システムキッチンに組み込まれたビルトイン・オーブンレンジは、平面もフラットで、スマートかつスタイリッシュな印象を与えます。また、オーブンレンジは、オーブンとしてもレンジとしても、2つの機能を同時にも活用できるため、料理の幅が広がるのもうれしいポイント。
そこでこの記事では、ビルトインオーブンレンジの種類とメリット・デメリット、検討する際のポイント、選び方、日本製・海外製のおすすめ商品をご紹介します。
■ビルトインオーブンレンジの種類とメリット・デメリット
ビルトインオーブンの種類に大きく分けて、ガスオーブンと電子レンジの機能をもつ「コンビネーションレンジ」、ガスオーブンである「コンベック(高速オーブン)」、電気利用の「電気オーブンレンジ」があります。それぞれのメリット、デメリットを解説しましょう。
■1:1台3役こなす「オーブンレンジ」が主流
最近主流となっているのが、オーブン機能と電子レンジ機能の両方が使える「オーブンレンジ」です。これは、オーブン、電子レンジの機能をそれぞれ単体で使えることに加え、両方の機能も同時に使えるというメリットがあります。いわば、1台3役こなしてくれるのです。
また、オーブンレンジがあれば、個別に電子レンジを持つ必要がありません。そのため、キッチンスペースも効率化でき、お手入れも1台分ですみます。
「コンビネーションレンジ」も人気
さらに、オーブン機能はガス利用、レンジ機能は電気利用の「コンビネーションレンジ」も人気です。ガスオーブンの強い火力と、電子レンジの機能が1台でまかなえます。
■2:ガスオーブン「コンベック(高速オーブン)」
ガスを利用したオーブンは「コンベック(高速オーブン)」と呼ばれます。ガスを燃焼させた熱風で食材を調理するオーブンです。火力が強いので、パンやピザ、ケーキをつくるのに適しています。
メリット
ガスオーブンは、電気オーブンレンジにくらべ、火力が強いという特徴があります。そのため、予熱時間が短くすみ、調理がすばやくできることから、料理時間の時短につながるのが大きなメリット。また、電気オーブンレンジよりも、光熱費が安くすむのも良い点です。
デメリット
ガスオーブンは、設置時にガスの元栓の場所や、安全性を気にする必要があります。そうなると、設置場所が限定されることも。また、電気オーブンにくらべて若干サイズが大きいというのも、デメリットかもしれません。
■3:電気利用の「電気オーブンレンジ」
電気を使ったオーブンレンジは、電気オーブンと電子レンジの機能を兼ね備えているのが最大の特徴です。電気のみで食品を調理するので、火を使わず、安全。オール電化住宅のシステムキッチンに適していると言えます。
メリット
電気タイプのビルトインオーブンは、コンパクトサイズのものが多く、火を使わないことから安全性が高いのがメリットです。また、オーブン内の温度のムラができにくいため、熱回りが均一で、長時間かけてつくる料理に向いています。
デメリット
ガスタイプにくらべると、電気なのでどうしても火力が弱く、予熱に時間がかかってしまうのがネックです。そのことから、ランニングコストが高くついてしまいます。また、サイズが小さいこともあり、大きな食材を調理するのが難しい場合もあります。
■ビルトインオーブンレンジを検討するポイント
ビルトインオーブンレンジを検討するときのポイントを、新築、後付け、交換のそれぞれのシーン別に解説します。
新築の場合
新築の場合、日本製のオーブンか海外製のオーブンかによって、設置できる場所が変わってきます。
日本製のオーブンの設置位置は、コンロ下です。また、コンロと同じメーカーのものしか組めないというルールがあるものもあります。
海外製のオーブンは、どこにでも設置可能です。しかし、設置場所にガス管や配線の工事が必要となります。この場合は、事前に家の設計士に伝えておきましょう。
設置する際は、ガスタイプならガス会社、電気タイプなら電気店に依頼することになります。新設の場合だと、取り付け工事費用は約6万円程度のようです。
後付けの場合
ビルトインオーブンを後付けする場合、ガスタイプならガス工事が、電気タイプなら配線追加工事が必要となります。そのため、ガスタイプならガス会社に、電機タイプなら電気店に依頼しましょう。
また、設置場所をつくらなければならず、設置場所がない場合はリフォームの必要もあることを考慮しておいてください。 後付けの工事費用は、簡単なリフォームで設置できるならば約6万円が相場です。
交換の場合
交換する場合、ビルトインコンロの下にオーブンが設置されているのであれば、コンロと同じメーカーの製品を選ぶ必要があります。また、コンロとオーブンが一体化したものであれば、コンロもオーブンも交換しなければならないこともあるので、確認するようにしてください。
交換の場合は、必ず専門業者に依頼します。オーブンのみの交換も、コンロとセットでの交換も、工事費用は約5万円程度です。
■ビルトインオーブンレンジの選び方
ビルトインオーブンレンジは日本製、海外製とさまざまな種類があります。また、新品か中古を買うかも悩みどころかもしれません。どのように選べばよいか、ポイントをご紹介します。
日本製にする? 海外製にする?
ビルトインオーブンレンジには、日本製も海外製もあります。 日本製には、ガスタイプと電気タイプがあり、好みに応じて選べるのが最大のメリット。また、日本人向けの料理で必要とされる機能があるのも良い点でしょう。しかしながら、コンロと同じメーカーのものしか組み込めないものもある、というデメリットも。
海外製の特徴は、一般的に200Vの電気タイプが多いこと。また、コンロのメーカー問わず、コンロの下にセットすることも、使いやすい高さにビルトインすることもできるメリットがあります。さらに、シンプルな機能でスタイリッシュなデザインも魅力です。
それぞれメリット、デメリットが異なりますので、特徴を踏まえて選ぶようにしてください。
新品か、中古か
ビルトインオーブンレンジは、新品を購入するのがよいですが、費用を抑えたい場合には中古を購入するという選択肢もあります。中古を購入する場合は、ご自身のお家に設置できるオーブンかどうかを、必ず確認するようにしましょう。
故障の場合はメーカーのホームページを確認
電源が入らない、機能が十分に使えないなど、「故障かな?」と感じたら、まずはメーカーのホームページをチェックしましょう。多くのメーカーで、状況別に解決方法が記載されている場合があります。それでも症状が解消されない場合は、メーカーに修理の依頼をしてみてください。
■ビルトインオーブンレンジを撤去して、収納庫にする際の注意点
故障したり、古くなったり、使わなくなったビルトインオーブンレンジを撤去したいときに気をつけるべきポイントを解説します。
撤去は自分ではできない
ビルトインオーブンレンジを撤去する場合、DIYではできません。ガスの配管工事や、電気配線などの作業の必要があるためです。ガスタイプ、電気タイプのどちらのオーブンを使っていたとしても、必ず専門業者に依頼するようにしてください。
コンロもいっしょに撤去しなければならない場合も
ビルトインオーブンレンジには、コンロとオーブンが一体化したものもあります。この場合、オーブンのみ撤去することは不可能な場合も。コンロもオーブンといっしょに撤去しなければならないことを、頭に入れておきましょう。
奥行きが70cm以上ないと撤去できない
コンロとビルトインオーブンが個別になっているものであれば、オーブンのみ撤去可能です。ただし、撤去する際、ガスコンロを引き出す必要があります。キッチンから背後の壁までの奥行きが70cm以上ないと、撤去作業ができないこともあるので、注意が必要です。
■海外製のビルトインオーブンのおすすめ
ここからは、実際にどんな商品があるのか?を見ていきましょう。まずは「Miele(ミーレ)」「AEG(アーエーゲー)」「GAGGENAU(ガゲナウ)」「Bertazzoni(ベルタゾーニ) 」という、4つの海外メーカーのビルトインオーブンをご紹介します。
「Miele(ミーレ)」(ドイツ)の「電子レンジ機能付オーブン H6800BM (ステンレス、50HZ/60HZ)」(価格:¥598,000)
食器洗浄やランドリーケアなどの分野において、世界有数のグローバルプレミアムブランドである、ドイツの「Miele(ミーレ)」。
1899年の創業以来、「Immer Bessar(常により良いものを)」の理念のもと開発された、Mieleのビルトイン調理機器や食器洗い機、ランドリー機器、掃除機などは、美しいデザインと最先端の機能性、高耐久性を兼ね備えています。
電子レンジ機能付きオーブン「電子レンジ機能付オーブン H6800BM (ステンレス、50HZ/60HZ)」は、あらゆる要望に答えることができるオールラウンダーです。
13種類の調理モードや特別プログラム8種、急速加熱から自動プログラムまで自由自在。また、お好みで設定できるユーザープログラムも20種登録できるので便利です。
ディスプレイには、革新的な「Mタッチディスプレイ」を採用、操作がシンプルでわかりやすく、テキストタッチスクリーンをタッチしたりスワイプすることで、機器を素早く直感的に操作できます。
また、ワンタッチでさまざまな機能を選択することが可能に。中央のディスプレイでは、黒の背景に白いテキストと記号が表示されるので、情報がはっきりと見やすくなっています。使用者の入力が必要なシーンでは、情報がカラー表示されます。
さらに、調理プロセスを簡単に制御する「フードプローブ」機能を搭載、肉や魚の中心温度を常に測定することにより、肉や魚を好みの温度で正確にローストできます。また、残りの調理時間を表示する機能が備わっているため、その機能の使用時には調理を見ている必要がありません。
「Miele(ミーレ)」(ドイツ)の「電子レンジ機能付オーブン H6400BM (ステンレス、50HZ/60HZ ) 」(価格:¥398,000)
「電子レンジ機能付オーブン H6400BM (ステンレス、50HZ/60HZ ) 」には、10種類の調理モードと特別プログラム6種、急速加熱、自動プログラム、ユーザープログラム20種が備わっているので、どんな料理も理想的な仕上がりに。
ステンレス(クリーンスチール)カラーなので、どんなキッチンにも統一性とデザイン性をもたらしてくれます。
「AEG(アーエーゲー)」(ドイツ)の「電気オーブンBP831460MM」(価格:¥320,000)
1883年創設の「AEG(アーエーゲー)」はドイツの電機メーカー。モーターや発電機を製造してセンセーションを巻き起こし、さらには、この新しい動力を応用したヘアードライヤーや掃除機などの家庭用製品を次々と開発し、現在に至ります。
こちらの製品は、機能充実の本格派電気オーブン。洋風、和風を問わず、日々の料理からおもてなし料理までをこなす、さまざまな加熱モードを搭載しています。
料理に合わせて選べるマニュアルモードに加え、料理や食材の分量を選ぶだけで自動調理ができるアシスト調理メニューも充実。よく使う料理メニューが保存でき、簡単に呼び出せるお好みプログラムも便利です。
「GAGGENAU(ガゲナウ)」(ドイツ)の「BO440411/BO441411 ビルトインオーブン 200V 3.7kW 電気オーブン W60cm ステンレスパネル」(価格:¥639,816)
「ガゲナウ」は1683年にドイツで創立されたビルトインキッチン機器メーカー。そのビルトインオーブンは、30℃〜300℃まで正確な温度調節ができ、レシピを50件まで保存・記録することも可能な高性能オーブンです。
さらに、パン生地発酵モードや解凍モードなどの11種類の加熱モードを用意。料理の幅が広がります。
「Bertazzoni(ベルタゾーニ)」(イタリア)の「F680D9ガスオーブン」(価格:¥280,000)
イタリアの感性が生み出したハイクオリティな調理機器ブランド「ベルタゾーニ」。こちらのビルトインオーブンは、ガスタイプです。ガスの炎が叶えるパワフルな火力。設定温度まで一気に到達し、庫内の温度を均一に保ちます。
ステンレスと黒を基調とする品の良いイタリアン・モダンデザインがポイントで、普遍的な使い勝手を追求したシンプルな機能が支持されています。
■日本製のビルトインオーブンレンジのおすすめ
続いては日本メーカー。「リンナイ」「パナソニック」「ハーマン」「三菱電機」「日立」の国内メーカーのビルトインオーブンレンジをピックアップしました。
「リンナイ」の「ビルトインオーブン(コンベック) RSR-S51C(A) -ST ステンレスタイプ 44L ガスオーブン」(価格:¥116,364)
リンナイのビルトインオーブンには、ガスタイプと、ガスと電子レンジが一台になったものがあります。
こちらは、ガスタイプ。ガスならではのパワフルな炎ですばやくオーブン調理ができます。強火による熱が、パンなどの食材を外側から包み込むように加熱。シチューなどの煮込み料理も全体を包み込むように加熱するので、煮くずれも少なく、コク深い美味しさが広がります。
44Lタイプの大容量の庫内に加え、オーブン皿が2段で同時に使えるのもポイントです。
「パナソニック」の「【NE-DB901】ビルトイン 電気オーブンレンジ」(価格:¥178,199)
パナソニックのオーブンは、電気タイプ。IHクッキングヒーターの下のキャビネットスペースに組み込むので、キッチンスペースを有効に使えます。
パナソニックには2種類のビルトインオーブンがありますが、おすすめはこちらの商品。両面グリルやスチーム機能が搭載されているから、毎日の料理を手軽においしくしてくれます。
オーブン機能は、熱風循環方式だから2段調理が可能で、2種類のメニューを同時につくれます。また、角皿の底面から天井までの高さは約22.5cm、間口は約41cmと庫内が広いのもポイント。天井に近すぎて上面が焦げやすかった山形食パンなど、背の高い食材にも余裕で対応可能です。
「ハーマン」の「ビルトインオーブン コンビネーションレンジ スタンダード 48Lタイプ DR514EST(ステンレス)」(価格:¥186,111)
ハーマンでは、電子レンジとガス高速オーブンの1台2役の機能を搭載した「コンビネーションレンジ」と、ガスならではのパワフルな「高速オーブン」がラインナップされています。
ご紹介するのは、コンボネーションレンジ。2つの機能を別々にも、同時にも使うことができます。コンビネーション調理を使えば、火が通りにくい食材や煮込み料理もスピーディー。48Lタイプだから、ローストチキンが丸ごと入り、たくさんパンを焼きたい方にもおすすめです。
「三菱電機」の「CS-RO2-S ビルトイン電気オーブンレンジ シルバー」(価格:¥196,151)
三菱のビルトインオーブンは、こちらの1種類のみ。特徴は、2段調理に3.8kWスピード予熱が可能。ドアを開けても設定温度への復帰が早いため、食材の表面を一気に焼くことができ、中の旨味を逃がしません。
また、ヒーターで食材の外側から加熱しながら、電波で内側を同時加熱できる同時調理や、ゆで野菜・グラタン・クッキーなどのメニューを選ぶだけの自動メニューなど、多彩な加熱モードを搭載しています。
「日立」の「ビルトインオーブンレンジ ブラック MRO-SK201 B」(価格:¥122,223)
日立のビルトインオーブンはすっきりとしたフェイスが特徴。電気タイプですが、3.8kWの大火力で、肉や魚を高温で調理でき、表面をすばやく焼いてうまみが外に出るのをおさえます。
また、総庫内容量は41Lと大容量。ローストチキンなどの大物料理や、上下2段調理も可能です。100℃を超える過熱水蒸気調理もできるので、食材の余分な脂を落とし、ヘルシーに仕上げます。カラーはブラックのほかにシルバーもあります。
※表記価格は変更される場合があります。最新の価格は、情報提供元サイトをご確認ください。
自分のスタイルに合ったビルトインオーブンレンジを選んで
当記事では、ビルトインオーブンレンジの種類とメリット・デメリットや、新築・後付け・交換の場合のビルトインオーブンレンジを検討するポイントをご紹介しました。
また、ビルトインオーブンレンジの選び方や、ビルトインオーブンレンジを撤去して収納庫にする際の注意点もレクチャーしています。
さらに、「Miele(ミーレ)」「AEG(アーエーゲー)」「GAGGENAU(ガゲナウ)」「Bertazzoni(ベルタゾーニ) 」などの海外製のビルトインオーブンや、「リンナイ」「パナソニック」「ハーマン」「三菱電機」「日立」などの日本製のビルトインオーブンレンジのおすすめもチェックしてみました。
ビルトインオーブンレンジには、ガスか電気かが選べる日本製、スタイリッシュデザインが魅力の外国製があるので、それぞれのメリットやデメリットを確認して、検討してみてくださいね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部