おいしい肉、は牛ばかりではありません。豚や鶏、鹿肉だって味わいたい! そんなわがままなお願いも受け止めてくれるのが、京都という街の懐の深さ。
京都通&食通で知られる肉マイスター・田辺晋太郎さん、女優の羽田美智子さん、和文化コーディネーター・森荷葉さん、京都現代美術館キュレーター・梶川由紀さんおすすめの“京都でうまい鶏・豚・鹿が食べられる名店”を4軒ご紹介します。
■1:<豚>カツ=牛の京都人をもうならせる「プチレストランないとう」のロースとんかつ
豚肉をあまり食さないといわれる京都では珍しく、豚を看板に掲げるこちら。岐阜県養老山の麓で育った養老豚に薄い衣をまとわせ、老舗「山中油店」の菜種油でカラリと揚げる名物のとんかつは、脂身まであっさり。
「ランチは200gとボリューム満点! なのにペロリと食べられます(笑)」と京都現代美術館の梶川由紀さん。常に油が新鮮なため、胃もたれ知らずなのもうれしいポイント。築100年以上の古民家で、昼は定食セットを、夜はコースの選べるメイン料理のなかからいただけます。
サクサクのとんかつは、自家製ソースはもちろん岩塩で食べるのもおすすめ。昼は突き出しやサラダ、豚汁、デザートなどが付いて大満足のボリュームです。
問い合わせ先
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「プチレストランないとう」 TEL:075・211・3900
住所/京都府京都市中京区柳馬場通夷川上ル西側 営業時間/11:30~14:00(L.O.)、18:00~20:00(最終入店) 定休/月曜、火曜の昼
■2:<豚>町家でいただく端正な京風中華「マダム紅蘭」のトンポーロー
四川料理をベースに、素材の味を生かしたシンプルな味付けが人気。大きな角煮を蒸したての手づくりマントウに挟んでいだくトンポーローは、こちらの代表的なメニュー。ボイルした豚バラ肉を皮目だけ揚げ、3時間以上蒸して余分な脂を落としてから薄めのしょうゆダレで調理した角煮はほんのり甘く、ふわふわのマントウとも相性抜群。
「トロトロの角煮は優しい味付けで、口の中でホロホロとほどけていきます。思い出すだけでも、今すぐ食べたい!」と女優の羽田美智子さん。
あまりの評判から、今では「トンポーバーガー(5個入り¥1,650~)」として、テイクアウトや冷凍での地方発送も行っているそう。
問い合わせ先
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「マダム紅蘭」 TEL:075・212・8090
住所/京都府京都市中京区丸太町通寺町東入ル北側 営業時間/11:30~14:00(L.O.)、17:00~21:00(L.O.) 定休日/月曜(祝日の場合は営業、翌火曜休)
■3:<鶏>元蕎麦職人が揚げるサクフワの絶品地鶏「天ぷら割烹 なかじん」丹波地鶏の天ぷら
「素材の味を閉じ込めることこそ、天ぷらという調理法の醍醐味。そういう意味で、ここの鶏の天ぷらは『本当に素晴らしい』のひと言」と田辺さん。
刺身で出せるほど新鮮な丹波地鶏の胸肉を使用し、衣はサクサク、中はふっくらとジューシー。圧搾法で抽出した油を使っているので、胸やけの心配もありません。「鶏だけでなく、野菜の天ぷらも見事! 思わずワインが進みます。元蕎麦打ち職人の店主だけあって、シメの〝麦切り(粗挽きのうどん)〟も格別です」
1品ずつ提供される天ぷらは、ぜひ自家製のウニ塩で。地鶏は昼のすべてのコースに入り、夜はその日の入荷しだい。要予約なのでご注意を!
問い合わせ先
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「天ぷら割烹 なかじん」 TEL:075・257・2288
住所/京都府京都市中京区高倉通六角上ル西側 営業時間/12:00~13:00、18:00~19:00(ともに最終入店) 定休日/水曜、月1回不定休 要予約
■4:<鹿>美山で育った夏鹿の滋味深い味わい「祇園 豆萬味」のサマージビエ
料理長自ら日本中を飛び回り、各地で出合った素材を最もおいしい状態で提供してくれる、おまかせスタイル。
「お肉なら、牛、豚、鶏などその日の食材を丸ごと見せてくださり、相談しながら調理法を考えてくださいます。珍しい美山の夏鹿は、秋冬に木の実を食べて育つ鹿と違い、草を食べて育つためさっぱりとした優しい味わい。だしにわさびをたっぷりすりおろしたスープでしゃぶしゃぶすると、赤身のうま味が引き立ちます。シメはうどんがおすすめ。お漬物のみょうがの味噌漬けと合わせて、ぜひ」(森さん)
美しい坪庭を望むカウンターで、料理長のきびきびした姿を眺めつつ一献、というのも乙なもの。
問い合わせ先
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「祇園 豆萬味」 TEL:075・532・1188
住所/京都府京都市東山区祇園町南側570-127 営業時間/11:30 ~ 14:00(L.O.)、17:00 ~21:00(L.O.) 定休/無休 予約がベター
以上、肉の聖地・京都で食べられる定番&変わり種の〝豚・鶏・鹿〟の名店4軒を、京都通&食通の皆さんの推薦コメントつきでご紹介しました。おいしい肉を味わいに、この夏は京都へ!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 『Precious7月号』小学館、2017年
- PHOTO :
- 合田慎二、内藤貞保(マダム紅蘭)
- WRITING :
- 森中奈央(トライアウト)
- EDIT&WRITING :
- 田中美保(スタッフ・オン)、中村絵里子(Precious)