コートやマフラーで厚着をしていたり、雪で足元が悪かったりなど、冬場は何かと普段と勝手が違うもの。仕事で取引先を訪れた際にも、「こういうときどうすればいいの?」などと、戸惑うことがあるのではないでしょうか?

そこで、今回は、冬の会社訪問でのNGマナーについて、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんから教わります。

「これくらい大丈夫だよね」と自己判断でやったことが、マナー違反にあたると、相手によくない印象をもたれたり、自分自身も恥をかいたりで、寒空のなかわざわざ訪問した甲斐がありませんよね。今さら人に聞けない常識からマナー美人ならでは配慮まで、この機会にチェックしていきましょう!

冬の会社訪問でのNGマナー7選

■1:訪問先の「建物内」でコートを脱ぐのはNG

コートやマフラーをどう扱う?
コートやマフラーをどう扱う?

まず、基本中の基本ですが、コートやマフラーを着用している場合、それらを着けたまま訪問先の建物に入るのはNG!

このマナー自体は知っていても、訪問先がなじみの会社の場合などは「今日は寒いし、そこまでルールに縛られる必要はないのでは?」と、敢えてコートを脱がないという人もいるかもしれません。

ただ、マナーとは無意味なルールではなく、その背景には相手に対する思いやりがあります。建物の外でコートを脱ぐというのも、表面についた埃やチリ、そして冬場にはウイルスなどを相手先に持ち込まない、という配慮を示す行為です。

そう考えると、親しい間柄の取引先だからといって、このマナーを軽視するわけにはいきませんよね。建物に入るのは、コートおよびマフラーや手袋などを脱いでから、という配慮を忘れないようにしましょう。

■2:コートの表が見えるようにたたむのはNG

続いて脱いだコートの扱いについて。コートは裏地が外側になるようにたたみましょう。コートを裏返しにするのも「表地についた汚れなどを、建物内に落とさないようにする」という、思いやりの意味があります。

また、マフラーや手袋などは鞄のなかにしまいましょう。

■3:ファー付きのアイテムやふわふわした素材を着用するはNG

ファー付きはあくまでプライベート用に
ファー付きはあくまでプライベート用に

コートやマフラーは、どうせ建物に入る前に脱ぐんだから、自分の好きなアイテムでも失礼じゃないよね……と油断するなかれ。冬のビジネスファッションについて、西出さんは以下のようにアドバイスします。

「ファー付きやふわふわした素材のコートは、裏地を外側になるようにたたんでも、訪問先で毛が舞ったり毛を落としたりするおそれがあります。

また、マフラーは鞄にしまうから大丈夫というわけではありません。モコモコした素材のマフラーだと、いつのまにか自分の洋服に、細かい繊維がついてしまっていることもあります」(西出さん)

自分の好きなファッションは、あくまでプライベートで楽しむにとどめて、ビジネスでは場面にふさわしいものを選びましょう。

■4:雪の日に履き替えのパンプスを準備しないのはNG

足元が悪い日はどうする?
足元が悪い日はどうする?

ビジネスマナー上、女性はパンプスを履くものとされていますが、とはいえ、冬場は雪で足元が悪い日もありますよね。悪天候下で取引先を訪問する場合、靴はどうすればいいのでしょうか?

「雪だけでなく雨の日もそうなのですが、基本的に、訪問先の建物に到着するまではレインシューズのような歩きやすい靴でかまいません。

ただ、そのまま訪問してはやはりマナー違反のおそれはあるので、建物に入る前にパンプスに履き替えましょう。雪や雨で汚れたままの靴で訪問をしない、ということにもなります。

もちろん、怪我などの理由から、パンプスを履けない人はその限りではありませんので、ご安心を」(西出さん)

最近では、“Kuu Too”運動などもあり、相手方の社風によっては、パンプスでなくてもOKというケースもあるでしょう。ただし、訪問先が伝統や格式を重んじる企業で、かつ、重要な商談が目的の場合などは、勝負パンプスを持参するほうがよいかもしれませんね。 

■5:雪で濡れたまま建物に入るのはNG

訪問先を濡らさないようにするのもマナーのうち
訪問先を濡らさないようにするのもマナーのうち

移動中、どんなに気を付けて傘をさしていても、自分の体や服、荷物に雪はつきやすいもの。そのまま建物に入ると、訪問先の床や椅子などを濡らしてしまうのでNGです。

「雪の日の訪問ではタオルを持参して、建物に入る前に自分についた雪や水滴を拭き取りましょう。その濡れたタオルや、そこまで履いてきたレインシューズなどを収納するための鞄も必要です。

なお、大きな荷物は本来、駅のロッカーなどに預けて訪問先には持ち込まないのがマナーですが、雪の日に濡れたものを入れる鞄は、建物に入る直前に使用するものなので、致し方がありません。対面した際に相手様に一言、『大荷物で失礼いたします』と、声をかけるようにしましょう」(西出さん)

■6:相手にことわりなく「マスクをつけたまま」接するのはNG

マスクは本当にNG?
マスクは本当にNG?

冬場には、風邪やインフルエンザを予防したり、自分の風邪を周囲にうつさないようにしたりするためにマスクを着用することもありますよね。

ところが昨年末、大手小売りのイオンが接客時のマスクの着用禁止という通達を出して、ニュースで話題になりました。マスクに関しては、どのように振る舞うのがビジネスマナー上、適切なのでしょうか?

「マナーにおいて、もっとも大事なのは、相手の立場に立つことです。ですから、マスクに関しても、単に小顔に見せたいなど、自己都合であれば、マナー違反になりえますが、相手に風邪をうつさないため、という配慮からであれば、マナー違反とはいえません。

ただ、何のことわりもなくマスクをつけたまま接すると、相手から見て失礼にあたるおそれはありますので、『本日はマスクをしたままで失礼いたします』という一言は、伝えるべきでしょう。

なお、その際、わざわざ『風邪をひいておりますので』という自分の事情まで伝える必要はありません。それを聞いて、『自分にうつされたら嫌だな』と不快に感じたり、あるいは、『体調がすぐれないなか、来ていただいて申し訳ない』と心苦しく感じたりする人もいるからです」(西出さん)

何が相手に対して失礼かはケース・バイ・ケース。どう振る舞うのが適切かは状況に応じて判断するしかありませんが、あまり難しく考える必要はありません。迷ったら「相手の立場に立つ」という基本ルールに立ち返りましょう。

■7:マスクをつけた状態で、目の表情に気を配らないのはNG

相手に風邪をうつさないためにマスクを着用する場合、はじめに一言ことわりを入れる以外に、もうひとつ注意すべき点があるとのこと。

「マスクをしていると、相手からは表情がわかりづらく、不安を感じさせるおそれがあります。マスクを着用しているときには、目の表情を豊かにすることを、いつも以上に心がけましょう」(西出さん)

笑顔は口角を上げることでつくることができますが、マスクで口が隠れていると、自分では微笑んでいるつもりでも、相手には怒っているように見えてしまうかもしれません。

マスクをよくするという方は、普段から鏡の前で感じのよい目の表情を確認し、マスクをつけたま状態でも自然な表情を相手に伝えられているかどうか? をチェックしておきましょう。

最後に、西出さんから一言アドバイスです。

「マナーは強制するものではありません。そうしたくてもできない事情もあるかもしれませんものね。ただ、今回お伝えした基本の振る舞い方は『知識』として習得しておき、それを実際に行うか行わないかは、状況しだいでしょう。臨機応変に、美しく立ち居振る舞える素敵な貴女でありますように」(西出さん)

以上、冬の会社訪問でのNGマナーをお届けしました。「実はこれやっていた!」という心当たりがありましたら、この機会にぜひ改善して、取引先により好印象をもってもらえる振る舞いを目指しましょう。

西出ひろ子さん
マナーコンサルタント・美道家
(にしで ひろこ)マナーは相手の立場にたつ『相手ファースト』という真心マナー®︎とおもてなし礼法®︎を伝え、互いに幸せになる生き方をマナーを通じて伝える第一人者。企業のコンサルティングでは、収益をあげるビジネスマナーと人財育成をおこない、結果と成果をだす敏腕マナーコンサルタントとして活躍中。クライアントには、お客様満足度NO.1のタイトルを取得している企業多数。一方で、NHK大河ドラマや映画、CMなどで、多くの俳優や女優、一流スポーツ選手たちにもマナー指導を行うマナー界のカリスマ。海外でも、プロトコル、エチケット、日本のマナーなどを指導している。その教えを学びに元CAなどすでにマナー講師として活躍している人々などが世界中から訪れ、マナー講師の育成指導もおこなっている。近年は、マナー評論家・マナー解説者としてのメディア取材や出演依頼も多数。著書・監修に28万部の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)、「運命を味方につけるプリンセスマナー」(河出書房新社)、「運のいい人のマナー」(清流出版)など、国内外で90冊以上。最新刊「さりげないのに品がある 気くばり美人の基本」(かんき出版)は2月3日発売。著者累計100万部以上。
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この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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