自宅などでの待機を余儀なくされている人たちに、そして舞台芸術を愛する人たちに向けて、新国立劇場の過去の公演記録映像を無料ストリーミング配信する期間限定のサービス「巣ごもりシアター」。まずは、オペラ公演から3作品が順次配信。4月10日から『魔笛』、17日からは『トゥーランドット』が配信され大きな反響を呼んでいるが、本日24日の15時からは、その締めくくりとなる3作目『エウゲニ・オネーギン』の配信が始まる。

チャイコフスキーの哀愁に満ちたロシア・オペラの代表作

ヒロインを演じる名花エフゲニア・ムラーヴェワに、ぜひとも注目を。 

新国立劇場「エウゲニ・オネーギン」より
新国立劇場「エウゲニ・オネーギン」より

 今回配信される『エウゲニ・オネーギン』は、新国立劇場2019/2020シーズンの開幕公演として2019年10月に上演された舞台。原作はロシアの文豪プーシキンの韻文小説で、19世紀のロシアを舞台にタチヤーナとオネーギンの恋のすれ違いを描いた物語。それを、チャイコフスキーが美しく情緒豊かな音楽でオペラに仕上げた、日本でもおなじみの人気作だ。

 演出を担ったのは、モスクワ・ヘリコン・オペラの創設者で芸術監督でもあるドミトリー・ベルトマン。1990年に誕生したヘリコン・オペラは、現代ロシア・オペラ界で最も刺激的な活動を展開するオペラ劇場。それだけに、ベルトマンが作り出す新国立劇場での新プロダクションは、どんな演出になるのかと、大きな期待を集めての公演だった。

 タイトル・ロールはオネーギンを当たり役とするワシリー・ラデューク。世界の主要劇場で同役を披露している、まさに今のロシアを代表する“オネーギン歌い”だ。可憐なヒロイン、タチヤーナを演じたのは、2017年のザルツブルク音楽祭『ムツェンスク郡のマクベス夫人』でセンセーショナルな成功を収め、翌年も『スペードの女王』に出演して欧州の歌劇場で一躍名を馳せた、エフゲニア・ムラーヴェワ。ほかにも歌手陣に新国立劇場初出演となるロシア・オペラのスペシャリストたちが集結。豪華に繰り広げられた3幕に及ぶ舞台は、観客たちを大いに湧かせた。

新国立劇場「エウゲニ・オネーギン」より
新国立劇場「エウゲニ・オネーギン」より  

 19世紀末から20世紀にかけて大きな花を咲かせたロシア音楽だが、ロシア革命後の社会的背景から西側諸国ではなかなか紹介されなかったという歴史がある。1990年代以降はそうしたロシア・オペラも世界各地で上演されるようになり、今日では世界の歌劇場のレパートリーの中で無視できない位置を占めている。

 そんなロシア・オペラを新国立劇場オペラの定番にしたいと願ったのが大野和士芸術監督。その第1作として選んだのが、今回配信されるチャイコフスキーの傑作『エウゲニ・オネー ギン』だったのだ。ここから展開していく新国立劇場のロシア・オペラの端緒を、「巣ごもりシアター」で、ぜひとも体感してほしい。

P.チャイコフスキー作曲 オペラ『エウゲニ・オネーギン』

2019/2020シーズン(2019年10月1日上演)
全3幕ロシア語上演/日本語字幕付。
配信日時:2020年4月24日(金)15:00から5月1日(金)14:00

[巣ごもりシアター]エウゲニ・オネーギンはこちらご視聴できます

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おうちでまったり!「巣ごもりシアター」

※動画視聴に伴う通信料は視聴者の負担となります。

その他のお問い合わせはこちら

新国立劇場オペラサイト(日本語)

新国立劇場オペラサイト(English)

配信前にこれらを見ておけば、オペラ『エウゲニ・オネーギン』の聴きどころや観どころがわかり楽しみが深まる。

 

その他にも、新国立劇場公式YouTube チャンネルには、過去の公演のリハーサル動画やダイジェスト映像、出演者のインタビューなど、「巣ごもり」にぴったりの動画コンテンツが多数ある。この機会に視聴を楽しむのもいい。

新国立劇場公式 YouTubeチャンネル

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この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。
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