女性の自由や平等のために生まれた「国際女性デー」。世界で行われている国際女性デーとはどんな日なのか、2020年の国際女性デーのテーマや国際女性デー(国際婦人デー)の歴史をご紹介しましょう。
またロシア、イタリア、フランス、中国、ベトナム、日本の世界各国の国際女性デーについてもご紹介します。
■3月8日の国際女性デーとはどんな日?

人種や国を問わず、女性の人権を守ろうと生まれたのが、国連が定める「国際女性デー」です。
女性のために社会に向けて変革を呼びかけた女性たちの勇気を称え、「国際女性デー」では、世界各国でさまざまな取り組みが行われています。
「国際女性デー」は、「国際婦人デー」や「国際女性の日」などとも呼ばれ、英語では「International Women's Day」といいます。
2020年の国際女性デーはいつ?
「国際女性デー」は毎年3月8日と定められていて、2020年も3月8日に実施されます。
この日は世界各地で女性のためのイベントが開催されます。日本では3月8日の「国際女性デー」は祝日ではありませんが、一部の国々では祝日として制定されているところもあります。
■2020年の国際女性デーのテーマは?
国際女性デーでは、毎年国連がテーマを定めており、国際女性デーでのイベントではそのテーマにちなんだディスカッションが繰り広げられたり、女性たちが自分たちの将来やキャリアについて考えたりします。
2020年は「平等を目指すすべての世代:女性の権利を考えよう」
2020年の国際女性デーのテーマは、「平等を目指すすべての世代:女性の権利を考えよう」です。
2020年は女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議の採択20周年を迎えるほか、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを目的にした国連機関「UN Women(国連ウィメン)」の設立10周年を迎えます。
この節目の年に、ジェンダー平等をさらに推進していこうと、このテーマが設定されました。
ちなみに2019年は「平等に考え、聡明に構築し、変化のための革新を」、2018年は「今こそ行動を:女性の生活を向上させるために、農山漁村及び都市部で活躍する活動家たち」というテーマが設定されました。
■国際女性デー(国際婦人デー)の歴史
国際女性デー(国際婦人デー)が制定された起源には、女性に向けられていた不平等に対して立ち向かってきた、世界の女性たちの姿があります。
起源は女性たちが起こしたデモ
かつて女性には、選挙での投票などを始め、政治への参加が認められていなかった時代があります。
しかし女性にも男性と同じ権利があると、世界で女性たちの運動が起こりました。そんな動きの中で最も大きな出来事となったのが、1904年3月8日にアメリカ、ニューヨークで起きた、女性労働者による婦人参政権を求めるデモです。
またこれ以降でも、世界各地で女性たちによるデモ運動が起きることとなりました。
国連が1975年に「国際女性デー」を制定
1904年にニューヨークで起きたデモをきっかけに、1910年にコペンハーゲンで開かれた国際社会主義会議で、3月8日を「女性の政治的自由と平等のために戦う日」と提唱されるようになりました。
そして1975年には、国連が3月8日を「国際女性デー(国際婦人デー)」と定めることとなったのです。
■ロシアの国際女性デー
それでは、世界各国の国際女性デーの歴史や過ごし方についてみてみましょう。まずはロシアです。
歴史
ロシアにおける、女性の平等に関する最も大きな歴史といえば、第一次世界大戦中の1917年3月8日にロシアで起こった二月革命です。
戦時中のため食料や燃料が不足し、「パンをよこせ」とデモが始まり、この動きはやがて「戦争をやめろ」という声にかわり、最終的には当時の王朝を崩壊にまで追い込むこととなりました。
1904年3月8日に、ニューヨークで起きた女性によるデモの日と重なり、また、二月革命の一部のデモを牽引したのが女性労働者たちであったことから、ロシアの国際女性デーにとって、この二月革命が大変大きな意味を持つこととなりました。
過ごし方
ロシアの「国際女性デー」は大きなイベントのひとつ。
大統領が女性たちにお祝いのメッセージを発表するほか、カップルはレストランに一緒に食事に出かけたり、男性は女性に花などのプレゼントを贈ったりします。
■「ミモザの日」とも言われる、イタリアの国際女性デー
イタリアでは国際女性デーは「ミモザの日」とも呼ばれています。
歴史
イタリアでは1944年に「イタリア女性組合」が誕生しました。そして、3月8日の国際女性デーは、ちょうどその頃に咲く黄色のミモザの花を女性へ贈り、女性に感謝を伝える日となっていったのです。
そのためイタリアでは、国際女性デーというより、「Festa della Donna(フェスタ・デラ・ドンナ=女性の日)」や「ミモザの日」と呼ばれ、人々に親しまれています。
ミモザはイタリアに自生する花のため、貧富の差に関係なく、誰もが女性へ贈ることができると広まっていきました。
過ごし方
ミモザの日(国際女性デー)には、男性は母親や妻、同僚の女性などにミモザの花を贈ります。
女性たちは普段行っている家事や育児をお休みにして、外出したり外食したり、特別な時間を過ごすことが多いそうです。
フランスの国際女性デー
フランスの女性たちによる国際女性デーの動きについてみてみましょう。
歴史
今では男女平等が進んでいる国のひとつとみなされているフランスですが、女性の解放運動が進んでいったのは1968年の五月革命以降と言われています。フランスで女性に参政権が与えられたのは、1945年のことです。
過ごし方
フランスでは、男女の賃金格差があるなどと、国際女性デーには各地で抗議デモが行われてきました。
2018年の国際女性デーには、マクロン大統領が男女での賃金格差がある企業を非難し、女性への平等な権利に対して改善を求めていくことを宣言しました。
■中国の国際女性デー
中国では国際女性デーは祝日ではありませんが、働く女性は法律で半日の休みがもらえる制度があります。
歴史
中国で国際女性デーは「婦女節」などと呼ばれています。1924年に広州で初めての女性向けイベントが開かれ、1950年に「第1回国際婦人労働者デー」の記念式典が開催されました。
過ごし方
国際女性デーでは法律によって、働く女性に半日の休暇を付与するよう規定されています。そのため午前中は普段通り仕事をして、午後から休日としてショッピングを楽しんだり映画を見に出かけたり、思い思いに女性たちがその休暇を楽しんでいるようです。
■ベトナムの国際女性デー
3月8日の国際女性デーのほかにもう一日「女性の日」があるのがベトナムです。
歴史
1930年10月20日、ベトナムで初めての女性の組合で、現在の「ベトナム婦人連合会」が発足しました。これにちなんで、毎年10月20日は「ベトナム女性の日」と制定されました。
つまりベトナムでは、3月8日の国際女性デーと、10月20日のベトナム女性の日と、年に2回女性のための日があるのです。
過ごし方
3月8日の国際女性デーと10月20日のベトナム女性の日では、どちらかというと10月のベトナム女性の日の方が重きを置かれています。
ただどちらの日も、男性が女性に花などのプレゼントを贈る習慣があります。
■日本の国際女性デー
では、日本での国際女性デーの歴史や過ごし方はどうなっているでしょうか?
歴史
日本で女性の社会的地位向上や権利について大きな動きが出てきたのは、第二次世界大戦後のことです。女性の参政権が認められたのは1946年、雇用面での男女の平等を認める法律、通称「男女雇用機会均等法」は1985年に制定されました。
また、セクシャルハラスメントやマタニティハラスメントを禁止する規定が制定されたり、育児休暇の取得制度について議論されるなど、女性がより生活しやすく、より働きやすくなるための取り組みも進められています。
過ごし方
日本での「国際女性デー」の認知度は、あまり高いとは言えないのが実情です。
しかし、一般社団法人ウーマンイノベーションが、2017年より、国際女性デーに「HAPPY WOMAN FESTA」というイベントを開き、これが全国規模に拡大してきています。
このほか、女性を中心とした活動なども行われ、少しずつではありますが国際女性デーについての理解も進んできているようです。
国際女性デーを大切に過ごそう

当記事では、国際女性デーとはどんな日でいつなのか、2020年のテーマについてご紹介しました。
また、国際女性デー(国際婦人デー)の歴史や、ロシア・フランス・中国・ベトナム・日本、そして、ミモザの日ともと呼ばれるイタリアなど、世界各国の国際女性デーの歴史や過ごし方をチェックしてみました。
昔に比べれば、女性の社会進出が進み、社会で活躍する女性も増えてきていますが、2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」では、日本は153か国中121位ととても低い結果となっています。
「国際女性デー」の認知度も、日本では決して高くはありません。しかし、今後さらに「国際女性デー」の動きが日本でも広まっていけば、日本人女性のジェンダー平等や暮らしやすさも、よりよいものになっていくのかもしれません。
- TEXT :
- Precious.jp編集部