器の使用も予防に有効です。
ただ、加湿器の水を放置していると、細菌やカビが繁殖し、そのまま使い続けると、アレルギー性肺炎やぜんそくを引き起こすおそれがあります。水は最低でも1日1回は取り替えるようにしましょう」(大谷さん)
■8:加湿器にミネラルウォーターを使うのはNG
なるべくきれいな水を使ったほうがいいから……と、加湿器にわざわざミネラルウォーターを使っていないでしょうか? なんとなく健康・美容意識が高そうな感じですが、実はミネラルウォーターよりも、水道水のほうが加湿器には適しているとのことです。
「水道水には塩素が含まれているので、細菌やカビが繁殖しにくいです。からだによさそうというイメージだけで、加湿器にミネラルウォーターを使うのは避けましょう」(大谷さん)。加湿器の説明書にも、水道水を使うことが記載してある場合がほとんどです。
■9:ビタミンCの効果を過信するのはNG
体調管理においては食生活も重要。あなたはインフルエンザ予防のために、意識的にとっている食品や栄養素はありますか? 俗に「風邪予防にみかん」といわれることがあり、インフルエンザ対策としてもビタミンCがよさそうなイメージはありますが、実は、ビタミンCは必ずしも効果的ではないとのことです。
「ビタミンCと風邪との関係については、マラソンランナーやスキーヤー、亜寒帯で軍事教練を受けた兵士など、体力的に過酷な環境におかれた人にしか、予防効果が認められなかったというデータがあります。つまり、普通の日常生活を送るうえで、ビタミンCは必ずしも風邪予防に有効ではありません。
もちろん、とても疲れているときなどに、好みでビタミンCを摂るのは問題ないのですが、過信するのは禁物です。
風邪やインフルエンザの予防には、ビタミンCよりも魚介類やキノコ類などに多く含まれる、ビタミンDを摂りましょう。
また、ビタミンDは、食品から摂取する以外に、日光に当たることによって体内で作り出すこともできますので、1日15分~20分程度の日中の散歩も有効です。
この時期、朝晩は寒いので通勤時には手袋をしている人が多いかと思いますが、たとえば、昼休みには手袋をしないで外食したり、お買い物に出かけたりすることで適度な日光浴になるでしょう」(大谷さん)
*
まだまだインフルエンザの流行シーズンは続きます。ぜひ適切な予防をして、この冬を乗り切りましょう。
関連記事
- 外出禁止のニューヨークから5人の日本人女性が現地レポート!いま読んでおきたい「感染対策」「自宅での過ごしかた」
- 海外セレブが拡散中の「コロナ対策手洗い」とは?楽しくて、ためになる「手洗い動画」5選
- 長期化するロックダウン、ロサンゼルス在住ママに聞いた「外出禁止令に備えてやるべきこと」
- 皮膚科専門医に聞く! 今知っておきたい「マスク荒れ」とその対策法とは?
- 新型コロナウィルスに立ち向かう!ラグジュアリーブランドの取り組み4選
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美