感染症の基本的な予防対策には手洗いの励行、手についたウイルスが入らないよう顔を触らないようにする、免疫力を高めておくなどがあります。
今回は、ウイルス対策に一番重要と言われる「体の免疫力を高める」ことについて、中部大学 大学院工学研究科 客員教授で薬学博士の林 京子先生にお話を伺いました。
日常的にできることで大切なウイルス予防策とは?
現在、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスをはじめ、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症は、私たちの生活を常に脅かす存在。見えないウイルスに気をつけて生活するには、どういったことで予防策を取れば良いでしょうか。
「感染症予防対策はすでにご存知の通り、基本的にはまず手洗い、そして口や鼻、目を通してウイルスは入ってくるので、顔を触らないように意識することが大切です。
また、乾いた空気はウイルスを蔓延させてしまう可能性もあるので室内滞在時は、加湿器などで湿度を50~60%の適度に保ち、空気清浄機を使用する事で空気中のウイルスを減らすなども実施したいところです。
そして、一番重要なのが、身体の中の免疫力を高めておくことです。十分な栄養と睡眠をとることが身体の免疫力を高めます」(林先生)
日頃の食生活で免疫力を上げておく
「ウイルスに感染した時、まず感染症対策には2つに分けられます。
ウイルスの力を抑え込む場合(特定のウイルスを標的とする)、抗ウイルス剤やワクチンの開発がなされ、それがウイルスの増殖を直接的に制御することになります。
一方で、生体の力を強める場合(異物と認識されるウイルスを標的)、免疫機能の増強を図ることで、免疫系を介してウイルスの増殖を制御することになります。
免疫力を上げることにおいて、日常生活では睡眠と同様に食が大切です。何か病気にかかって症状が出てから摂取するのではなく、普段から気をつけた食生活を続けておくことが予防策として必要です。身体の中の免疫力・抵抗力をしっかり働かせるには、食生活が非常に大切な要因となることは様々な研究でもわかっていることです。
例えば、舞茸はインフルエンザウイルスの抑制効果について研究されています。
先ほどお伝えした2つの対策の2番目の「生体の力を強める」場合において、舞茸はこの免疫機能の増強に有効な可能性があると示されました」(林先生)
免疫力を上げる舞茸パワーの所以とは?
「免疫機能の強さというものは、10代をピークに後は下降傾向になると言われ、つまり20代前半からはウイルス感染リスクが上昇する傾向になってしまうのです。
そこで、日本では、高齢化社会になっていくだけでなく食生活の欧米化による生活習慣病やストレスの増加などの社会傾向からも、免疫機能低下・疾病増加・医療費増加の問題点が上がっていることを鑑み、食の機能性を活用することで国民の健康生活への貢献ができればという観点から、舞茸のウイルス感染症に対する研究が始まりました。
中部大学と(株)雪国まいたけの共同研究*では、舞茸の乾燥粉末を投与したマウスを用いた感染実験により、舞茸に含まれる『マイタケαーグルカン』がインフルエンザウイルスやノロウイルスの抑制に有効だった(ウイルス増殖阻害効果が期待できる)という結果が得られました。免疫機能低下に伴う感染症状の重症化防止にも、舞茸はいいとも考えられています。
これらの研究によって、舞茸を毎日摂取することでウイルス感染症の予防及び治療効果、感染拡大の防止や医療費の削減などの効果が期待できるといえます。
この舞茸に含まれるαグルカンという多糖類が抗ウイルス作用、免疫機能活性化に効果をもたらし、これが舞茸の健康機能性といえます。
実験で行ったマウス摂取量のマイタケ乾燥粉末5mg/日を、ヒト(成人60kg)に換算すると150gになります。よって、舞茸を毎日連続して150g食べれば、少なくともウイルスに対して一定の効果が期待できるのではと考えています。
一度にたくさんの舞茸を摂取するのは難しいと思いますので、1日に2~3回に分けて好きな料理に入れて食すのがおすすめです。
時間的には空腹の時を推奨しているので、きちんとした食事が取れない時間でもおやつ感覚に少し食べるようにしてもいいと思います。
できれば舞茸そのものを多く食べることがおすすめですが、ずっと食べない日ができるよりはつなぎという意味で、粉末や錠剤のサプリメントなどで補っても良いでしょう」(林先生)
免疫力アップだけじゃない! スーパーきのこ「舞茸」
前述の通り、ウイルス抑制に有効と言われているのは舞茸に含まれるαグルカンの効果によるものとのことですが、他にも免疫力アップにはβグルカンも含有されています。このβグルカンの含有量が、きのこ類でもトップクラスという舞茸! 様々な栄養素が健康をサポートしてくれます。
インフルエンザ予防の際は、αグルカンだけでなく、舞茸に含有されているビタミンDなども相乗効果を発揮しています。
また、MDフラクションと呼ばれる水溶性食物繊維のβグルカンは免疫機能を高め、体の酸化を予防する効果も期待されています。そのMXフラクションや食物繊維、αグルカンなどのおかげで血糖値上昇を抑制する効果や、話題のAGE(終末糖化産物)対策にもなります。豊富な食物繊維のおかげで、便秘改善サポートにも役立ちます。
舞茸は、その日に調理しない場合、多くの人は購入したパックのまま冷蔵庫の野菜室に入れて保存してしまっていると思います。
舞茸は傷みやすいので、ラップに包んで冷蔵庫で保存し、3~4日で使い切るのがベスト。
きのこ類は、基本的に水で洗い流しませんが、天然もので虫が心配な場合は洗い流し、その際はきっちりと水分をふきとってから調理するようにしてください。水気がついていると傷みやすいので要注意です。
また、冷凍保存することで水分が膨張し、舞茸の細胞膜が壊れます。それによってマイタケの持つ独特な香りが強くなります。細胞が壊れることで、中の栄養や旨味成分が、外に流れ出すので栄養や美味しさもアップします。
冷凍する場合は、石づきを切り落とし小房に分け、チャックのついた保存袋などに入れ、冷凍庫で保存するのがおすすめです。ちなみに、天日干しし、乾燥させたものは常温保存も可能です。
免疫力低下の敵「疲れ」を吹き飛ばすおすすめ舞茸レシピ
生でも乾燥でも、どんな調理法にしても栄養素を減らさずに摂取できるという舞茸は、色々な料理に便利に用いることができますね。
そこで、免疫力低下のきっかけともなりうる「疲れ」を撃退できるような舞茸メニューをおすすめします!
舞茸に含まれるビタミンB1は、ニンニクと一緒に摂ることで吸収力が高まり、疲労の蓄積を防げるといわれています。ニンニクのにおい成分であるアリシンとビタミンB1が結合しアリチアミンになると、水溶性から脂溶性になるため、吸収率が10倍になると言われています。
また、もともとアリシンにはビタミンB1の吸収を高める働きもあり、相乗効果によりスタミナアップに役立つと考えられており、ビタミンB1を多く含む豚肉やきのこ類、玄米などの食品と一緒に摂ることがおすすめされています。
\たくさん作って保存食に!/
■洋風まいたけ味噌
【材料】*作りやすい分量
・舞茸2パック
・豚ひき肉200g
・ニンニク(おろし)1/2かけ
・酒 大さじ1
・粗挽きコショウ 少々
・バター 大さじ1
A/味噌 大さじ4
トマトケチャップ 大さじ4
トマトピューレ 大さじ2
砂糖 小さじ1/2
【作り方】※舞茸などきのこ類の栄養素は水溶性のため洗わずにそのまま調理するのがおすすめです。
1.舞茸の根元は粗みじんに、残りは手で細かくほぐす
2.鍋に、ニンニク・バターを入れて熱し、香りが出たらひき肉を加えてほぐしながら焼き色がつくように鍋底全体に広げる。焼き色がついたら舞茸・酒を加え、水分を飛ばすように強火で炒める。
3.舞茸がしんなりしたら、合わせたAを加えて炒め合わせ、コショウで味を整える。
15分ほどでさっと作れて、保存食にもできます。(大さじ1杯で約30kcal)
ご飯のお供などに毎日食べ続けるのがおすすめです。
手軽に摂れる舞茸パワーで日々の生活をサポート
日々が忙しくなかなか料理をする時間の取れない人や、どうしてもきのこが苦手…という人もいるでしょう。そんな人におすすめなのが、舞茸と同じ栄養成分を手軽に摂ることができるサプリメント。
「雪国まいたけの粒」はその名の通り、雪国まいたけを乾燥・粉砕し、凝縮して粒にした高濃度まいたけサプリメントです。
まいたけ由来のMXフラクションを含有し、まいたけ由来の食物繊維がしっかり入っていることで、日常生活で食物繊維が不足しがちな人や、睡眠や食事が不規則な人、食生活が乱れがちな人、何よりまいたけを食べることが健康とわかっていても毎日続けるのは大変という人にもおすすめです。
雪国まいたけONLINE(雪国まいたけ公式通販サイト)や楽天市場にて購入可能。
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まだまだ長期戦になりそうな、見えないウイルスとの戦いですが、少しでも健康的で元気に生活するのには、まず予防意識を持つことが大切です。日々の食生活に上手に舞茸を取り入れて、手洗いや除菌も怠らず乗り越えていきましょう。
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- Sachi Tamura