本日から季節は「啓蟄(けいちつ)」! …ん?「啓蟄」ってどういう意味? 卒業シーズンに使えるトリビアもお届けします
今の季節、大切な方へ手紙を書くとしたら、最初の言葉は何が良いでしょうか?「早春の候」は3月全般に使えますし、「浅春の候」は3月上旬に適した表現です。
そのほか、季節の御挨拶を考える指針となるのが、このシリーズでもたびたび触れている「二十四節季(にじゅうしせっき)」です。
1年を24の「季節」に分類した暦の表現で、最近では「雨水(うすい)」をとりあげました。「雨水」は、「陽気がよくなってきて、積雪が解けて水になり、降る雪が雨に変わる季節」という意味で、2月19日ごろから3月4日ごろを指す日本語です。
ん? 3月4日ごろまで?
そうです、本日3月5日からは、二十四節季が「啓蟄(けいちつ)」に変わります。手紙やメールの冒頭文も「啓蟄の候」という表現が適した季節に入るわけです。
では「啓蟄(けいちつ)」とは、いったいどういう意味なのでしょうか?
というところで、1問目です。
【問題1】「啓く」ってなんと読む?
「啓く」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント1:二十四節季「啓蟄」の「啓」であり、「啓蒙活動」などにも使われる「啓」です。
ヒント2:<使用例>「恩師の言葉により、私のその後の人生哲学が拓けたのです」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は… 啓(ひら)く です。

「啓蒙(けいもう)」は、「道理にくらい者や知識に乏しい者を教え導く」という意味の言葉です。「蒙(もう)」には「無知」という意味があるので、この状態の者を「教え導く」…つまり「学習を伴ったポジティブな変化」が「啓(ひら)く」です。
仏教用語からきている「悟りをひらく」を漢字表記する場合も、「開く」ではなく「啓く」がふさわしいでしょう。
恩師への感謝として「先生が、教え啓いてくださった」という言葉を贈れば、最上級の尊敬と感謝が表現できる…そんな日本語でもあります。卒業シーズン、学生さんに語る日本語トリビアとしても、最適かもしれません。
…というところで、季節の言葉「啓蟄」に戻りつつ、次のクイズです。
【問題2】「蟄れる」ってなんと読む?
「啓蟄(けいちつ)」の「蟄(ちつ)」という漢字を使用した「蟄れる」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:あるモノが、土の中にとじこもっている状態を表現した日本語です。

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は・・・ 蟄(かく)れる です。

「啓蟄(けいちつ)」の「蟄(ちつ)」という字は、虫が土の中に「蟄(かく)れている」状態を表現した日本語です。「蟄(とじこ)もる」という読み方もあります。
つまり「啓蟄」とは、地中にとじこもり、かくれていた小さな生き物たちが、明るい世界に出てくる…「啓(ひら)かれる」季節、という意味の日本語なのです。
単純に「暖かくなって虫が出てくる」現象だけを表現するなら「出虫」などでも事は足りると思いますが、
「啓蟄」という漢字表記を使用しているところに、この世界に共存する小さな生き物への敬意や、知的な趣を感じます。美しい日本語ですよね。
*
本日は、二十四節季の「啓蟄」の季節にちなんで、
・啓(ひら)く
・蟄(かく)れる
・蟄(とじこ)もる
という難読漢字をおさらいいたしました。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱