3月8日の「国際女性デー」をご存じですか? 女性の社会参加と権利向上を呼びかける、国連が定めた記念日です。この記事では「国際女性デー」の成り立ちや、別名「ミモザの日」と言われる由来、各国の取り組みについて解説します。

【目次】

女性の社会参加と権利向上を呼びかける日です。
国際婦人デーは、「女性の社会参加」と「権利向上」を呼びかける日です。

【「国際女性デー」とは?「基礎知識」】

■「国際女性デー」って何?

「国際女性デー」とは、国や人種を問わず、女性の経済的、政治的、社会的地位におけるジェンダー平等を尊重し、持続可能な未来に向けてサポートすることを目的に、国連が毎年3月8日に設定した記念日です。多くの人に向け、女性の社会参加と権利向上を呼びかけます。

■いつからはじまったの?

「国際女性デー」の起源は、1908年のアメリカ、ニューヨークで行われた「婦人参政権デモ」。当時、女性には政治に参加する権利がなかったため、選挙に立候補することも、選挙に投票することもできませんでした。女性たちはデモを通じて、「女性参政権」を求めたのです。その後、1910年にデンマークで開かれた第2回国際社会主義女性会議で、ドイツ代表クララ・ツェトキンらの提案により、女性参政権を目ざす「国際女性デー」の開催が決議され、以降、各国で実施されるようになりました。さらにその65年後、国際婦人年である1975年3月8日に、国連において提唱され、1977年の国連総会で議決。3月8日は「国際女性デー(International Women's Day)」が制定されました。

日本では1923年(大正12)の3月8日、東京で記念演説会が開かれ、戦後の1947年(昭和22)以降は毎年続けられています。当初は「国際婦人デー」と訳されていました。現在では、毎年3月8日、国際女性の日に寄せて、男女共同参画担当大臣が、メッセージを発出しています。

■「日付」の由来は?

1910年に「国際女性デー」の開催が決議された当初、開催日は各国の実情に応じたものでした。その後、1921年に開かれた第2回国際共産主義女性会議で、ロシア革命(1917)の発端になったペトログラード(現、サンクト・ペテルブルグ)の「女性デー」を記念し、3月8日に統一することが決定されました。


【「国際婦人デー」は「何をする」日?】

女性のために社会に向けて変革を呼びかけた女性たちの勇気を称え、「国際女性デー」には世界各国で女性のためのイベントが開催されています。日本では3月8日は祝日ではありませんが、一部の国々では祝日として制定されているところもあります。

■2024年「国際女性デー」のテーマは?

「国際女性デー」は、毎年、国連によりテーマが定められています。イベントではそのテーマにちなんだディスカッションが繰り広げられ、女性たちは自分たちの将来やキャリアについて考えます。2024年のテーマは、「女性に投資を。さらに進展させよう」です。国連女性機関(UN Women)によれば、ジェンダー平等を達成するために、資金不足はもっとも大きな課題のひとつ。ジェンダー平等のための取り組みへの資金は、なんと年間3600億米ドル(2024年3月7日現在の為替相場で日本円にすると約53兆6592億万円)も不足しているといいます。2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大や紛争、気候変動による災害、それに付随する経済の混乱などにより、深刻な貧困状態に追い込まれる人は増加傾向に。2030年までに3億4200万人を超える女性と少女が、貧困準以下で暮らさなければならなくなる可能性があるため、UN Womenは「今こそ女性に投資しよう」と呼びかけています。

■「シンボルカラー」は「ハッピーイエロー」

「国連女性デー」のシンボルカラーは、いきいきと輝く女性を応援する気持ちを込めた「ハッピー イエロー(幸せの黄色)」。もともとイタリアでは、3月8日を「ミモザの日」として、男性から女性に日ごろの感謝を込めてミモザの花を贈る習慣があったそうです。 この「ミモザの日」に由来し、いまやミモザの花は世界中で「国際女性デー」のシンボルとなったのです。

なぜ「ミモザ」が選ばれた?

イタリアで「イタリア女性組合」が誕生したのは、1944年。そして、イタリア人女性が初めて参政権を得ることができたのは、1946年3月10日の地方選挙です。ちょうどミモザが満開を迎えるころですね。この年、イタリア女性組合の理事だったテレサ・マッティが、ミモザを「女性デー」のシンボルにしたと言われています。そのためイタリアでは現在も、3月8日は「国際女性デー」というよりも、「Festa della Donna(フェスタ・デラ・ドンナ=女性の日)」や「ミモザの日」として人々に親しまれています。シンボルとしてミモザが選ばれたのは、ミモザはイタリアに広く自生する花であり、貧富の差に関係なく、誰もが比較的入手しやすい花であったため。イタリアではこの日、男性から女性へ、恋人同士はもちろん、友人や同僚、女性同士でも、ミモザの花を贈りあうそうですよ。女性たちは普段行っている家事や育児をお休みにして、外出したり外食したり、特別な時間を過ごすことが多いとか。素敵ですね!


【世界・日本の取り組みは?】

「国際女性デー」への取り組みは、国々によってさまざまです。

「世界」の取り組み 

・アメリカ

アメリカでは、3月は『女性史月間』。歴史上や現代社会において、女性の貢献に焦点を当て称える期間となっています。「国際女性デー」には、女性のリーダーシップに関連したトピックを用いて、各地でコンファレンスやビジネスイベントなどが開催されます。

・フランス

現在では、男女平等が進んでいる国のひとつとされているフランスですが、女性の解放運動が進んだのは1968年の五月革命以降と言われています。女性に参政権が与えられたのは、1945年のことです。国際女性デーには、男女の賃金格差是正や性被害防止などを訴える大規模なデモが各地で行われています。

・中国

中国で「国際女性デー」は「婦女節」と呼ばれています。1924年に広州で初めての女性向けイベントが開かれ、1950年に「第1回国際婦人労働者デー」の記念式典が開催されました。この日は祝日ではありませんが、法律により、働く女性に半日の休暇を付与するよう規定されています。そのため 、午前中は普段通り仕事をして、午後から休日としてショッピングを楽しんだり映画を見に出かけたり、思い思いに女性たちがその休暇を楽しんでいるようです。

・ベトナム

3月8日の国際女性デーのほか、もう一日「女性の日」があるのがベトナムです。1930年10月20日、ベトナムで初めての女性の組合「ベトナム婦人連合会」が発足しました。これにちなんで、毎年10月20日は「ベトナム女性の日」と制定されました。このためベトナムでは、3月8日の「国際女性デー」と、10月20日の「ベトナム女性の日」と、年に2回女性のための日があるのです。どちらかといえば、10月の「ベトナム女性の日」にの重きが置かれているようですが、どちらの日も、男性が女性に花などのプレゼントを贈る習慣があるそうです。

■「日本」の取り組み

日本での「国際女性デー」の認知度は、あまり高いとは言えないのが実情です。とはいえ、一般社団法人ウーマンイノベーションが、2017年より「国際女性デー」に「HAPPY WOMAN FESTA」というイベントを開き、これが全国規模に拡大してきています。2024年も、3月8日を中心に、3月の女性史月間中、全国全国14都道府県34会場でイベントが開催されます。このほかにも、東京、大阪にあるラグジュアリーホテルが「国際女性デー」にちなんだメニューを提案するなど、少しずつではありますが「国際女性デー」への理解が高まっています。

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ミモザの花には国ごとに異なる多くの花言葉があります。「ミモザの日」発祥の地であるイタリアでの花言葉は、「感謝」。そして日本では「優雅」や「友情」といった言葉が知られています。綿菓子のように可愛らしい花と鮮やかな黄色は、春の太陽を思わせ、見る人の心を明るく照らしてくれますね。「感謝」の思いを込めて、今年は身近な人に贈ってみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /国連女性機関(UN Women)日本事務所HP https://japan.unwomen.org/ja/stories/ozhirase/2023/12/nuxingnitouziwosaranijinzhansaseyou :