日本で古くから伝わる季節の行事に、お彼岸があります。しかしお彼岸の意味や由来、お彼岸にお墓参りする意味について、きちんと知っている方は少ないかもしれません。

そこでお彼岸の基本についてチェックし、さらにお彼岸で供える「おはぎ」と「ぼたもち」の違いや、お彼岸とお盆の違い、お彼岸にしてはいけないタブーについてもご紹介します。

■2020年のお彼岸はいつ?

2020年のお彼岸はいつ?
2020年のお彼岸はいつ?

お彼岸とは、3月の「春分の日」と、9月の「秋分の日」を中日として前後3日間、合計7日間の期間を指します。

それぞれ「春彼岸」「秋彼岸」と言い、お彼岸は年に2回あることになります。

彼岸の最初の日を「お彼岸の入り」、終日を「お彼岸のあけ」、春分の日・秋分の日を「中日(ちゅうにち)」と呼びます。

「春分の日」と「秋分の日」はどちらも祝日になりますが、それぞれの正確な日付は国立天文台が天体を観測して作る「暦象年表」に基づいて定められます。

2020年の春のお彼岸は何日から何日まで?

2020年の「春分の日」は3月20日で、春のお彼岸は3月17日から3月23日にあたります。ちょうど春のお彼岸の頃に咲く花に「彼岸桜」があり、3月下旬から4月上旬ころに美しく開花します。

2020年の秋のお彼岸は何日から何日まで?

2020年の「秋分の日」は9月22日で、秋のお彼岸は9月19日から9月25日まで

秋のお彼岸の頃に、真っ赤な花をつける「ヒガンバナ(彼岸花)」が咲くことで知られています。

ヒガンバナは「曼珠沙華(マンジュシャゲ)」という別名もあり、彼岸に咲くことから「あの世とつながりがある」と、不吉な花と考える方もいます。

■お彼岸の意味や由来

なぜ「春分の日」と「秋分の日」をはさんだ時期にお彼岸があるのでしょうか。また、お彼岸にはどんな意味や由来があるのかをみていきましょう。

お彼岸の由来はインドのサンスクリット語

「お彼岸」という言葉は、インドのサンスクリット語の「paramita(パーラミター)」という言葉に由来し、これを漢訳した「到彼岸」を略して使われるようになったと言われています。

お彼岸の意味は「極楽浄土の世界」

仏教では「彼岸」とは「向こう岸を渡る」という意味があり、ご先祖さまがいる極楽浄土の世界を指します。

「春分の日」と「秋分の日」は、ちょうど太陽が真東から昇り、真西に沈み、昼と夜の長さが同じになる日。

そこで、仏教で極楽浄土があるとされる真西に沈む太陽に手を合わせ、ご先祖さまへの感謝を伝える日となっていきました。

■お彼岸に墓参りをする意味

「国民の祝日に関する法律」では、「春分の日」は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」、「秋分の日」は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」と記述されています。

お彼岸は、春も秋もどちらもお墓参りをする場合が多いです。

墓参りをする意味はご先祖さまの供養

お彼岸は仏教に由来する言葉ですが、仏教を信仰していない人でも、お彼岸にお墓参りをするのは一般的なことです。

太陽が真西に沈む「春分の日」と「秋分の日」は、極楽浄土の世界ともっとも近くなる日と考えられ、ご先祖さまの供養が行われてきました。

また、古代の暮らしの中で、春に豊作を願い、秋には収穫を感謝しており、自然の神々に感謝する教えもあったと考えられます。

墓参りに行くのいつ?

春と秋のお彼岸はそれぞれ7日間あり、「お彼岸の入り」から「中日」、「お彼岸のあけ」とありますが、お墓参りはその期間のいつ行っても問題はありません。

お墓参りに行く時間帯ですが、午後よりも午前中の方がベスト。これはお墓参りを最優先して、ご先祖さまを大切にするという考えからきているものです。

お彼岸の時期は、墓苑や寺院がお墓参りする方で混雑することも、覚えておいた方がよいでしょう。

■お彼岸のお供え物は「おはぎ」と「ぼたもち」

お彼岸のお供え物「おはぎ」と「ぼたもち」
お彼岸のお供え物「おはぎ」と「ぼたもち」

春のお彼岸と秋のお彼岸は、どちらもお墓参りをしてご先祖さまを供養することが共通しますが、異なるのはお彼岸のお供え物について。

春のお彼岸には「おはぎ」をお供えし、秋のお彼岸には「ぼたもち」をお供えします。

春のお彼岸はぼたもち、秋のお彼岸はおはぎ

「ぼたもち」と「おはぎ」は、どちらも、もち米とあんこを使った和菓子です。

漢字で書くと、「ぼたもち」は「牡丹餅」、「おはぎ」は「お萩」

しかし、春のお彼岸にお供えする「ぼたもち」は漢字で「牡丹餅」と書き、春に咲く牡丹の花を由来とします。

一方、秋のお彼岸の「おはぎ」は「お萩」と書き、秋に咲く萩の花からつけられています。

「ぼたもち」は大きく丸い、「おはぎ」は小ぶりで俵型

「ぼたもち」と「おはぎ」は見た目や形にも違いがあり、「ぼたもち」は牡丹の花のように大きな丸い形で作られ、「おはぎ」は萩の花のように、やや俵型で小ぶりに作られます。

「おはぎ」は粒あん、「ぼたもち」はこしあん

また、使用されるあんこですが、秋のお彼岸には収穫したばかりのやわらかい小豆を使うことができるため、「おはぎ」には粒あんが用いられ、春のお彼岸では冬を越して少し固くなった小豆を使わなければならないため、「ぼたもち」には皮を取り除いた小豆でこしあんを使用していたといわれます。

しかし、現代では小豆の保存技術が発達したことや、小豆の品種改良が進んだことなどから、「ぼたもち」と「おはぎ」で、粒あんかこしあんかの違いはなくなりました。

また地域によっては、小豆やもち米のつぶし具合によって「半殺し(ぶつぶつが半分程度残る状態)」や「本殺し・皆殺し(つぶつぶが残らない状態)」などと呼ぶところもあります。

いつ供えて、いつ食べる? その意味は?

お赤飯が縁起のいい料理と考えられるように、昔から小豆は邪気を払うといわれてきました。そのため、お彼岸にもそんな縁起のいい小豆を使った料理が、お供え物として利用されてきたのです。

また、古代では砂糖はとても貴重で高価な食材であり、ご先祖さまを敬い、あの世でお腹をすかせないように、という意味も込められています。

「ぼたもち」と「おはぎ」は、お彼岸の7日間、毎日供える必要はありません。ちょうど「春分の日」「秋分の日」にあたる中日にお供えして、その日にお下がりをいただくのが正式と言われています。

しかし、お墓参りをして「ぼたもち」や「おはぎ」をお供えしてそのままにしていたら、カラスなどが食い散らかす可能性があるため、お墓参りが終わったら持ち帰り、お下がりをいただくようにしましょう。

ぼたもちやおはぎ以外の、お彼岸のお供え物

「ぼたもち」と「おはぎ」以外には、お彼岸のお供え物として、故人が好きだった和菓子や焼き菓子、洋菓子などもおすすめ。

家族や親せきが集まった場で、お茶と一緒に楽しめるようなお菓子は人気です。

また缶ジュースや缶ビール、缶詰のほか、そうめんなども日持ちするため、便利です。

■お彼岸とお盆の違い

お墓参りをしてご先祖さまをしのび、供養するというと、夏のお盆もありますが、お彼岸とはどんな違いがあるのでしょうか?

お盆はいつからいつまで?

お盆の時期は、地方などにより若干異なりますが、一般的には8月13日から16日頃を指します。

2020年は8月16日が日曜日にあたるため、8月13日(木)~8月16日(日)がお盆休み期間となるところが多いでしょう。

お盆の意味

お盆は、ご先祖さまが浄土から戻ってくる期間と考えられており、迎え火でご先祖さまをお迎えして供養し、送り火で見送ります。

しかしお彼岸は、ご先祖さまが帰ってくるわけではありません。

太陽が真西に沈む「春分の日」と「秋分の日」は、あの世とこの世がもっとも近くなる日と考えられ、それらの日の前後3日間、合計7日間の期間をお彼岸と呼び、ご先祖さまを供養します。

お盆は、あの世からこの世にご先祖さまが帰ってくる日、お彼岸は、ご先祖さまがいるあの世と我々がいるこの世がもっとも近い日、とされています。

■お彼岸にしてはいけないことはある?

ご先祖さまを敬う大切な期間であるお彼岸ですが、この時期にやっていけないことはあるのでしょうか?

結婚式はタブー?

よく言われるのは、「結婚式やお見舞いなどは控えたほうがいい」ということ。しかし、お彼岸は喪中ではないため、お彼岸に結婚式を行うことは縁起が悪いことではありません。ただ、「ご先祖さまをないがしろにしている」と感じる方も、中にはいるかもしれません。

お見舞いは控えるべき?

また、お墓参りをするお彼岸の時期に、入院している方や病気・ケガの方をお見舞いすることは、「その人を故人として扱っている」とみなされ、相手に対して失礼な振る舞いとなる可能性もあるようです。

引っ越しや納車はしてもいいの?

さらに、「お彼岸に引っ越しや納車はよくない」などといわれることもあるようですが、その由来も定かではありません。お彼岸にそれらを行っても問題ないようですが、「お彼岸はご先祖さまを供養する時期であり、あまり騒がしくしないほうがよい」という考えのもと、そのような説があるのかもしれません。

時代とともに人々の考え方やとらえ方も変わってきているので、すべてをタブーとする必要はないと思いますが、ご先祖さまを大切にしてお墓参りを行う、時間と心の余裕を持っておくといいのではないでしょうか。

お彼岸の意味を知って、故人を敬いましょう

2020年の春のお彼岸と秋のお彼岸はいつなのか、何日から何日までなのかをご紹介しました。

また、お彼岸の由来や、お彼岸にお墓参りをする意味、お墓参りにはいつ行くべきなのかもチェックしています。

さらに、お彼岸のお供え物「おはぎ」と「ぼたもち」の意味や、いつ供えて、いつ食べるのか、お彼岸とお盆の違いや、お彼岸にしてはいけないこともまとめてみました。

お彼岸は春も秋も、とても快適に過ごせる気持ちのいい季節にあたります。亡くなった方に思いをよせ、ご先祖さまを敬うという日本古来からの習慣を、ぜひ大切にしていきましょう。

この記事の執筆者
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