ロックダウンから3週間目のロサンゼルスで暮らす、主婦・福満恵子さんファミリーの過ごし方

世界中で新型コロナウィルスの感染拡大により、不安な状況が続いています。各都市の状況は異なりますが、別の場所に生きる人々の経験をシェアすることが教訓となり、今後の対策として活かせることも。

そこで本記事では、1回目2回目のニューヨークに続き、2020年3月19日(日)に外出禁止令が発動され、3週目を迎えた、米国・カリフォルニア州ロサンゼルス在住の主婦、福満恵子さんにご協力をいただき、東京在住者へ向けて、以下の3点について教わりました。

Q1:L.A.の現状と、外出禁止令に備えてやるべきこと

Q2:おうちで楽しく過ごすポイント

Q3:心温まるロサンゼルス式社会貢献

長距離走とも言われる新型コロナとの闘い。早めに春休みが来た気分で、はしゃいでいたという一週目から、長期化することで、生活が変化していく様子も参考になります。

東京は、週末外出自粛も2週目に入りました。親も子供も気分が滅入ってしまった時に、外出禁止のロサンゼルス在住、2人の息子さんを育てるママの現地レポート、日本も長期化する可能性を視野に入れつつ、ぜひ参考にしてみてください。

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夫の海外赴任に同行し、ロサンゼルスに在住する福満さん。

■1:夏休みまで休校決定!オンライン購入可能なショップを、事前チェックしておくこと

「息子たちが通っているトーランス学校区(カリフォルニア州南西部に位置する都市)から、2020年4月2日(木)、正式に『夏休みまで休校』のアナウンスがありました。つまり年度末、トーランスでは6月12日(金)ですが、それを待たずにずっと休校です。

当初は、3月16日(月)~3月27日(金)の2週間だけが休校の予定で、生徒達は『学校ない!イエーイ!』、と叫びながら拍手喝采で最終日を終えたようです。まだ誰も、そのまま学年度が終わるなんて思ってもおらず、友達同士、公園で遊ぶ約束をしたり。早めの春休みが来た感覚で、はしゃいでました。

この最初の2週間は、いつも授業で使っている『Clever』というサイトから、各教科の先生より課題・宿題の指示ありました。質と量は先生によるので、余裕でこなせる生徒もいれば、一日中やっている生徒も。

そして3月25日(水)に新たなアナウンスがあり、一気に『5月4日(月)まで休校延長』に!

4月13日(月)からはリアルタイムのオンライン授業がスタート。学習塾もオンラインに

この頃から、リアルタイムのオンライン授業に移行すべく、全生徒の自宅にPCがある環境になるよう、準備が始まりました。4月2日(木)~12日(日)は春休みですが、4月13日(月)からは、リアルタイムのオンライン授業がスタートします。

個人的には、春休み明けが、本当に怖いです。上手くネットに繋がるか、課題の提出や宿題を忘れずに提出できるのかーー。

せっかくいい成績をキープしてきたのに、ここで一気に下がったらどうしよう、と気が気じゃないです。

中間や期末テストがないので、毎日の提出物と宿題の出来、小テストで成績が出るのがアメリカです。普段から日本のやり方と全然違いますが、オンライン授業なんて更に経験がありませんし、親がサポートしようにもできないーー。不安しかないです。

高校までが義務教育のアメリカ人や、アメリカにずっと住む永住組が成績を気にしだすのは、高校生からです。なぜなら大学受験に必要な成績は、高校からだからです。

私と同じような日本の駐在組は、帰国後すぐ編入先で、現地校の過去3年間の成績提出を求められます。中学受験・高校受験・大学受験ともに、現地校の成績が最優先で見られるので、3~5年間で本帰国する駐在組は、アメリカにいる間、ずっと子供の成績に関しては気が抜けないんですよね。

テクノロジーを使いこなし、あっという間にオンライン授業を整備したアメリカ。新しいシステムに躊躇しない、過去にとらわれない、生徒の学習を維持するための行動が本当に早い!!

日本のように、いまだにプリント中心でテクノロジーを駆使した授業が皆無だと、きっとこうはいかないですよね。先生達が、新しい勉強のシステムを構築することに集中できるよう、今抱えている雑務や掃除、当直など早くアウトソーシングすればいいのに、と思います。

息子達がお世話になっているena LA校(日本の進学塾)と、現地の数学塾は、すぐにオンライン授業に切り替わりました。それぞれ『webex』と『DEVAMO』というアプリで繋いでます。

もしどちらの塾にも入ってなかったら、誰にも教えてもらえない期間が続いたーー、と思うと怖いです。今の時代、有事の際にはすぐオンライン授業に対応できるか、特に受験生は入塾前の大事なポイントかもしれません」

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西海岸らしい、晴れ渡る青空が美しいロサンゼルス。

外出禁止令が出てすぐに品薄になったのは、紙類・消毒用のアルコール・米・砂糖・小麦粉・生理用品・パスタなど

「L.A.の街は、普段より多くのパトカーが常に巡回しています。覆面パトカーもかなりいるらしく、不要な外出をしていないか取締り強化中のよう。ダウンタウン辺りの空は、いつもスモッグで薄茶色ですが、今はとっても綺麗!車があまり行き来していないからです。

マスクは、健康に悪いと信じて疑わないアメリカ人が、ようやく最近になってマスクの大切さに気づいたのか、買い物中や散歩中にマスク使用率が急上昇しています。

2週間ほど前、米系大手スーパーの品切れが相次いだ頃、米系以外の小さなスーパーにも朝から大行列でした。日系スーパーにも人が押し寄せ、みんな、パンや生鮮食品をごっそり買っていったみたいです。レジに並ぶ時もSocial Distance(6フィート、約1.8メートル)をあけ、買ったものを袋詰めにするのはセルフに。

自宅待機の指示が出てすぐ、L.A.は、巨大なカートに、いっぱいに詰め込んだ買い物客で店内が溢れかえりました。アメリカで外出禁止令が出てすぐに品薄になったのは、紙類・消毒用のアルコール・米・砂糖・小麦粉・生理用品・パスタなどの、どんな人種も食べたり使うもの。

向こう1か月は買い物しなくてもいい量の生活必需品、例えば、衣類用洗剤・シャンプー・ハンドソープ・食器用洗剤など、日々使っている愛用品は、買い足したほうが無難だと思います。

常温保存できる調味料や、日持ちする根菜、果物、生活必需品は、普段より多めに買っておき、生鮮食品は冷凍保存しておくなど、今やれることをやって外出禁止令に備えておくのがおすすめです。

大手通販サイトは遅れが生じるため、近所のお店でオンライン購入ができる場所を探すべし

オンラインショッピングに慣れておくことも大事。若年層は馴染みがあるオンラインショッピングも、熟年層になると、難しいのかもしれません。Amazonなど全国的なサービスは、配達が1か月後とか、かなり遅れが生じるので、近所のお店でオンラインが可能な場所を把握しておくべきです。

どの街にもひとつはあるTarget(大型スーパー) 。生鮮食品以外のほとんどは、オンラインで注文したその日に自分でピックアップすることができます。

①アプリから注文する、②4時間以内に『ピックアップ、いつでもどうぞ』の案内メッセージを受信、③『今から家を出ます』を選択、④位置情報をオンにして出発し、Drive upエリアに着くと、自動的に『着いたんだね。今から品物を持っていくよ』のメッセージを受信、⑤トランクを開けておけば、店員がトランクにつめこんでくれる。

という流れで、店内で多くの人と接触することなく、買い物ができます。

ちょっぴり後悔していることは、子供達が通う中学校の、仲良しだったママ友が3人、ここ一年以内に立て続けに帰国して、いわゆる『日本人が知りたいピンポイントの現地校情報』が入りにくくなったこと。こんな有事に、不安で仕方ないです。もう少し、同じ学校の日本人と交友関係を広げておけばよかったかな、なんて思います」

■2:バラエティを鑑賞して、笑うことも大事!家族マナーを守り、夫婦仲を良好に

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13歳と10歳の息子さんのママである福満さん。

「長い目で見ると、とにかく今までのルーティンを崩さず、一日を過ごすのが、自宅待機生活を楽しむコツかと思います。息子達の起床、7:00と、就寝時間の22:00を死守しています。家族みんなで家にずっといるって、人口密度が高い状態がずっと続く訳で。しかも気晴らしに外出できないから逃げ場がないんです。

体調を崩さないこと、暴飲暴食しないというか、普段から食べているものを食べること、最低限の『家族マナー』を守ること。そして、一人一人が自分の義務を果たすこと。そうすれば自然と仲良く過ごすことができ、結果、家族だけで自宅待機する、長い長いこの生活も上手く回ると思います。

生活のベースが出来てなくて、目先の楽しみや、時間潰しの為のゲーム、YouTubeにハマってしまうと、ホントにダラダラ過ごして、文句ばかり言ってしまうと思います。いずれは飽きてしまいますから。散歩程度の外出だけって、結構辛いですから、きっと他人にあたってイライラを発散させちゃうはず。

日本で自宅待機、もしくは外出禁止令が出る前に、夫婦仲を良好にしておくのも大事な準備の一つです。喧嘩中なら一時休戦条約を結んでおくと良いかもしれません。

楽しみといえば、NHK以外の日本の地上波、BS、スカパーなど2週間分が随時鑑賞できるサービスがあって、愛用しています。家族団欒のテレビ時間(30分~最長2時間)に、バラエティ番組を観て、ゲラゲラ笑うのは、精神的にとてもいい気がしてます。英語のニュースやバラエティ番組もいいけど、母国語でテレビを観るって海外にいると本当に贅沢な時間で。今までは、日本語のテレビを観るのは週末だけだったので、6月に控える本帰国を前に、今流行っていることを知ることにもなりました。

子供達はスマホやチャットを使いこなしているので、空き時間に友達とやり取りしてガス抜きしている様子です。

毎日ランチ後は、家族みんなで外に出て、一時間程度運動しています。息子達が自転車を持っていて、正解でした。スピードを出して坂道を下ったり、凸凹道を行ったり。公園遊び用のスポーツ用品(バスケ、サッカー、野球、テニス、バドミントン、縄跳びなど)は揃っていたので、飽きずに続いてます」

■3:市が高齢者のショッピングをサポート!一人ひとりの自覚を忘れずに

「市によるサービスで、『City Of Torrance』という、60歳以上の熟年層や障がい者に対し、生活必需品を届けるというものが、今週火曜日から開始しました。

無料ではないけれど、御老人がスーパーのレジに長時間並ぶのは大変ですし、感染すると重症化の可能性が高いですし。こういった特別サービスを真っ先に熟年層からって、アメリカの素晴らしいところだと思います。

手続きも電話かスマホだけでできます。アメリカ熟年層は、デジタルを使い慣れているんですよね。

そして、日本語フリーペーパーホームページでは、無料でTo go(テイクアウト)の営業をしているお店を紹介しています。

レストランで食べることは禁じられているため、飲食店はテイクアウトのみの販売です。売り上げを少しでも伸ばせるよう、フリーペーパーがこのような粋な計らいをして、かなりホッコリしました。

最後に、忘れてはならないのが『休校期間中の小学生以下を毎日ケアする人』です。お父さん、お母さん、祖父母、年上の兄弟など、家族間で報酬は発生しないけど、この危機を乗り切る為には、一人一人がまさにエッセンシャルワーカーだと思います。

誰一人として倒れる訳にいきません。自分のケアも忘れずに。家族をゆるすことを覚え、ちょっと俯瞰してみたら、今までにない新しい関係性が結べるかもしれません。我慢しながらも、我慢しないで日々過ごせたらいいと思います


以上、外出禁止令の発動から3週目のロサンゼルスに暮らす、主婦の福満恵子さんのレポートでした。早めの春休み気分でスタートしたものの、不自由な生活が長期化するうちに、マナーやルーティンの大切さを実感した様子に、有事にも人間らしく過ごすための基本を教わったように感じました。

「外出禁止令が出ると、すべてがバイ菌に見えてしまって、外出が怖くなります。ちょっとの買い物もビクビクして。アルコール、マスク、ウェットティッシュを持って、速攻買い物して、帰宅したらすぐにシャワー入って。それだけで、もうぐったりです(笑)」と福満さん。

実感のこもった言葉に、最近「コロナ疲れ」が日本でも取り上げられていますが、さらに緊張度の高い事態に備えて、身も心もたくましく保ちたいと感じました。

思ったように動けず、ストレスや不安な想いがつのりますが、世界中の人が苦しい状況下で同じように過ごしていることを知り、ぜひ今後の参考にしてみてください。

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PHOTO :
Getty Images(トップ画像)
WRITING :
神田朝子