大人世代にとって、たるみやシワ、くすみなどの肌悩みはすでに気になっているものの、夜、時間・質ともによい睡眠がとれないと、エイジングを加速させることに…。どうしても睡眠負債を抱えてしまいがちな現代女性たち。アンチエイジングのためにも、どうお手入れをしたら、睡眠負債に負けない美肌を手に入れることができるのか、じっくり検証しました。

今回は、知らないと損をする夜の肌メカニズムについて、クリニックF 院長である藤本幸弘院長にお話しを伺いました。

藤本 幸弘さん
クリニックF 院長
(ふじもと たかひろ)レーザー治療を得意とし、アンチエイジング治療に精通。肌のことだけでなく、枕や睡眠によい音楽など、睡眠についても詳しい。

「寝ている間に老ける!」夜の肌メカニズム5選

■1:お肌のゴールデンタイムはそもそも存在していなかった!

成長ホルモンは、何時に寝ても、眠りについてから3時間の間に分泌が最も多くなると判明。

お肌のゴールデンタイムとは、22時から2時の4時間を指し、美肌のためにはこの時間に眠ることが大切、と若いときから聞かされてきました。その理由は、この時間帯に最も成長ホルモンが分泌されると考えられていたため。成長ホルモンとは細胞の新陳代謝を促し、肌の生まれ変わりや修復をする働きがあります。

しかし、この成長ホルモンは、何時に寝ても、眠りについてから3時間の間に分泌が最も多くなるとわかってきました。そのため、寝ついてからの3時間をいかに途切らせることなく、深く眠れるかが美肌の鍵に。

■2:昼と夜、肌にはそれぞれ違う「顔」がある

肌の見た目は昼も夜もそう変化はありませんが、肌の中での働きは、実は大きく異なっています。朝起きて活動している間の肌は、紫外線や大気汚染、エアコンによる乾燥など、さまざまなストレスにさらされています。これらのストレスから「守る」ことが、日中の肌のメインのお仕事に。

一方、夜の肌はというと、日中に受けたダメージを「修復」すること、そして肌の生まれ変わりをサポートするのが重要な仕事に。一日の中で役割は変化しているのです。

■3:夜の肌ほど無防備なものはない!

寝ている間の肌は、日中のダメージを修復するためにフル稼働しています。これは何も肌に限ったことではなく、睡眠中は体全体の修復かつ再生も行われていて、そこにかかるエネルギーは膨大! 日中は肌を守るために強固になっているバリア機能も、睡眠中は必要なくなり、低下します。

それは体のメカニズム的に当然のことですが、肌の乾燥という側面で考えると大問題。だからこそ、夜のスキンケアに何をすべきかを考える必要があるのです。

■4:寝ている間、体温は下がるのに、皮膚温は上がるメリット

夜間は、深部体温は下がり、皮膚温は日中に比べて3度近く上がる。

体温を気にすることはあっても、皮膚温を気にすることはあまりないかもしれません。ですが、この皮膚温が実はとても重要。日中は体の深部体温が高く、皮膚温は低い傾向にありますが、夜間は逆となり、深部体温は下がり、皮膚温は日中に比べて3度近く上がるといわれています。

ということは、夜間のほうが血流が早くなるということ。肌の栄養や酸素は血流に乗って届けられますから、血流が早いとすみずみにまで届けられ、修復しやすい環境になるのです。

■5:寝る前のお水 500ml が肌を救う!

睡眠中の肌はバリア機能が低下し、乾燥を招きやすいうえ、肌内のヒアルロン酸やコラーゲンといった水を抱えて肌を潤わせる成分が年齢とともに減少していきます。このダブルの影響により、大人肌は夜間に水分がより蒸散しやすくなり、乾燥が深刻化。

そこで、スキンケアで保湿を行うのはもちろんですが、体の内側からも水分をとって蓄えておくことも、肌の乾燥をくい止めることに役立ちます。夕食時から飲むようにしてみて。変化を感じるはずです。

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いかがでしたでしょうか? 次回は、「朝、小ジワが目立ってファンデーションがヨレる…」そんなお悩みを解決する「夜老化」STOPコスメをご紹介します。お楽しみに!

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PHOTO :
宗髙聡子
EDIT&WRITING :
長田和歌子、佐藤友貴絵(Precious)