2020年の「母の日」は、5月の1か月間を通して行われる「母の月」に

昨今の外出自粛が続く状況下で卒業や新入学、結婚式などの慶事をはじめ、さまざまなイベントが中止になっています。そこで苦境に立っている業界のひとつが、祝い花や会場の飾り付けなどを扱う花き業界。

5月10日の母の日を前に、販路となるフラワーショップが休業しているため、今後の需要についても厳しい状況となっています。

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5月は母の月に

そんななか、これまで行っていなかった直販を開始する花農家や、オンラインショップ経由でのデリバリーでの営業のみ実施するフラワーショップも増えています。

このままでは大切に育てられた花たちは行き場を失い、処分されてしまいます。そこで、フラワーショップの方たちが提案しているのが、「5月は母の月」というアイディアです。

5月第二週目の日曜日にあたる母の日だけでなく、5月の1か月間を「母の月」と考え、母の日に限らず花を家族に贈ろうというもの。母の日以外にも設定することで、生活インフラを支える配送流通のピークが母の日に集中することも避けられる、という利点もあります。

都内のフラワーショップを中心に発足したプロジェクトチーム「with flowers」では、自分が帰省する代わりに、花を配送オーダーすることで帰省の代わりにする「#花で帰省しよう」という活動を始めています。

現在、全国の50のフラワーショップが参加するまでに拡大したこの輪の誕生について、代表の長井ジュンさんにお話をうかがいました。

「#花で帰省しよう」。実際に帰省する代わりに、花を贈ろうという素敵な活動は、どのように始まった?

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長井ジュンさん

長井さんは3月7日・8日に開催すべく約1年かけて準備していた「MIMOSA FESTA 2020」が開催自粛となったこと。そして自身も毎日直面するネガティブなニュースや、経済面での不安など、毎日眠れない日々を送っていました。

「MIMOSA FESTA 2020の縮小・変更対応が落ち着いたあと、しばらく放心状態になっていましたが、緊急事態宣言が発令され、フラワーロスの問題が耳に入るようになり、自分と同じ辛い想いをする人がもしいるなら、何かできることをしたい、と考えました。

まずは花農家さんや市場の方に現場の声をもらって情報を集め、現状を把握。既に顧客を掴んでいるフローリストは自分で売り込むことができるはずだと思ったので、これまで花を贈ったことがないような人に花の魅力を伝えたいと考え、『NEWPEACE』、『かくしごと』、『NEWS』、『イキモノ』さんなど花業界外の、広告・クリエイティブ業界のスターたちの協力を得て、スタートしました」

スタートから毎日、10件ほど掲載希望の問い合わせがあり、約1週間で全国50店舗のフローリストが賛同しています。

「BIONIC PLANTS」(東京・八雲)

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東京・八雲の「BIONIC PLANTS」のブーケ

「karendo」(東京、埼玉、静岡、関西圏)

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東京、埼玉、静岡、関西圏に店舗のある「karendo」のカラーフラワーのブーケ

「保のか」(山口県光市)

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山口県光市の「保のか」のブーケ

「NENEN」(福岡)

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福岡県福岡市にオープンしたばかりの「NENEN」のカーネーションを使った大人クラシックがテーマのアレンジメント

帰省による感染拡大を防ぐことが、今私たちがまずできること

花を贈るということは、相手に感謝の気持ちを伝えるだけでなく、色や香りから心の癒しを得られる効果もあります。同じく自宅からの外出を控えている家族や友人に花を贈ることで、「季節は新緑があふれる気持ちのよい季節ですが、外出が出来ない今、自然に触れる事への感動が今まで以上に感じられると思います。

また、リモートワークや、家事・育児スタイルの変化など、不慣れなことが多いなかで、生きた植物のエネルギーをもらって、ストレスの解消に繋がります。

本当は親に会うのが親孝行ですが、高齢者の安全面を考え、自分の分身として花を帰省させるというアクションで移動や濃厚接触を減らし、お花を画面に映しながら、流行りのテレビ電話や、オンライン飲み会をして家族の絆を深めたり、普段言えない感謝の気持ちを伝えたりして欲しいなと思っています」(長井ジュンさん)

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花を贈ったら、電話をしましょう。外出が難しいいま、春の匂いはきっと元気を届けてくれます。

参加しているフラワーショップの一覧から各サイトにアクセスでき、オーダーの完成のイメージもたくさんあるのでどこのショップにするのか迷ってしまいます。あらかじめ価格が設定されたブーケもあれば、価格帯によっておまかせでつくっていただくこともできるようです。

参加されている店舗には、花の専門誌で活躍されているフラワーアーティストの横井康宏さんや前田有紀さんのお店もあり、母の日=カーネーションではないブーケが提案されています。

フラワーアーティスト横井康宏さんの「Nanairo」

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花の専門誌でも活躍するヨコイさんの「Nanairo」も参加

フラワーアーティスト前田有紀さんの「gui」

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フラワーアーティスト 前田有紀さんのお店「gui」も賛同。サイトではボックスタイプのギフトも選べます。

母の日のセット以外にも、花農家救済のための特別価格のセットを販売しているショップもあるので、自宅用に買うことでの支援もできますよ。5月は家族や友人、そして自分にも花を贈り、来るべき幸せな未来のために心穏やかに過ごしたいですね。

問い合わせ先

with flowers

この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
北本祐子