「うそをつく」ことを「ホラを吹く」って言うけれど、「うそをつく」と「うそぶく」って同じこと?
デマに踊らされた人々が、トイレットペーパーを買い占める…という事象が、最近、ニュースになりましたね。
実際は国内に潤沢な在庫があるのに、買い占めが起きたせいで流通が追いつかなくなり、市場で本当にトイレットペーパーが不足するという、なんとも本末転倒な、さみしい事象でした。
「デマ」という言葉の語源は、「でまかせ」などの日本語ではなく、ドイツ語「Demagogie(デマゴギー(意味:扇動または扇動政治)」の略語です。
ですので「デマ」とは、もともとは、情報の真贋に関わらず「センセーショナルな情報で人々が扇動される」状態を指します。
今回のトイレットペーパー不足は、根拠のないネット情報に踊らされた人々によって引き起こりましたが、まさか元の情報が偽物・つまり「嘘」である、と見極められなかったからこそ、間違った行動をとってしまったわけです。
社会が不安定な時こそ、情報の真贋を見極める冷静さを見失わすにいたいものです。
さて本日は、「嘘(うそ)」に関係した日本語をひもといてみましょう。
…というところで、1問目のクイズです。
【問題1】「嘘吐き」ってなんと読む?
「嘘吐き」という日本語の、読み方をお答えください。
<ヒント>「吐き」という言葉単体で書いてであれば「はき」と読むことがほとんどですが、語頭に「嘘」がつくと「吐き」の読み方が別のものに限定されます。

さて、正解は・・・
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は… 嘘吐(うそつ)き です。
「吐(は)く」という字は、「嘘」についての術語としては、「嘘を吐(つ)く」、という読み方をします。

そう、「吐く」という字には、「嘘を吐(つ)く」「ひといき吐(つ)く」など、「吐(つ)く」という読み方もあるのです。
また、「嘘」など、憎々しいネガティブな情報の術語として「吐(ぬ)かす」という読み方もあります。
「涼しい顔で、嘘を吐(ぬ)かすのよ、あの方は!」など、情報の語り手に対して怒りを感じているときに「吐(ぬ)かす」と言いますね?
シチュエーションが限定される読み方なので、この法則を知っていれば誤読しにくいと思いますが、「吐(は)かす」と間違えないよう、お気をつけください。
…というところで、2問目のクイズです。
【問題2】「嘯(うそぶ)く」ってどういう意味?
「嘯(うそぶ)く」という言葉の、正しい意味は、以下のどれ?
1:嘘を流布する。
2:とぼけて知らないふりをする。
3:偉そうに大きなことを言う。

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は・・・
2:とぼけて知らないふりをする。 と
3:偉そうに大きなことを言う。 のふたつです。

1:嘘を流布する。 だけが間違いです。
「うそぶく」という音感から、「嘘を吐く」と混同しそうですが、はっきりとした意味の違いがあります。
「嘘を吐く」は、はっきりと「嘘」とわかっている情報を述べること。
「嘯(うそぶ)く」は、その人にとって都合の悪いことを言われ、嘘を吐くとまではいかなくとも「そらとぼける」こと。
または
事実と照会するとその人の言うことは「かなり大げさなビッグマウスである」という状態を表現する言葉です。
前者の用例(そらとぼける)は、
「部長に『先週、こうおっしゃいましたよね?』って確かめたら、『そうだったかな?』 なんて嘯いて…適当なことを言わないでいただきたいわ!」
後者の用例(ビッグマウス)は、
「社長は『一代で会社を大きくしたのは、全部自分の功績だ』と嘯いているけれど、実は副社長の奥様が、本当の切れ者なのよね」
というような形になります。
ちなみに「嘘を吐く」と同じような意味で「ホラを吹く」という慣用句がありますが、
「ホラ」は、昔、山伏や軍陣が合図に使用した「法螺貝(ほらがい)」のことです。法螺貝を吹くと、見た目の印象よりかなり大きな音が出ることから、「予想外の大儲け」を「ほら」と言うようになり、転じて、大げさなことをいうことを「ホラを吹く」と言うようになりました。
ですので、「ホラを吹く」という慣用句は「嘘を吐く」ではなく、「大げさなことを言う」のが、元の意味合いなのです。
しかし現在では「嘘を吐く」と同義で使用されることもありますので、現代の感覚で「嘘つき度」の順番に言葉を並べると…
嘘を吐く ≧ ホラを吹く > 嘯く
…という感じでしょうか?「嘯く」は、情報の発信者にとっては「嘘ではない」と妄信している状態、または「嘘ではない」と言い逃れができると信じている状態です。
本日は「嘘」に関連する日本語
・嘘を吐く
・嘯く
・ホラを吹く
をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱